異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~

存在証明

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ライズまでの道のり

差し出された蜘蛛の糸

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「俺は父親と弟の3人で旅商人をしていたんだ。その途中に盗賊にあってしまって無我夢中で逃げた先でここに行き着いたんだ。」

なるほどね…

「君は2人を見捨てて逃げたの?」

そう聞くと少年は勢いよく首を横にふった。

「父親が錬金術師で煙玉をもっていたから、それでかく乱している内に3人とも別々の方向に逃げたんだ。一緒に逃げると見つかるからな。」

それは賢い判断だ。

「ふーん、じゃあ君のお父さんは多分もう死ん「おいこら、カイ。ちょっとこっちこよか?」えー」

コウに首もとを引っ張られて少年から引き剥がされた。




「そういうことは言ったあかんやろ?」


「なんで?現実は速いうちに知った方が後々ダメージが少ないと思うけど」


「そういうことじゃなくてな、、まあ、もう言ったあかんで?」

少し呆れた視線を感じたが気のせいだろうか?




「ところで弟は今何歳なの?」


「10歳だ。」

それじゃあ弟は一応無事、といったところか。子供は売れるからな。

「襲われたのは何日前なんだ?」


「今日の昼頃だ。ここに来るまでに5時間程走ったせいで体が限界を迎えてここで気を失ったんだと思う。」


「今日はもう夜になるし、捜索するんは明日にしよか」

イリアスがそう言う。だけど、

「助けるの?僕らにそんな義理はないと思うだけど?行方不明者捜索も盗賊退治も彼が勝手にやったらいいと思うよ。」


「カイ、彼1人じゃ無理なのわかってるだろ?」


「…わかってる。だけど、見知らぬ他人に振り回されて仲間が傷つくのは見ていられない。」


「それじゃあ折衷案として、警戒しながら彼の家族を捜索して盗賊を見つけたら様子を見て無理そうなら撤退する。これでどうだろうか…」


折衷案では無い気がするがまあいいだろう。仲間割れしてる暇はないしね。


「わかった。それじゃあ君、名前は?」


「俺の名前はエレンだ。協力してくれてありがとう。この借りはいつか返すと誓う」


「へぇー、言ったね?なにで返してもらおうかな~」

そう言ってニヤニヤと笑う。

「エレン、カイのこれは気にせんでエエで。たまにわっるい顔して言質とってくるから気をつけや。」

ホント人聞きの悪いことを言う。自分の利益になるように人として当たり前のことをしているだけだ

「そういやエレンは何歳なんだ?」


「13歳だ。」


「じゃあ僕達の1つ上なんだ。ギルドに登録はしてるのか?」


「冒険者ギルドに登録はしてるけど、それは身分証の代わりとしているだけだからGランクのままだ。」


「ハイハイ、話はここまでにして今から晩飯作るから3人とも手伝ってや!」


「今日はなにを作るの?」


「今日はホーンバード主役のスープやな。エレンは料理できるん?」


「いや、いつも料理は父と弟がしていてくれたから俺はできない。」


「それやったらイリアスと一緒に薪を拾ってきてくれへん?カイはここに残ってな。」


「わかった」


エレンはそう言ってイリアスと一緒に森の中に入っていった。


「僕が変なこと言わないようにここにの残したんでしょ?」

思わずじとっとした眼で見つめてしまう。

「そうやで、自覚があってよかったわ」

コウは僕をなんだと思ってるんだろうか?

「彼の言ってること本当だと思う?」


「なんでそんなこと聞くん?」


「世の中には姿を変える魔法だってある。子供に変身して僕らを騙してるかもしれないじゃないか」

警戒はしすぎて損になることはない。

「エレンはちゃうと思うで」

そう言うコウの顔は真剣な表情をしていた。

「なんでそう思うの?」


「直感的にそう感じんねん。あの切羽詰まったような瞳が嘘ついてるようには思えへん。カイ、エレンのことを信じれへんのなら、エレンを信じてる俺を信じてくれへんか?」

僕をまっすぐ見つめるコウの瞳を無下にすることはできなかった。

「…君がそこまで言うなら仕方ないね」

そう呟いてコウをチラッと見るとこの世のものとは思えないほど美しい赤い蝶がコウのそばを飛んでいるような気がしたが、瞬きをした次の瞬間からそれは跡形もなく消えてしまった。
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