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夏休み~Dランク昇格編~

叶うことのない恋心

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ライ視点

「どこだここ…」

俺は警戒して辺りを見回した。

「ライと言ったな。俺はノアだ。」

そう銀髪に金色の瞳をした男が言った。久しぶりに見たその顔に少し驚く。

とゆうか初対面じゃないくせになんだそれは。…なんか腹がたってきた…んじゃこっちもそれ相応の対応をしないとな。

「…我らの王、ノア様に挨拶申し上げます。」

そう言って跪く。俺の顔は誰が見ても仏頂面そのもので敬っている感じか一切しないだろう。

「…なんかお前、嫌そうじゃね?」


「気のせいかと。」

そう口では言うものの内心はもちろん嫌に決まっている。俺は誰かの下につくのがこの世で2番目に嫌いだからな。

「前みたいに話して構わないぞ。」

なら遠慮なく、、とは思うがそれなら初めから向こうも初対面ですみたいな演出しなけりゃよかっただろうに…

「さっさと現世に送ってくれないか?お前と話すのめんどいんだけど。」

これは本当だ。前に会ったときもなかなか帰してくれなかった。

「…遠慮しなさすぎだろ。一応これでも1番偉いんだが?」

そう言いながら、ふんっと言って腕を組んだ。

「そんなことはどうでもいい。さっさと送れ。」

俺が無慈悲にそう言うとノアは少しあきれた顔をしてこっちを見た。

「それが無理だからわざわざこっちに引き戻したんだ。今のお前は神といっても神の卵。だからそのまま現世に行ったら力が暴走してバァンだ。」

と言ってその様子を幻影で見せてくれる。いや、グロいな...

「ならどうしたらいいんだよ。」


「これを見ろ。」

そう言ってノアが指差したものを見た。

「これは俺か?」


「ああ。身体はそっくりに創った。今の身体から魂
を離脱させてこの身体に入れ。お前の神力で創ったから馴染むはずだ。これである程度力は抑えられると思うが酷く感情的になったりすると本来の力が表れるだろう。といっても通常の1割も出ないが。それで力を徐々にコントロールしていけ。」


「なるほどな、わかった。そういや、俺の容姿ってそんなに変わったのか?」

ここには鏡がないためわからないのだ。

「容貌は変わっていないが髪の毛は腰まで長く伸びているし、瞳は黒色から赤色になっている。」


「赤、ね。」


「嫌か?赤色の瞳かつ黒か白の髪をしているやつはみな天使や神しかいないぞ。無論、5人もいないがな。」

…とゆうことは、、もしかして…

「…いや、なんか妙に心当たりがあるなと思っただけだ。それで?その身体に入ったらこの身を引き裂かれるような痛みはなくなるのか?」


「いや。悪いがそれは無理だ。しかもだんだんその黒色模様に身体を覆い尽くされるだろう。それがここでの掟だ。それに抗えるものはほとんどいない。」


「…マジで言ってる?」

ようやくこの痛みから解放されたと思ったのに…

「ああ。ちなみにその模様が限界まで覆い尽くされると魂が破壊されてライだけじゃなくカイも死ぬことなる。そして神としても生き残れなくなり全ての世界線で生きている“カイ”が死ぬことにもなる。だからその模様が広がる前に死ね。この用意した身体が死んでも神ならばなんの支障もきたさない。同じ魂が存在しては行けないのは現世だけで天界では関係ないんでね。」

なるほど、、どちらかが死なないとどちらも死ぬのか。どっちにしろ嫌なルールだ。

「そうか。分かった。」


「現世に戻ったらあの娘に告白でもするのか?」


「…なんでそうなるんだよ。」


「お前、あの娘に恋してるだろう?たしか白河有栖、、今はアイリス・フローレスだったか...?」


「確かに俺はアイツが好きだが告白はしないつもりだ。」

もとよりその権利すらない。

「あの娘のために魂さえもたたき売ったというのにか?」


「それはそれ、これはこれだ。これまで有栖が俺を異性として見たことはないし、これからもない。いや、あってはならない。」


「それはまたなんでだ?」


「言う気はない。この身体に入るからさっさと現世に戻してくれ。」

そう言って魂だけを遊離させて乗り移る。

「ったく人使いが荒いんだから」

そうノアが言う声が聞こえたと思ったら視界が暗転し気づけばベッドの上にいた。

元に戻ったのか…

目が冴えてしまったので一旦部屋と繋がっているテラスに行く。

非情なほどに月がキレイだった。手をのばしても捕まえられないそれは果てしない夢のようなものだ。

「なぜ有栖が俺を好きになってはならないか、なんて自明の理だろうが。…俺が何十人の人を殺したと思ってるんだ?アイツの隣に殺人鬼なんかが居座っていいわけがない。」

ノアの言った通り、俺はアリスのために魂をたたき売った。

アリスを今度こそ守りたかったからアイツらの提案にのったんだ。

俺はアリスがいないと生きていけない。アリスのためなら悪魔にだって魂を売ってみせる。

でも、もういいんだ。

たとえ違う世界で、違う立場で、違う状況で、違う容姿で出会ったとしても

それだけは間違いないのだから。

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