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繋がれた未来~不安定な魂~
戻ってきた日常
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「…$^##$…だから%%^##$」
なんかうるさい…誰だろう…
眼を微かに開けてみるとまばゆい光が僕を照らした。
「…まぶし」
思わずそう口にする。辺りを見渡すとお祖父様やコウ、神官っぽい人などたくさんいた。
「大丈夫か?気分が悪いとかないか?」
「…ないよ。僕はどれぐらい眠っていたの?」
「コウは3日ほど眠っていたがカイは1週間だな。」
なんでコウと同じじゃないんだよ…不思議だな…
「そっか…体調は悪くないよ。足も動くようになったし。…あっ、ごめんねユウリ。驚かせたね。」
10歳のしかも最近父親を亡くしたばかりの子どもの前で倒れたんだ。さぞかし驚いたことだろう。
「僕は大丈夫です。それより、カイさんは本当にもう大丈夫なんですか?」
紫の瞳がゆらゆらと不安気に揺れる。
「もちろんだよ。僕はそんな柔じゃない。そんなことよりユウリはエレンと仲直りできたの?」
「はい。もちろんです。ありがとうございます、カイさん。」
うーん、僕は何もしてないんだけどな…まあいいっか...
「カーティス…この前の家庭教師を呼んでおく。カイの体調が戻り次第ではあるが授業をしてもらうつもりだ。アイリス壌はもちろんのこと、コウ、イリアス、エレン、ユウリも受けてもらって構わない。」
「えっ、いいんですか?」
「ああ、もちろんだよ。カーティスは錬金術にも詳しいからたくさん質問にいきなさい。」
そう言ってお祖父様はユウリの頭をわしゃわしゃと撫でる。
「私はこの後少し予定があってね。先に失礼させてもらうよ。夕食の時にまた会おう。」
そう言ってお祖父様は軽く手を振り部屋から出ていった。
♢
「父上、それでお話とはなんでしょう?」
「…ああ…カイの予知眼か覚醒した。」
公爵がそう言った瞬間部屋の温度が2,3度下がった。
「…そうですか。」
「カイが卒業する少し前にお前に公爵位を譲るつもりだからそのつもりでいろ。」
公爵がそう言う理由は学院を卒業すると同時に爵位を貰うことができるようになるからだ。
「我が公爵家は父上も知っての通り予知眼保持者が代々当主を務めています。その伝統はどうするんです?」
「伝統?そんなもの数代続けば皆忘れてしまうだろう。」
「国王陛下はもちろんのこと他の公爵、特にエステラ卿は反対するでしょう。さすがに彼らを無視することは我々ハルシャ家でもできませんよ。」
クレインがそう言うのも無理はなかった。エステラ家は商業を司る公爵家で現当主は頭がかたいことで有名であるのだ。
「陛下にはもう言ってある。…エステラ卿、アイツは知らん。」
「それ以前に予知眼保持者を野放しにするわけにもいきません。カイくんは冒険者になりたいのでしょう?他国に渡る可能性もありますよね?」
「まあそうだろうな。だがカイを守ってやれなかった俺達にはそれを止める権限はない。」
公爵がそう言うと他国に嫁ぎ帰らぬ人となった妹のことを思い出してかクレインは悲しそうな表情をした。
「お前ははただカイのする選択を応援してあげなさい。お前も1人の子供をもつ父親なのだから。」
「…父上は私が公爵位に興味がないと言えばどうしていましたか?」
「志の高い傍系の者や信頼できるものに継がせていただろうな。正直、公爵になるのを嫌がっている血縁に世襲させるメリットも思いつかないんでな。でも、お前は嫌じゃないんだろう?」
その言葉を聞きクレインは嬉しげに笑う。
「…ええ、まあ。フィオレーナが嫁いでからはそれが自分の役目だと生きる意味だと思っていましたから。」
「あの時は悪かったな。俺にはお前を気にする余裕さえも無かったんだ。」
「分かっていますよ。…父上、そろそろ本題を話してもらえますか?まさかそのことだけで忙しい私をわざわざ呼びつけたわけではないでしょう?」
「わかったわかった。そう睨むな。…霞の森のことなんだがやっと手がかりを見つけたんだ。それを陛下の元に持っていってほしくてな。国家機密レベルのものだからお前にしか頼めないんだ。」
そう言って公爵は報告書が入った鞄を机に置いた。
「…父上が持っていかれればよろしいじゃないですか」
「カイが眼を覚ますまで待つわけにはいかないし、カイの側を離れるわけにもいかないと思ってお前を呼んだんだが、お前がここに着いた時にちょうどカイが目を覚ましたんだ。呼んだのに何もせず帰すのはダメかと思ってな。」
「…はぁ…まあいいです。持っていって差し上げますよ。それではお先に失礼します。」
そう言ってクレインは部屋を出ていったのだった。
なんかうるさい…誰だろう…
眼を微かに開けてみるとまばゆい光が僕を照らした。
「…まぶし」
思わずそう口にする。辺りを見渡すとお祖父様やコウ、神官っぽい人などたくさんいた。
「大丈夫か?気分が悪いとかないか?」
「…ないよ。僕はどれぐらい眠っていたの?」
「コウは3日ほど眠っていたがカイは1週間だな。」
なんでコウと同じじゃないんだよ…不思議だな…
「そっか…体調は悪くないよ。足も動くようになったし。…あっ、ごめんねユウリ。驚かせたね。」
10歳のしかも最近父親を亡くしたばかりの子どもの前で倒れたんだ。さぞかし驚いたことだろう。
「僕は大丈夫です。それより、カイさんは本当にもう大丈夫なんですか?」
紫の瞳がゆらゆらと不安気に揺れる。
「もちろんだよ。僕はそんな柔じゃない。そんなことよりユウリはエレンと仲直りできたの?」
「はい。もちろんです。ありがとうございます、カイさん。」
うーん、僕は何もしてないんだけどな…まあいいっか...
「カーティス…この前の家庭教師を呼んでおく。カイの体調が戻り次第ではあるが授業をしてもらうつもりだ。アイリス壌はもちろんのこと、コウ、イリアス、エレン、ユウリも受けてもらって構わない。」
「えっ、いいんですか?」
「ああ、もちろんだよ。カーティスは錬金術にも詳しいからたくさん質問にいきなさい。」
そう言ってお祖父様はユウリの頭をわしゃわしゃと撫でる。
「私はこの後少し予定があってね。先に失礼させてもらうよ。夕食の時にまた会おう。」
そう言ってお祖父様は軽く手を振り部屋から出ていった。
♢
「父上、それでお話とはなんでしょう?」
「…ああ…カイの予知眼か覚醒した。」
公爵がそう言った瞬間部屋の温度が2,3度下がった。
「…そうですか。」
「カイが卒業する少し前にお前に公爵位を譲るつもりだからそのつもりでいろ。」
公爵がそう言う理由は学院を卒業すると同時に爵位を貰うことができるようになるからだ。
「我が公爵家は父上も知っての通り予知眼保持者が代々当主を務めています。その伝統はどうするんです?」
「伝統?そんなもの数代続けば皆忘れてしまうだろう。」
「国王陛下はもちろんのこと他の公爵、特にエステラ卿は反対するでしょう。さすがに彼らを無視することは我々ハルシャ家でもできませんよ。」
クレインがそう言うのも無理はなかった。エステラ家は商業を司る公爵家で現当主は頭がかたいことで有名であるのだ。
「陛下にはもう言ってある。…エステラ卿、アイツは知らん。」
「それ以前に予知眼保持者を野放しにするわけにもいきません。カイくんは冒険者になりたいのでしょう?他国に渡る可能性もありますよね?」
「まあそうだろうな。だがカイを守ってやれなかった俺達にはそれを止める権限はない。」
公爵がそう言うと他国に嫁ぎ帰らぬ人となった妹のことを思い出してかクレインは悲しそうな表情をした。
「お前ははただカイのする選択を応援してあげなさい。お前も1人の子供をもつ父親なのだから。」
「…父上は私が公爵位に興味がないと言えばどうしていましたか?」
「志の高い傍系の者や信頼できるものに継がせていただろうな。正直、公爵になるのを嫌がっている血縁に世襲させるメリットも思いつかないんでな。でも、お前は嫌じゃないんだろう?」
その言葉を聞きクレインは嬉しげに笑う。
「…ええ、まあ。フィオレーナが嫁いでからはそれが自分の役目だと生きる意味だと思っていましたから。」
「あの時は悪かったな。俺にはお前を気にする余裕さえも無かったんだ。」
「分かっていますよ。…父上、そろそろ本題を話してもらえますか?まさかそのことだけで忙しい私をわざわざ呼びつけたわけではないでしょう?」
「わかったわかった。そう睨むな。…霞の森のことなんだがやっと手がかりを見つけたんだ。それを陛下の元に持っていってほしくてな。国家機密レベルのものだからお前にしか頼めないんだ。」
そう言って公爵は報告書が入った鞄を机に置いた。
「…父上が持っていかれればよろしいじゃないですか」
「カイが眼を覚ますまで待つわけにはいかないし、カイの側を離れるわけにもいかないと思ってお前を呼んだんだが、お前がここに着いた時にちょうどカイが目を覚ましたんだ。呼んだのに何もせず帰すのはダメかと思ってな。」
「…はぁ…まあいいです。持っていって差し上げますよ。それではお先に失礼します。」
そう言ってクレインは部屋を出ていったのだった。
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