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20話:幼馴染みとのキス
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北の大地に到着してからの旅は過酷さを増した。
空は常に黒雲に覆われ光は遮られ、濃い瘴気により体力が削られる。
ベヌエット様は常に浄化を行っており疲労が濃く見える。
「ベヌエット様少し休みましょう」
「私は大丈夫…早く先に進みましょう」
俺に笑顔を見せるが明らかに顔が青く足取りもおぼつかない。
また無理をしてる…
俺が休もうと再度説得しようとしているとアレンさんがやってくる。
「お嬢様。無理して進むとゆうのなら俺が抱きかかえていきますよ?それでもいいですか?」
「うぅ…それは嫌…」
「じゃあ今日はここらで休みましょう」
アレンさんの一言であっさりと折れたベヌエット様。
いつもなら絶対に行くといいそうなのに…
俺の不思議そうな顔にアレンさんは笑いながらベヌエット様が折れた理由を教えてくれた。
「小さい頃からお嬢様が無理してると思ったら俺が無理矢理抱きかかえて帰ってたんだよ。だからこう言えば無理はしないんだよ」
なるほど。アレンさんはずっとベヌエット様の警護をしていたからよく分かってるんだな。
あぁベヌエット様の幼少期は本当に可愛かったんだろうな…と想像していると何かにつまづきよろけてしまう。
よろけた俺を近くにいたテオが支え軽く抱き寄せられる。
「シモンも足元ふらついてるよ」
「あぁ…ごめん。支えてくれてありがとな」
「シモンが歩けない時は、また僕が抱っこしてあげるから安心してね!」
「もう二度とされたくねーよ!」
俺達はいつものようにギャーギャーと言い合い、アレンさんとベヌエット様は微笑ましい物を見るような目で俺達の事を見ていた…
テントを張る周囲をベヌエット様に浄化してもらい瘴気が入り込まないように結界石を使用して結界を張った。
いつもは個人個人で小さなテントを張っていたが今日は結界を張るので範囲を小さくする為テントは3つにする。
ベヌエット様とアレンさん、ガルパス様、俺とテオで別れる事になったが…
テオがデカくてテントの中が狭い。
「テオもっと端によれよ。こっち狭いだろ」
「えー。もうこれ以上は動けないよぉー」
テオは横を向いて寝ている俺の背中にピッタリとくっつくように体を寄せてくる。
「ねぇシモン…起きてる?」
「なんだよ」
俺の頭の上からテオの甘い声が聞こえてくる。
まさか…エロいこと始めようとしてんじゃないよな…
「あのね…キスしていい…?」
「そんなのいつも勝手にしてくるだろ」
「ホッペとかじゃなくて…シモンの唇にしたい…」
何を今更…と思ったが確かに俺達は唇を重ねた事がないことに気付く。
散々それ以上の事をしてきたのに…改まって聞かれると考えてしまう。
俺が黙ったまま考えていると痺れを切らしたテオが俺の上に覆い被さってくる。
「ねぇシモン…ダメ?」
懇願するように潤んだ瞳を向けられ俺は顔を真っ赤に染める。
これまで全て許してきたのに今更キスを拒む理由が見つからなかった。
「少しだけな…」
テオは俺の返事を聞き嬉しそうに微笑むとゆっくりと唇を重ねてくる。
ちゅっとついばむような可愛らしいキスを何度かすると少し深く口づけテオの舌が俺の口の中に入ってくる。
俺の舌を絡めとると歯を立て軽く甘噛みしてくる。お互いの唾液が混ざり合い口の中でくちゅくちゅと音を立てる。
「んっ…んん…ふぁっ…」
テオの長く深いキスに俺は溺れかけ唇が離れた時には息を荒げていた。
テオの方を見るといつものように優しく微笑んでくれるが瞳はどこか悲しそうな色をしている。
「ねぇシモン…僕の事…好き…?」
俺はその質問を投げかけられ動揺する。
いつかテオから聞かれるのではないかと思っていた…
それまでに自分の中で答えが出るだろうと簡単に考えていた…
「分からない…」
俺はまだ答えが出せていない。
いや…無意識にその事を考えるのを拒んでいた。
「そっか…」
テオはそう言うと寂しさを埋めるように俺に何度も何度も唇を重ねてきた。
テオの気持ちを知っていたのに…
俺は本当に最低だ…
空は常に黒雲に覆われ光は遮られ、濃い瘴気により体力が削られる。
ベヌエット様は常に浄化を行っており疲労が濃く見える。
「ベヌエット様少し休みましょう」
「私は大丈夫…早く先に進みましょう」
俺に笑顔を見せるが明らかに顔が青く足取りもおぼつかない。
また無理をしてる…
俺が休もうと再度説得しようとしているとアレンさんがやってくる。
「お嬢様。無理して進むとゆうのなら俺が抱きかかえていきますよ?それでもいいですか?」
「うぅ…それは嫌…」
「じゃあ今日はここらで休みましょう」
アレンさんの一言であっさりと折れたベヌエット様。
いつもなら絶対に行くといいそうなのに…
俺の不思議そうな顔にアレンさんは笑いながらベヌエット様が折れた理由を教えてくれた。
「小さい頃からお嬢様が無理してると思ったら俺が無理矢理抱きかかえて帰ってたんだよ。だからこう言えば無理はしないんだよ」
なるほど。アレンさんはずっとベヌエット様の警護をしていたからよく分かってるんだな。
あぁベヌエット様の幼少期は本当に可愛かったんだろうな…と想像していると何かにつまづきよろけてしまう。
よろけた俺を近くにいたテオが支え軽く抱き寄せられる。
「シモンも足元ふらついてるよ」
「あぁ…ごめん。支えてくれてありがとな」
「シモンが歩けない時は、また僕が抱っこしてあげるから安心してね!」
「もう二度とされたくねーよ!」
俺達はいつものようにギャーギャーと言い合い、アレンさんとベヌエット様は微笑ましい物を見るような目で俺達の事を見ていた…
テントを張る周囲をベヌエット様に浄化してもらい瘴気が入り込まないように結界石を使用して結界を張った。
いつもは個人個人で小さなテントを張っていたが今日は結界を張るので範囲を小さくする為テントは3つにする。
ベヌエット様とアレンさん、ガルパス様、俺とテオで別れる事になったが…
テオがデカくてテントの中が狭い。
「テオもっと端によれよ。こっち狭いだろ」
「えー。もうこれ以上は動けないよぉー」
テオは横を向いて寝ている俺の背中にピッタリとくっつくように体を寄せてくる。
「ねぇシモン…起きてる?」
「なんだよ」
俺の頭の上からテオの甘い声が聞こえてくる。
まさか…エロいこと始めようとしてんじゃないよな…
「あのね…キスしていい…?」
「そんなのいつも勝手にしてくるだろ」
「ホッペとかじゃなくて…シモンの唇にしたい…」
何を今更…と思ったが確かに俺達は唇を重ねた事がないことに気付く。
散々それ以上の事をしてきたのに…改まって聞かれると考えてしまう。
俺が黙ったまま考えていると痺れを切らしたテオが俺の上に覆い被さってくる。
「ねぇシモン…ダメ?」
懇願するように潤んだ瞳を向けられ俺は顔を真っ赤に染める。
これまで全て許してきたのに今更キスを拒む理由が見つからなかった。
「少しだけな…」
テオは俺の返事を聞き嬉しそうに微笑むとゆっくりと唇を重ねてくる。
ちゅっとついばむような可愛らしいキスを何度かすると少し深く口づけテオの舌が俺の口の中に入ってくる。
俺の舌を絡めとると歯を立て軽く甘噛みしてくる。お互いの唾液が混ざり合い口の中でくちゅくちゅと音を立てる。
「んっ…んん…ふぁっ…」
テオの長く深いキスに俺は溺れかけ唇が離れた時には息を荒げていた。
テオの方を見るといつものように優しく微笑んでくれるが瞳はどこか悲しそうな色をしている。
「ねぇシモン…僕の事…好き…?」
俺はその質問を投げかけられ動揺する。
いつかテオから聞かれるのではないかと思っていた…
それまでに自分の中で答えが出るだろうと簡単に考えていた…
「分からない…」
俺はまだ答えが出せていない。
いや…無意識にその事を考えるのを拒んでいた。
「そっか…」
テオはそう言うと寂しさを埋めるように俺に何度も何度も唇を重ねてきた。
テオの気持ちを知っていたのに…
俺は本当に最低だ…
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