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夏休み~Dランク昇格編~
2次試験~霞の森~
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「それでは二次試験の説明をする。一次試験を突破した40名はライズの近くにある『霞の森』に行ってもらう。そこで俺が今手に持っている雫花で作ったブローチが入った箱を探して今いる場所まで戻ってこれたら試験に合格したとみなしDランクに昇格することができる。ただし、このブローチは全部で20個、5個ずつ計4つの箱に入っている。また、二次試験中は他の受験者と協力しても構わない。ソロでこの森に入ることはあまりないからな。制限時間は5時間だ。毎回、命を落とすヤツを何人も見ている。無理だと思ったらすぐに引き返せ。…何か質問はあるか?…ないな?それでは二次試験を開始する!」
『霞の森』はたしかDランク以上のパーティーしか行けないエリアだ。
「カイ、一緒に行こ!…って、何してんの?」
と言うコウの瞳に写っている僕は座って本を読んでいることだろう。
「えっ?見てわからない?誰かがブローチ探して帰ってくるのを待ってるんだよ。」
「…もしかして誰かから奪うつもりか?」
とエレンが当たり前のことを聞いてくるので素直に頷く。
「そらそうでしょ。めんどくさいし。ここの君達を除いた受験者なら僕でも余裕で倒せるし。」
何か間違ったことを言っただろうか?皆呆れた顔で僕を見てくる。
「「「…はぁ~」」」
「何ため息ついて...っちょっ」
いきなり襟元をエレンに掴まれズルズルと引きずられる。
「…行くぞ」
「えっ??なんで?」
「カイ、それは流石に道徳的に良くないだろ?」
あきれた顔をしたイリアスにそう言われるもよくわからず首をかしげてしまう。
「でっ、でも…他の人もやってると思うよ。」
「他のヤツらなんて知らんけど俺はそういうの嫌やねん。カイなら分かってくれるやんな?」
なんか圧が凄い…
「…うん」
そんなこんなで4人で行くことになった。
♢
「この森、なんか不気味じゃないか?」
「あっ、イリアスもそう思う?」
「この霧なんとかならへんのかなぁ…」
確かにちょっと見にくい…
「これは“霧鹿”っていう魔物のスキルだからどうにもならないと思うぞ。水魔法でこの霧の主導権を奪えばいいんだけど、数が多すぎて一瞬しか効果が期待できない。」
「ふーん、そうなんや…それやったらどうやってブローチを見つけたらええんやろか…」
「雫花は魔力が物凄くこもった花だから頑張って魔力探知をしたら見つけることができる、、かもしれない。ちなみに僕はできない。」
フローレス嬢ならば容易くできるだろうが、僕はメインが剣術なので今はまだそのいきに達していない。
「イリアスはどうなんや?」
「1度やってみるよ。ちょっと待ってくれ」
そう言ってイリアスは立ち止まった。
「…霧が邪魔して凄く分かりにくいがどこら辺にあるのかはだいたい把握できた。」
「方向は?」
「だいぶ右だな。」
「わかった。イリアスはそのまま魔力探知をして。…イリアス、乗って。」
そう言って少しかがむ。この状態で歩いたら絶対に躓いてこけるだろう。
「ほら、速く。」
そう言うと躊躇っていたイリアスが僕にのる。いわゆるおんぶだ。
「コウ、エレン、僕戦えないからよろしくね。」
「わかったけど疲れた交代するから言ってや。」
疲れないとは思うが、もしもそうなったら言おう。
♢
2時間後
「もう少し、、いや、通りすぎたな...少し戻ってくれ。」
「これくらい?」
そう言って少し戻る。
「止まって!ちょうどこの辺みたいだ。」
イリアスがそう言うが辺りに箱らしきものはない。
「…もしかして木の上とか土の中に隠したのかな?」
「じゃあ僕はウィンに頼んでこの辺の木の上に登ってみる。カイ達は土の中を探してくれ」
まあそれが妥当だろう。霞の森の木は針葉樹のように細長いのだ。僕らでは登れない。
「うーん、、」
「カイ、何してんの?探すで!」
「ちょっと待って…この辺に有るんでしょ?僕も狭い範囲なら魔力探知を使えるから...」
といっても地面に手を置く。魔力を帯びた霧が邪魔して分かりにくいが微かにある地点で魔力を感じる。
「…多分ここかな?」
そう言ってコウの右横の土を掘り返すと少し古くさい箱が出てきた。
「ふっ、ビンゴ…」
と言って箱を開けると雫花のブローチが5つ入っていた。
「イリアス!あったから戻ってきて!!」
と上空に向かって叫ぶ。
聞こえたのかそうでないのか、すぐにイリアスが地面から降りてきた。
降りた途端僕の方に駆け寄ってきたイリアスは顔面蒼白だった。
『霞の森』はたしかDランク以上のパーティーしか行けないエリアだ。
「カイ、一緒に行こ!…って、何してんの?」
と言うコウの瞳に写っている僕は座って本を読んでいることだろう。
「えっ?見てわからない?誰かがブローチ探して帰ってくるのを待ってるんだよ。」
「…もしかして誰かから奪うつもりか?」
とエレンが当たり前のことを聞いてくるので素直に頷く。
「そらそうでしょ。めんどくさいし。ここの君達を除いた受験者なら僕でも余裕で倒せるし。」
何か間違ったことを言っただろうか?皆呆れた顔で僕を見てくる。
「「「…はぁ~」」」
「何ため息ついて...っちょっ」
いきなり襟元をエレンに掴まれズルズルと引きずられる。
「…行くぞ」
「えっ??なんで?」
「カイ、それは流石に道徳的に良くないだろ?」
あきれた顔をしたイリアスにそう言われるもよくわからず首をかしげてしまう。
「でっ、でも…他の人もやってると思うよ。」
「他のヤツらなんて知らんけど俺はそういうの嫌やねん。カイなら分かってくれるやんな?」
なんか圧が凄い…
「…うん」
そんなこんなで4人で行くことになった。
♢
「この森、なんか不気味じゃないか?」
「あっ、イリアスもそう思う?」
「この霧なんとかならへんのかなぁ…」
確かにちょっと見にくい…
「これは“霧鹿”っていう魔物のスキルだからどうにもならないと思うぞ。水魔法でこの霧の主導権を奪えばいいんだけど、数が多すぎて一瞬しか効果が期待できない。」
「ふーん、そうなんや…それやったらどうやってブローチを見つけたらええんやろか…」
「雫花は魔力が物凄くこもった花だから頑張って魔力探知をしたら見つけることができる、、かもしれない。ちなみに僕はできない。」
フローレス嬢ならば容易くできるだろうが、僕はメインが剣術なので今はまだそのいきに達していない。
「イリアスはどうなんや?」
「1度やってみるよ。ちょっと待ってくれ」
そう言ってイリアスは立ち止まった。
「…霧が邪魔して凄く分かりにくいがどこら辺にあるのかはだいたい把握できた。」
「方向は?」
「だいぶ右だな。」
「わかった。イリアスはそのまま魔力探知をして。…イリアス、乗って。」
そう言って少しかがむ。この状態で歩いたら絶対に躓いてこけるだろう。
「ほら、速く。」
そう言うと躊躇っていたイリアスが僕にのる。いわゆるおんぶだ。
「コウ、エレン、僕戦えないからよろしくね。」
「わかったけど疲れた交代するから言ってや。」
疲れないとは思うが、もしもそうなったら言おう。
♢
2時間後
「もう少し、、いや、通りすぎたな...少し戻ってくれ。」
「これくらい?」
そう言って少し戻る。
「止まって!ちょうどこの辺みたいだ。」
イリアスがそう言うが辺りに箱らしきものはない。
「…もしかして木の上とか土の中に隠したのかな?」
「じゃあ僕はウィンに頼んでこの辺の木の上に登ってみる。カイ達は土の中を探してくれ」
まあそれが妥当だろう。霞の森の木は針葉樹のように細長いのだ。僕らでは登れない。
「うーん、、」
「カイ、何してんの?探すで!」
「ちょっと待って…この辺に有るんでしょ?僕も狭い範囲なら魔力探知を使えるから...」
といっても地面に手を置く。魔力を帯びた霧が邪魔して分かりにくいが微かにある地点で魔力を感じる。
「…多分ここかな?」
そう言ってコウの右横の土を掘り返すと少し古くさい箱が出てきた。
「ふっ、ビンゴ…」
と言って箱を開けると雫花のブローチが5つ入っていた。
「イリアス!あったから戻ってきて!!」
と上空に向かって叫ぶ。
聞こえたのかそうでないのか、すぐにイリアスが地面から降りてきた。
降りた途端僕の方に駆け寄ってきたイリアスは顔面蒼白だった。
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