上 下
117 / 147
アルバード王立高等学院~迫りくる悪の手~

カイの日記~机上の空論~

しおりを挟む
僕らがとれる選択肢は全部で4つある。

1つ目は
正攻法で1位を目指すこと。

これはおそらく出来そうにないので個人的にはおすすめしない


2つ目は
少しずるをして1位を目指すこと。

これが一番可能性があるように思える


3つ目は
諦めること。

一応選択肢の1つとしてある。1、2の選択肢ではあまりにも優勝する確率が少なすぎるのだ。


この3つを彼らに提示し議論を重ねた。

その中での発表した僕の案はこれだ。

ますば1店目の雑貨屋について説明しよう。

普段彼らが狩っているのはスライムやゴブリンなどの魔物類である。魔物は必ず魔石を落とす。

参考程度に値段をあげておくと、

ホーンラビット  1個500リビア
ホーンバード  1個400リビア
コボルト   1個700リビア  
               ぐらいだ。

魔物の属性によって落とす魔石の色も変わってくる。

火であれば赤色
火と水であれば赤色か青色、もしくは紫色

という感じで色とりどりなのである。

それらを上手く丸っこい形に変えることができればビー玉の劣化版の完成である。

魔石は主に魔道具を動かす電池のような役割をしているので装飾品に使ったりはあまりしない。

保守派の貴族達はあまり好まないかもしれないが平民ならどうだろうか?

クラブ対抗祭は王都の大広場で行われるため、一般人も参加することができる。

つまりは貴族よりも平民の方が顧客としては多いのである。

1つの魔石から2つほど作れるとして

赤や青などを1つ1000リビアほとで売って、紫などの出る確率の低いものは1500リビアで売ればよい。

また、それらに穴をあけて腕輪やネックレス、ピアスなんかを作ってもいい。

大人のつけるものであれば多少高くとも買ってくれるだろう。もちろん気に入ってもらえるようなものでなければならないが。

上で述べたものは販売過程が面倒なだけで、売り子などはあまり必要でないのがポイントだ。


次に2店目の宝くじについて説明しよう。

1回1000リビアで

1等 50万リビア   1人
2等 10万リビア   5人
3等 雑貨屋の商品  5%
4等 雑貨屋の割引券 10%
5等 ガラクタ    35%
ハズレ          50%

という具合だ。もちろん初期費用は僕が出すつもりでいる。

あまりこういったことは見慣れないだろうから食いつく人は少なくないはずだ。


そして最後の3つ目は

売り子として店にいる必要のない人達が各々の特技を使ってパフォーマンスをすることだ。

貴族をアッと言わせることができるものをすれば大量のお金が貰えることだろう。

という感じのことを淡々と語ると満場一致で僕の案を採用することになった。

新参ものの意見を全面的にきいてもいいのだろうか?僕は経済学者でもベテランの商人でもない。ただの夢物語を語っただけにすぎないのだ。

そこにはなんの責任もなくただ皆に希望を見せつけただけだ。

クラブの人達には言っていないが、もし仮にこれが成功しなかった場合はクラブ対抗祭りの恒例行事、チェス大会で優勝したときの賞金をあげるつもりでいる。

殿下の話によると

賞金は毎年一律で  1位が50万リビア
          2位が30万リビア
          3位が10万リビア

上位3名になった人はチェスクラブの人と戦う権利が貰えて、もし勝つことができたら

1位の人は300万リビア
2位の人は100万リビア
3位の人は50万リビア   獲得できるらしい

もちろん負ければ賞金はなくなる。

また、それならば僕が300万リビアを払ってあげればいいじゃないかと言われるかもしれないがそんなに上手くはいかない。

おそらく貸した借りてない問題がおきるためであろうが、学院側に生徒間での金銭のやり取りは厳しく取り締まられているのだ。

しかし、狩ったモンスターを誰かにあげる行為は禁止されていないので200万リビアもの大金を集めることができたのだろう。

話は戻るが、なぜそれならばチェス大会の賞金をあげることができるのか説明しよう。

応募用紙に自分以外にもう1人名前を書くことがでいるのだ。本来それを書けば2対1で戦うことになるが持ち時間が少なくなるのでほとんどの人はやらない。

ただ、そこに名前を書けば賞金のちょうど半分を渡すことができるのだ。


追伸

クラブ対抗祭にはお祖父様やコウ達も来れるようだ。今からでも楽しみでしかたがない。
学校の行事で家族と共に楽しめたことなんて一度もなかったのだから…


そこまで書いて僕は日記帳を閉じて窓枠に座った。

少し欠けた月がこちらを見下ろしていた。手を伸ばしても届かない場所にいるそれに少し微笑む。
 

そう、焦らなくていい


どこからからレイの声が聞こえたような気がした。

少し寂しくなった一人きりの部屋に少し冷たい風が入ってくる。

もうすぐ夏が終わって秋がくるのだ

学院で過ごす初めての秋に僕は少し心を踊らせるのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者が仲間になりたそうにこちらを見ている

まる
ファンタジー
 樋口康平はそこそこどこにでもいるごく平凡な人間を自負する高校生。  春休みのある日のこと、いつものように母親の経営する喫茶店・ピープルの店番をしていると勇者を名乗る少女が現れた。  手足と胴に鎧を纏い、腰に剣を差した銀髪の美少女セミリア・クルイードは魔王に敗れ、再び魔王に挑むべく仲間を捜しに異世界からやって来たと告げる。  やけに気合の入ったコスプレイヤーが訪れたものだと驚く康平だが、涙ながらに力を貸してくれと懇願するセミリアを突き放すことが出来ずに渋々仲間捜しに協力することに。  結果現れた、ノリと音楽命の現役女子大生西原春乃、自称ニートで自称オタクで自称魔女っ娘なんとかというアニメのファンクラブを作ったと言っても過言ではない人物らしい引き籠もりの高瀬寛太の二人に何故か自分と幼馴染みの草食系女子月野みのりを加えた到底魔王など倒せそうにない四人は勇者一行として異世界に旅立つことになるのだった。  そんな特別な力を持っているわけでもないながらも勇者一行として異世界で魔王を倒し、時には異国の王を救い、いつしか多くの英傑から必要とされ、幾度となく戦争を終わらせるべく人知れず奔走し、気付けば何人もの伴侶に囲まれ、のちに救世主と呼ばれることになる一人の少年の物語。  敢えて王道? を突き進んでみるべし。  スキルもチートも冒険者も追放も奴隷も獣人もアイテムボックスもフェンリルも必要ない!  ……といいなぁ、なんて気持ちで始めた挑戦です。笑 第一幕【勇者が仲間になりたそうにこちらを見ている】 第二幕【~五大王国合同サミット~】 第三幕【~ただ一人の反逆者~】 第四幕【~連合軍vs連合軍~】 第五幕【~破滅の三大魔獣神~】

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。 死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?

伊東 丘多
ファンタジー
ジャストキルでしか、手に入らないレアな石を取るために冒険します 小さな少年が、独自の方法でスキルアップをして強くなっていく。 そして、田舎の町から王都へ向かいます 登場人物の名前と色 グラン デディーリエ(義母の名字) 8才 若草色の髪 ブルーグリーンの目 アルフ 実父 アダマス 母 エンジュ ミライト 13才 グランの義理姉 桃色の髪 ブルーの瞳 ユーディア ミライト 17才 グランの義理姉 濃い赤紫の髪 ブルーの瞳 コンティ ミライト 7才 グランの義理の弟 フォンシル コンドーラル ベージュ 11才皇太子 ピーター サイマルト 近衛兵 皇太子付き アダマゼイン 魔王 目が透明 ガーゼル 魔王の側近 女の子 ジャスパー フロー  食堂宿の人 宝石の名前関係をもじってます。 色とかもあわせて。

収納持ちのコレクターは、仲間と幸せに暮らしたい。~スキルがなくて追放された自称「か弱い女の子」の元辺境伯令嬢。実は無自覚チートで世界最強⁉~

SHEILA
ファンタジー
生まれた時から、両親に嫌われていた。 物心ついた時には、毎日両親から暴力を受けていた。 4年後に生まれた妹は、生まれた時から、両親に可愛がられた。 そして、物心ついた妹からも、虐めや暴力を受けるようになった。 現代日本では考えられないような環境で育った私は、ある日妹に殺され、<選択の間>に呼ばれた。 異世界の創造神に、地球の輪廻の輪に戻るか異世界に転生するかを選べると言われ、迷わず転生することを選んだ。 けれど、転生先でも両親に愛されることはなくて…… お読みいただきありがとうございます。 のんびり不定期更新です。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

世界樹を巡る旅

ゴロヒロ
ファンタジー
偶然にも事故に巻き込まれたハルトはその事故で勇者として転生をする者たちと共に異世界に向かう事になった そこで会った女神から頼まれ世界樹の迷宮を攻略する事にするのだった カクヨムでも投稿してます

異世界転生したので、のんびり冒険したい!

藤なごみ
ファンタジー
アラサーのサラリーマンのサトーは、仕事帰りに道端にいた白い子犬を撫でていた所、事故に巻き込まれてしまい死んでしまった。 実は神様の眷属だった白い子犬にサトーの魂を神様の所に連れて行かれた事により、現世からの輪廻から外れてしまう。 そこで神様からお詫びとして異世界転生を進められ、異世界で生きて行く事になる。 異世界で冒険者をする事になったサトーだか、冒険者登録する前に王族を助けた事により、本人の意図とは関係なく様々な事件に巻き込まれていく。 貴族のしがらみに加えて、異世界を股にかける犯罪組織にも顔を覚えられ、悪戦苦闘する日々。 ちょっとチート気味な仲間に囲まれながらも、チームの頭脳としてサトーは事件に立ち向かって行きます。 いつか訪れるだろうのんびりと冒険をする事が出来る日々を目指して! ……何時になったらのんびり冒険できるのかな? 小説家になろう様とカクヨム様にも投稿しました(20220930)

処理中です...