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繋がれた未来~不安定な魂~
夢幻世界~不審な男~
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「なに、、これ…でっかい鉄?が動いてる…馬もおらんのに…」
コウは目の前を走る車に唖然とする。じーっと見ていると運転者が睨み付けてきたのでコウはフイッと眼を逸らした。
「いや、、ええわ…考えんのやめよ...」
当てもなく見たこともないビルの群集が建ち並ぶ道を急ぎ歩きで進んでいく。深夜のためもともと人が少なかったこともあってか、コウが裸足であることに誰も気にすることなく通りすぎていった。
「無関心な町やな…」
そう呟くも誰からの反応もない。
「さっきから視界が変やな…人の顔がぼやけて見える。」
コウが他の人を真似てスクランブル交差点を渡っていた時に、他の人よりもはっきりと見える男とすれ違った。
帽子を目深く被っていたが確かにカイと同じ顔だった。
「っ!!」
咄嗟に反転し見失うまいと後を追いかける。
それに気づいたのかカイは早歩きで歩道まで行き、急に走り出した。
「ちよっ…!!どこいくねーん!」
それをコウは走って追いかける。本気で走っていないのか撒かれることはなかった。数分そんな鬼ごっこを続けているとカイはさっと人がひとりもいなさそうな路地裏に入った。
「はぁっ、はぁ...なんなんこれ…さすが、、こっちで体力バカなんやな」
そう言いながらコウもカイの後に続く。
何度か曲がった所でコウは眼を見開き足を止めた。
カイが壁に腕を組ながらもたれていたのだ。まるで初めからここに誘導していたかのように余裕をもって。
「…君がコウだな?」
そう言ってカイは帽子を取った。カイの顔は10代のものではなくもう少し大人びていた。そして瞳の色が血のように真っ赤だった。
「…そうやけど…アンタ、誰や?」
「俺はライ。詳細を話すと混乱するだろうから言わないが目的は同じだ。といっても最悪な結末を迎えることはもうないがな。」
「なんでそう言いきれんねん」
「俺がいるからだ。お前が失敗しても俺がカバーするから問題ない。だが、俺にも制約がある。俺はカイには接触できないし言葉を交わすこともできない。ヒントをやる。結末を変えるだけじゃダメなんだ。世界を壊さなければならない。そうするためにはカイを言葉によって揺さぶる必要がある。」
「そんなこと言ってもカイがどこにおるかもわからへんねやで?」
「犬を見つけろ。そしたら自ずとわかってくる。んじゃ後は頑張れ~」
そう言ってライが手を振る。
「…アンタは俺の味方なん?」
「…愚問だな。俺はお前に借りがあるカイに借りがある。つまりだ、お前は俺の恩人だということだ。」
「複雑すぎひん?よくわからへんねんけど。」
「ふっ…それでいい、お前はそのままがいい。」
そう言ってライは意味深に笑った。
「あと、視界がおかしいねん。何でかわかる?」
「ここはカイが創った世界だ。アイツの興味のないものなんかは全部、視力0.1の人と同じぐらいにしか見えない。」
「そうなんや…なあライ、この街おかしないか?みんな無関心過ぎる。」
「おかしいさ。だが、そのおかしさがこの街にとっての普通なんだ。自分がよければそれでいい、そう思っている人間ばかりなんだよ。まあ人間とは本質的にはそういった生き物だとは思うけどな。カイも俺もそんな街、いや、そんな世界で生まれたんだ。この世界の住人は他人の苦しみなんて知ったこっちゃないし、そもそも自己中心的に生きないと生き残れないんだ。おかしいよな?…そろそろ時間切れだ。それじゃ本当にさようならだ。」
「…もう行くん?」
「万物神レイに気づかれないようにしなくちゃいけないからな。ああ...あとこれはプレゼントだ。」
そうライが告げた瞬間ライの姿は霧のように消えていき、コウの足には靴がはかされていた。
「…犬を探すんか…取りあえずカイの興味のある場所に行けば見つかるんかな?」
コウはそう独り言を行ってよく見える方へと歩いていった。
♢
「クゥン…」
「…なあ君はルーンなん?…はぁぁ…どこにおんねん…」
そうコウがため息をついた時1匹の犬が近寄ってきた。真っ黒なその毛並みはコウにルーンを思い出させた。
「ルーン…?」
「わふっ!!」
「ルーンなんか?!!カイのおる場所知らへん?早く見つけなあかんねん!!」
「わっふん!」
そう言ってルーンはコウのいた路地裏から走って出る。コウはそれを追いかけたのだった。
コウは目の前を走る車に唖然とする。じーっと見ていると運転者が睨み付けてきたのでコウはフイッと眼を逸らした。
「いや、、ええわ…考えんのやめよ...」
当てもなく見たこともないビルの群集が建ち並ぶ道を急ぎ歩きで進んでいく。深夜のためもともと人が少なかったこともあってか、コウが裸足であることに誰も気にすることなく通りすぎていった。
「無関心な町やな…」
そう呟くも誰からの反応もない。
「さっきから視界が変やな…人の顔がぼやけて見える。」
コウが他の人を真似てスクランブル交差点を渡っていた時に、他の人よりもはっきりと見える男とすれ違った。
帽子を目深く被っていたが確かにカイと同じ顔だった。
「っ!!」
咄嗟に反転し見失うまいと後を追いかける。
それに気づいたのかカイは早歩きで歩道まで行き、急に走り出した。
「ちよっ…!!どこいくねーん!」
それをコウは走って追いかける。本気で走っていないのか撒かれることはなかった。数分そんな鬼ごっこを続けているとカイはさっと人がひとりもいなさそうな路地裏に入った。
「はぁっ、はぁ...なんなんこれ…さすが、、こっちで体力バカなんやな」
そう言いながらコウもカイの後に続く。
何度か曲がった所でコウは眼を見開き足を止めた。
カイが壁に腕を組ながらもたれていたのだ。まるで初めからここに誘導していたかのように余裕をもって。
「…君がコウだな?」
そう言ってカイは帽子を取った。カイの顔は10代のものではなくもう少し大人びていた。そして瞳の色が血のように真っ赤だった。
「…そうやけど…アンタ、誰や?」
「俺はライ。詳細を話すと混乱するだろうから言わないが目的は同じだ。といっても最悪な結末を迎えることはもうないがな。」
「なんでそう言いきれんねん」
「俺がいるからだ。お前が失敗しても俺がカバーするから問題ない。だが、俺にも制約がある。俺はカイには接触できないし言葉を交わすこともできない。ヒントをやる。結末を変えるだけじゃダメなんだ。世界を壊さなければならない。そうするためにはカイを言葉によって揺さぶる必要がある。」
「そんなこと言ってもカイがどこにおるかもわからへんねやで?」
「犬を見つけろ。そしたら自ずとわかってくる。んじゃ後は頑張れ~」
そう言ってライが手を振る。
「…アンタは俺の味方なん?」
「…愚問だな。俺はお前に借りがあるカイに借りがある。つまりだ、お前は俺の恩人だということだ。」
「複雑すぎひん?よくわからへんねんけど。」
「ふっ…それでいい、お前はそのままがいい。」
そう言ってライは意味深に笑った。
「あと、視界がおかしいねん。何でかわかる?」
「ここはカイが創った世界だ。アイツの興味のないものなんかは全部、視力0.1の人と同じぐらいにしか見えない。」
「そうなんや…なあライ、この街おかしないか?みんな無関心過ぎる。」
「おかしいさ。だが、そのおかしさがこの街にとっての普通なんだ。自分がよければそれでいい、そう思っている人間ばかりなんだよ。まあ人間とは本質的にはそういった生き物だとは思うけどな。カイも俺もそんな街、いや、そんな世界で生まれたんだ。この世界の住人は他人の苦しみなんて知ったこっちゃないし、そもそも自己中心的に生きないと生き残れないんだ。おかしいよな?…そろそろ時間切れだ。それじゃ本当にさようならだ。」
「…もう行くん?」
「万物神レイに気づかれないようにしなくちゃいけないからな。ああ...あとこれはプレゼントだ。」
そうライが告げた瞬間ライの姿は霧のように消えていき、コウの足には靴がはかされていた。
「…犬を探すんか…取りあえずカイの興味のある場所に行けば見つかるんかな?」
コウはそう独り言を行ってよく見える方へと歩いていった。
♢
「クゥン…」
「…なあ君はルーンなん?…はぁぁ…どこにおんねん…」
そうコウがため息をついた時1匹の犬が近寄ってきた。真っ黒なその毛並みはコウにルーンを思い出させた。
「ルーン…?」
「わふっ!!」
「ルーンなんか?!!カイのおる場所知らへん?早く見つけなあかんねん!!」
「わっふん!」
そう言ってルーンはコウのいた路地裏から走って出る。コウはそれを追いかけたのだった。
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