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アルバード王立高等学院~迫りくる悪の手~

僕の処遇

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「初めまして、カイくん。君の処遇について少し話があるんだがいいかな?もし体調が優れなかったら別日をもうけよう。」

表情は穏和であるが眼が真剣そのものである。なんか物凄く怖い…

「いや、いいです。…僕の処遇って…死刑ですか?やっぱり王道のギロチンですか?いや、仮にも貴族だから服毒か…」

そうぶつぶつと呟いていると、陛下は眼をぱちくりとさせてお祖父様に非難するような目線を送った。

「…師匠、私が極悪非道の国王だと彼に教えたんですか?」

「いや?そんなはずはない。てゆうかお前のことについて一言も話したことはないな。」

なんのことを言っているのかよくわからないが取りあえず先手必勝である。とにかく僕の有能性について演説しなければ…

「あのっ、陛下…僕を殺さない方がいいと思います。」

僕のそんな発現になんでかはわからないが陛下は困惑の表情を示した。

「…なぜかな?」


「人的損失が大きすぎます。僕はおそらく予知眼の保持者です。他国への牽制に必要ではありませんか?お祖父様は僕よりもはやく死にます。陛下の次の世代に予知眼の保持者が現れなかったら困りますよね?」


「…まず誤解を解かせてほしい。君を死刑に処す気はこれっぽっちもない。たとえ民衆がそれを望んでも、だ。君のお祖父様、つまりはハルシャ公爵は私の剣の師匠で先王陛下の親友なんだ。その上君の母上、フィオレーナやその兄クレインは私の幼なじみ。それにね、公爵家の直系を死刑にすることは国家反逆罪ぐらいでないと難しいんだ。殺人ぐらいだと悪くて平民に降格や生涯軟禁ぐらいだろうな。しかも今回の事件では君に非がない。逆に警備が緩かったんじゃないかといろいろな方面から責められたよ。」

うん?もしかして…

「それでだ。この事件にはもしかしたら学院の生徒が関わっている可能性も否めないため、極秘にカイと祭りに参加しなかった生徒を除いた全学生の調査が進んでいる。」

お祖父様がそう言うと陛下は小さく頷いた。

「その調査が終わるまでカイくんには休学してもらいたい。学院外にはなってしまうけれど師匠が見ている時にするという条件つきで召喚術の授業は許可したので授業に遅れる心配はない。」

…僕の勘違いか…はずっ…

「…どれくらいかかりますか?」


「特別試験をギリギリ受けれるぐらい、つまりは神の月下旬ぐらいには復帰できると思っている。」

だいたい2ヶ月ぐらいか…

「わかりました。」

「言うのを忘れていましたが、今日から2週間は絶対安静ですからね。どうして1週間眠っていた人が剣を振り回せるのかは謎ですが、一度でも魂と身体が離れてしまったらそこから数週間は気をつけないとダメですよ。カイくんと同じ状況の人で寝ている間にあの世へいってしまった人を何人も見ていますから。身体がもう一度魂と馴染むための期間が必要だということは覚えておいてくださいね。」


「わかりました。…1つ聞きたいことがあるんですけど…どうして僕は警備の少ない地下牢に入れられていたんですか?」


「あの地下牢は特別製でね。見た目は加工しているからわかりづらいんだけれど、どこもかしこも世界樹で造られているんだ。世界樹には神聖な神の力が宿っているからその中に悪魔などを入れれば非常に苦しむんだ。たとえ見張りがいなくても問題ないほどには効果がある。もちろん人間には影響がないからすぐに出られるのだけどね。カイくんが眼を覚ました時にすぐに対応できるようにと見張りは置いていただけだから安心してくれ。」

見張り?見張りといえば…

「あっ、、、僕、見張りの人を蹴っちゃったんですけど…」


「彼らは一応聖騎士ですから自分で治療できますので問題ありませんよ。ルークス様、もうライズへお帰りになられますか?」


「そうだな。カイ、今からヴァイアスに乗ってライズまで移動しようと思うんだが大丈夫かい?」

今からかよ…

「…ヴァイアスって何ですか?」


「私の相棒のワイバーンだ。カイは私が抱えるから寝てても構わないよ。」

さすがに僕の肝はそんなに大きくないのだが…

「問題はないデス」

僕がそう言うとお祖父様は満足げに頷き僕の手首につけられていた拘束具を簡単に外した。

「そういうわけだから私たちはそろそろ行く。例の件だがまだ進展はない。何かあったらまた連絡する。」


「わかりました。お気をつけて。」

お祖父様は陛下よりも立場が上なのか下のかよくわからないな…


「我が召喚に応えよ、ヴァイアス!」

お祖父様がそう叫ぶと空中にワイバーンが現れた。

…めっちゃ厳つくない?怖いんだけど…

「怖いなら眼をつぶっておきなさい。数時間後にはライズについている。馬車よりもこっちの方が体に負担をかけないだろう。」

そう言ってお祖父様は僕を抱き抱えて風魔法を使いワイバーンにまたがった。

高所恐怖症ではないがこれは嫌だな…お祖父様も僕を抱えているから片方の手でしか手綱を握ってないし…

「よしっ、行くぞ!」

という言葉で僕は考えることを放棄したのだった。
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