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アルバード王立高等学院~迫りくる悪の手~
緊急会議
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少し前に遡る。
これは、カイが学院へと戻った後すぐにあった出来事である。
王宮では国の命運を左右しかねない重大なことについて議論する緊急会議が開かれていた。
この会議には通常国王と公爵家のみが出席し、驚異的な事件の捜査や戦争についての話し合いをする。
公爵家にはそれぞれ役割があり
脅威的な身体能力と戦闘センスを有するハルシャ家は戦略を
治癒術専門のロゼリア家は被害がおきた地域への支援を
魔塔の主であるヘリオス家は捜査の協力や結界の展開を
巨大な商会を持つエステラ家は経済のコントロールをしなければならない。
しかし、この場には国王と公爵家の当主以外の人がいた。
「レイモン伯爵、状況の説明を。」
レイモン伯爵、フィール・レイモンはアルクィンの領主である。
10この伯爵家を信頼という絆で纏めあげた素晴らしい人格者として民の間では人気が高い人物だ。
国境を守る伯爵家の代表としてこの会議に出席していた。
「はい。ハールーン帝国からの密偵や使いの者はまだ来ていません。それどころか国境沿いでの軍事演習などが全てなくなりました。」
「てことは、やっぱりハールーン帝国の新国王は本当に我々との同盟を望んでいるんじゃないの?」
と、この前ヘリオス公爵家と魔塔をついだばかりのヴァスナー・ヘリオスがパァーっと顔を明るくして言う。
「そんな簡単なことじゃないぞ、若造。俺達は新国王とやらに会ったこともないじゃないか。」
ヴァスナーをそう咎めるのは商業を牛耳るエステラ家の当主、ルナンド・エステラ。
「若造って、、。それ、フラージュ様にも言えます?フラージュ様も俺と同い年ですよ。」
「それとこれとは別の話だ!とゆうか話をそらすな!」
「まあまあ、お二人とも。陛下の御前ですよ。もう少し落ち着いてくださいな。…それに、ヴァスナー様の言った通り彼らも本当に望んでいるかもしれませんよ?」
そう言って少し微笑むのは聖女の称号をもつロゼリア家当主、フラージュ・ロゼリア。
ヴァスナーとフラージュは18歳であり年若いが才能は飛び抜けていて、社交界でも注目の的となっていた。
「…そうだといいがな。」
とハルシャ家の当主が呟くように答える。
「ハルシャ家のオッサン、なんか弱気じゃね?」
そう言って魔塔の王はケラケラと笑う。
「前国王を倒したヤツだぞ?イシカガ ライとかいう人物は強くて頭のきれるやつの可能性が高い。」
「それでもシェナード王国には敵わないでしょ!陛下はどう思います?」
魔塔の王の傍若無人っぷりに苦笑しつつ国王は口を開けた。
「この国の軍事力は近年ハールーン帝国がちょっかいをだしてくるお陰でどんどんあがってきているのは確かだ。だが、我が国は知っての通りハールーン帝国と反対側の場所に“混沌の森”がある。帝国が攻めてきている時にスタンピードでもあったら速攻で負けるだろうな。そうでなくとも、このところ少しずつ魔物の量が増えてきているようだからそっちにも兵をさかなければならないんだ。」
「そりゃルークスが弱気になるわけだ。」
「それだけじゃない。少し前ライズの霞の山にこんなものが転がっていた。」
そう言ってハルシャ家の当主が机に黒い魔石を置く。
「これは!!…ほんとうですか?!」
と思わず国王が叫ぶ。
「…おい、陛下。会議で敬語は使わないって話だったんじゃないのか?」
「すみま…ゴホン、、すまない。少し我を忘れてしまった。ヘリオス公爵、これは本物か?」
「ええ。パッとみだけで分かりますよ。こんな禍々しいものよく持ってこれましたね?」
そう言って魔塔の主はハルシャ家の当主に呆れた眼を向ける。
「それにしてもこのような大きな“穢れた魔石”は初めて見ました。浄化するにも時間がかかるかと。」
“穢れた魔石”とは呪術、または黒魔法と言われている禁忌に触れる魔法によって身を支配された魔物を倒したさいに出る魔石のことである。
放置すると何が起こるか定かではないため、すぐに神官などによって浄化しなければならない。
「浄化できるのなら構わない。魔石に関してはロゼリア公爵に任せる。」
「承知いたしました。」
「ハルシャ家は霞の山で起きたことについての徹底的な調査をお願いしたい。」
「できるだけのことはしよう。だが、相手はかなりの大物。なんの手がかりもない可能性が高いとはおもっておいてくれ。」
「わかった。ヘリオス家には黒魔法に関しての調査をお願いしたい。」
「任せてくださいよ!魔塔の王の名にかけて有益な情報を見つけ出します!!」
「それは頼もしいな。…最後にエステラ家には貴族の脱税や闇オークションなどの参加について調べてほしい。」
「陛下の頼みとあらばなんでもいたしましょう。」
そうエステラ家当主が言った後、間髪をいれずに
「どうして脱税なんです?」
と魔塔の主が尋ねる。
「そんなこともわからないだと?お前のその脳ミソは飾り物か!」
とエステラ家の当主が怒る。
「黒魔法は普通の資産家でも手がだせないほどの高額な道具を使うんです。強い兵士がたくさんいるハルシャ家の直轄領であるライズに“穢れた魔石”があったということは多少誤魔化しのきく我々貴族が1枚噛んでいる可能性が高いということです。」
そう聖女が言う。
「というわけだ。皆にも都合があると思うので、これで一旦緊急会議は終わりとする。」
陛下のその一言で一人、また一人と会議室を出ていったのだった。
これは、カイが学院へと戻った後すぐにあった出来事である。
王宮では国の命運を左右しかねない重大なことについて議論する緊急会議が開かれていた。
この会議には通常国王と公爵家のみが出席し、驚異的な事件の捜査や戦争についての話し合いをする。
公爵家にはそれぞれ役割があり
脅威的な身体能力と戦闘センスを有するハルシャ家は戦略を
治癒術専門のロゼリア家は被害がおきた地域への支援を
魔塔の主であるヘリオス家は捜査の協力や結界の展開を
巨大な商会を持つエステラ家は経済のコントロールをしなければならない。
しかし、この場には国王と公爵家の当主以外の人がいた。
「レイモン伯爵、状況の説明を。」
レイモン伯爵、フィール・レイモンはアルクィンの領主である。
10この伯爵家を信頼という絆で纏めあげた素晴らしい人格者として民の間では人気が高い人物だ。
国境を守る伯爵家の代表としてこの会議に出席していた。
「はい。ハールーン帝国からの密偵や使いの者はまだ来ていません。それどころか国境沿いでの軍事演習などが全てなくなりました。」
「てことは、やっぱりハールーン帝国の新国王は本当に我々との同盟を望んでいるんじゃないの?」
と、この前ヘリオス公爵家と魔塔をついだばかりのヴァスナー・ヘリオスがパァーっと顔を明るくして言う。
「そんな簡単なことじゃないぞ、若造。俺達は新国王とやらに会ったこともないじゃないか。」
ヴァスナーをそう咎めるのは商業を牛耳るエステラ家の当主、ルナンド・エステラ。
「若造って、、。それ、フラージュ様にも言えます?フラージュ様も俺と同い年ですよ。」
「それとこれとは別の話だ!とゆうか話をそらすな!」
「まあまあ、お二人とも。陛下の御前ですよ。もう少し落ち着いてくださいな。…それに、ヴァスナー様の言った通り彼らも本当に望んでいるかもしれませんよ?」
そう言って少し微笑むのは聖女の称号をもつロゼリア家当主、フラージュ・ロゼリア。
ヴァスナーとフラージュは18歳であり年若いが才能は飛び抜けていて、社交界でも注目の的となっていた。
「…そうだといいがな。」
とハルシャ家の当主が呟くように答える。
「ハルシャ家のオッサン、なんか弱気じゃね?」
そう言って魔塔の王はケラケラと笑う。
「前国王を倒したヤツだぞ?イシカガ ライとかいう人物は強くて頭のきれるやつの可能性が高い。」
「それでもシェナード王国には敵わないでしょ!陛下はどう思います?」
魔塔の王の傍若無人っぷりに苦笑しつつ国王は口を開けた。
「この国の軍事力は近年ハールーン帝国がちょっかいをだしてくるお陰でどんどんあがってきているのは確かだ。だが、我が国は知っての通りハールーン帝国と反対側の場所に“混沌の森”がある。帝国が攻めてきている時にスタンピードでもあったら速攻で負けるだろうな。そうでなくとも、このところ少しずつ魔物の量が増えてきているようだからそっちにも兵をさかなければならないんだ。」
「そりゃルークスが弱気になるわけだ。」
「それだけじゃない。少し前ライズの霞の山にこんなものが転がっていた。」
そう言ってハルシャ家の当主が机に黒い魔石を置く。
「これは!!…ほんとうですか?!」
と思わず国王が叫ぶ。
「…おい、陛下。会議で敬語は使わないって話だったんじゃないのか?」
「すみま…ゴホン、、すまない。少し我を忘れてしまった。ヘリオス公爵、これは本物か?」
「ええ。パッとみだけで分かりますよ。こんな禍々しいものよく持ってこれましたね?」
そう言って魔塔の主はハルシャ家の当主に呆れた眼を向ける。
「それにしてもこのような大きな“穢れた魔石”は初めて見ました。浄化するにも時間がかかるかと。」
“穢れた魔石”とは呪術、または黒魔法と言われている禁忌に触れる魔法によって身を支配された魔物を倒したさいに出る魔石のことである。
放置すると何が起こるか定かではないため、すぐに神官などによって浄化しなければならない。
「浄化できるのなら構わない。魔石に関してはロゼリア公爵に任せる。」
「承知いたしました。」
「ハルシャ家は霞の山で起きたことについての徹底的な調査をお願いしたい。」
「できるだけのことはしよう。だが、相手はかなりの大物。なんの手がかりもない可能性が高いとはおもっておいてくれ。」
「わかった。ヘリオス家には黒魔法に関しての調査をお願いしたい。」
「任せてくださいよ!魔塔の王の名にかけて有益な情報を見つけ出します!!」
「それは頼もしいな。…最後にエステラ家には貴族の脱税や闇オークションなどの参加について調べてほしい。」
「陛下の頼みとあらばなんでもいたしましょう。」
そうエステラ家当主が言った後、間髪をいれずに
「どうして脱税なんです?」
と魔塔の主が尋ねる。
「そんなこともわからないだと?お前のその脳ミソは飾り物か!」
とエステラ家の当主が怒る。
「黒魔法は普通の資産家でも手がだせないほどの高額な道具を使うんです。強い兵士がたくさんいるハルシャ家の直轄領であるライズに“穢れた魔石”があったということは多少誤魔化しのきく我々貴族が1枚噛んでいる可能性が高いということです。」
そう聖女が言う。
「というわけだ。皆にも都合があると思うので、これで一旦緊急会議は終わりとする。」
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