異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~

存在証明

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夏休み~Dランク昇格編~

宿題

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「うーん、、どうしよっかな…」

そう独り言を言っていると肩をポンポンと叩かれた。後ろを振り向くとコウが剣を持って立っていた。

そういえばもうすぐコウと約束した手合わせの時間だったか…忘れていた…

「どうしたん?珍しいやん、カイが分かりやすく頭を悩ますなんて。」

分かりやすくって…

「そんなことないと思うけど…。悩むってほどじゃないんだけどちょっと考えごとしてて…。学院で宿題っていう謎の紙くずを貰ったんだけど、どうやったらやらなくてすむかなぁってことを考えてて。…何か良案ある?」

と僕が聞くとマジかよコイツみたいな顔をしてきたと思ったら、ものすんごい良い笑顔で

「……やりなさい。」

と言ってきた。なんか無駄に迫力あるのやめてほしい。

「でも僕、転入してから1度も出してないよ?」


「…マジで?」


「えっ、、何かいけないこと?成績には反映されないし、そんなものをしなくたってテストで点数をとれるんだから別にしなくてよくない?」

日本では中学高校と成績に入るため宿題もちゃんとやっていた。だがもういいだろう?

「…アカン、、説得の言葉が何も思いつかん。…君らからもなんか言ったってくれへん?」


「…多分、、転入後初のテストで1位を取った天才に何を言っても響かないんじゃないかな?」

うん、おそらくその通り。何を言われてもピンとくることはないだろう。

「ちなみに宿題って何があんの?」

何があったっけ…?と思い机に散乱した紙を何枚か見る。


「ええっと、、魔方陣の作成と夏休みの思い出を絵にすること、、、そしてここにあるプリント全部。」

そう言って机の上をさす。自称進学校さながらである。

「まあまあ多いな…」

全部やるなんてもちろんはなから頭にない。こんなものをやっていたらせっかくの夏休みが台無しである。

「でもまぁこのプリントは誰に何て言われようとやらない予定だけど、魔方陣と絵はやるつもりも。楽しそうだし…」

絵を描くことは昔から好きだ。真っ白な紙に自分の気持ちをそのまま表すと少し気持ちが楽になれるのだ。

ちなみに魔方陣はコンパスや定規などを使って描く。術ごとに大きさや形がまったく異なるので少しのミスで使い物にならなくなる。そのスリルがとても好きなのだ。

「何の魔方陣を作ろうと思ってるんですか?」


「無難に“ライト”とか、かな」

“ライト”とは光魔法の初級だ。水魔法で水を出すのと同じぐらい簡単な魔法らしいが、適性のないものはいくら足掻いても使えないので特に光と闇は重宝される。“ライト”のような簡単なものは別だが…。

「“ライト”か。懐かしいな。私も昔創ったよ。」

そうなんだ…まあ最初はみんなこんなもんか…

「魔方陣を創るのはかなり時間がかかるのでなかなか大変ですよね」

ブライアン卿もとおいセシルの言う通り魔方陣を創る専門の職業があるぐらいなので効果の強い魔方陣を創ろうと思えば時間が死ぬほどかかってしまう。

今回の宿題は何を創るかは自分で決めていいのでとことん手を抜くつもりだ。

“ライト”は初心者レベルなのでイライラしたりはしないだろう。

「うん。だから“ライト”を選んだんだ。」


「それ、今から作るの?」


「いや、この後コウに手合わせ頼まれてるから午後になるかな…」


「その手合わせ俺らも見ていいか?とゆうか、俺とも手合わせしてくれ!」

と眼を輝かせて尋ねてくる。

「えっ、、やだよ、めんどくさい。」

そう思わず言ってしまうのも無理はないだろう。

「そう言わずに!!」

と言ってカールは手を目の前であわせる。

「えー…」


「別にええんとちゃう?疲れるのが嫌やったら休憩しながらやったらええし。」


「俺もカイと戦いたいんだけど!カイが学院に行ってた1ヶ月ちょっとで俺も少し強くなったんだ!!」


「いや、それ絶対僕負けるじゃん。なんで後衛の人間が前衛の人間と正面切って戦わないといけないの?」

あっ、、矛盾したこと言ってしまった…気づかないでくれ…

「えっ、でもコウとは戦うんだろ?」

…あぁ、気づかれたか

「……まあそうだけど」


「ならいいだろう?コウもバリバリ前衛だぞ?」

これは言い逃れできなさそうだ

「はぁー、分かった。だけど一回だけだからね。もう一回ってのはなしだよ。」


「分かってるって!!」

少しその言葉に不安を抱きつつ皆で訓練場に行くことにした。


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