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ライズまでの道のり
失ったもの
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「というわけで、自己分析のお時間でーす!」
と棒読みで言うと2人とも首をかしげた。
「どういうわけなん?」
「僕達、弱いよね?しかもかなり」
「かなり弱いんは君らやろ、俺ちゃう」
そう言って否定するコウを少しばかりスルーする。
「で、ここで何をするんだ?」
「訓練だよ。コウは結構厄介なものを背負ってるようだし、いつ人間に襲われるかわからないからそろそろ本格的に訓練した方がいいかなって…」
「訓練って言っても何するん?」
「そうだね、、例えば僕の強みは反射神経の速さだ。コウの攻撃ぐらいなら躱すのはわけない。でも、反撃できないから結局は体力勝負になってしまう。逆にコウは僕よりも反射神経に劣っているがその分攻撃の威力が強い。僕の隙をついて攻撃が入れば一発勝ちだよ。で、イリアスは回復専門だからとりあえず体力と回避力をあげないといけない。それ全部解決してしまう訓練方法知ってる人!」
「いや、、そもそもそんな都合のいい訓練方法ないと思うねんけど…」
「それがあるんだよ、、ゴホン、その名は、ドッチボール!みたいなやつ」
「「ドッチボール?」」
「みたいなやつね。まあ中当てって言うんだけど。正式名称かはわからないよ。
四角形を描いてその中に1人入れて四角形の外から2人でこれを当てるゲームだよ。当たったら当てた人と交代する。以下エンドレス。簡単でしょ?」
「これって、、まさかお前、今手に持ってるやつやないやろうな?」
「その通り、大正解!」
僕が今持っているのはそう、木製のナイフ。戦闘ならナイフくらいどこからでも飛んでくるからね。
「ちなみに殺傷能力のない武器や道具ならなんでもOKだからね。コウの火魔法以外なら魔法もOKだから。結局はこのナイフを当てないと交代にならないから使いどころを考えないといけないけどね。」
「最初誰が真ん中入るん?」
「それじゃあ言い出しっぺの僕から入るよ。いまから準備するから作戦を考えといてね。」
そう言ってその辺からかき集めた石ころを四角形になるように置いていく。
「よしっ、じゃあ今からこのコインを投げるよこれが地面についた時がスタートの合図だからね。3、2、1、0!」
コインが指ではじかれて空中で舞う。そして地面についたその瞬間、前と後ろから鋭い視線を感じる。
足もとの草が自分に絡みつこうとしているのに気づきとっさに前に転がる。
すると後ろからものすごい勢いで短剣が飛んでくる。
「危なっ」
「『危なっ』じゃないわ、コルァ!避けるなや!!」
本当に警戒すべきはこの2人のコンボだったか。思ってたよりもイリアスの精霊術がきつい。
もしそれを避ける際に両足を地面から離してしまえば僕に勝ち目はない。
なぜなら人間は水中と同じように空中でも思うように体を動かせないからだ。だから、なるべく最小限の動きで避ける必要があるのだ。
「あぁ疲れた…」
「ホンマお前、人に短剣当てる時だけイキイキしやがって…」
コウがこっちを睨んできたが、ふいっと顔を背ける。
「……明日、筋肉痛だろうな」
そうぼやくイリアスは木陰でのびている。
前世では本を読んだりチェスをすることぐらいにしか面白さを見いだせなかったため、例え誘われてもドッチボールや中当てなんかは参加しなかった。
「ボールを当てられて痛いだけなのに何が楽しいの?そんなことするよりも本の1冊でも読んだ方が合理的だ。」
と僕がめんどくさそうに言った時、レイは苦笑いしていたが
「いつかカイにも分かるようになる。本当に信頼できる仲間ができたら一緒にやってみたらどうだ?そしたら楽しいって感じるはずさ」
と言った。その後僕は
「僕にはもう楽しいと感じれるだけの感情は残ってないよ。‘‘面白い’’はあるけど‘‘楽しい’’はない。そして失ったものはもう戻ってこないんだよ」
と返した。するとレイは
「断定するにはまだ速いんじゃあないか?」
そう言って意味深に笑ったんだっけな…
君の言う通りだった。
中当ては楽しかった。
失ったものであっても、もう一度取り戻すことができるんだ。
次はドッチボールがしたいな
そう思って3人で草原に寝ころんだ。
in天界
「ヤバイかも…」
そう言って青ざめるのは生物皆恐れ敬う万物神レイ。
「おい、お前何やらかしたらそんなに顔が青くなるんだよ。」
そう返すのは死の神タナトスである。
「カイを転生させた時に%#$@$も一緒に送っちゃったみたいなんだ。」
「そいつは思ったよりやべぇな。お気に入りにも言った方がいいんじゃないか?もしかしたら厄介なことが起こるかもしれないぞ」
「そなこと分かってるよ。でも、言いたくないんだ。言ったらもう口をきいてくれなくなる。」
「たしかに、俺がソイツの立場ならぶん殴るぐらいはするだろうな」
「だろ?ホントどうしよう」
「消すことはできないんだろ?」
「因果律に反してしまうからな。地球でカイのことに干渉できたのはノア様からの命令があったからで、ホントはダメなんだ。
今ノア様は別の世界の創造で忙しいからこっから数百年以上はこもるみたいだし、顔は出してくれるが俺の尻拭いはしてくれないだろう。」
「打つ手なし、か。…お前、ホントそういうところだぞ?もっと注意して職務にあたれ」
「あぁ?てめぇに言われたくないだよ、このボンクラ神!!」
「んだとコラ!!ちょっとノア様から気に入られてるからって調子に乗るなよ?」
「ちょっとじゃねぇ、だいぶ気に入られてるね!!!」
一気に騒がしくなった天界では2人の怒声で天使達が緊急事態だと勘違いし、他の神々を叩き起こしたとか、そうでないとか…
と棒読みで言うと2人とも首をかしげた。
「どういうわけなん?」
「僕達、弱いよね?しかもかなり」
「かなり弱いんは君らやろ、俺ちゃう」
そう言って否定するコウを少しばかりスルーする。
「で、ここで何をするんだ?」
「訓練だよ。コウは結構厄介なものを背負ってるようだし、いつ人間に襲われるかわからないからそろそろ本格的に訓練した方がいいかなって…」
「訓練って言っても何するん?」
「そうだね、、例えば僕の強みは反射神経の速さだ。コウの攻撃ぐらいなら躱すのはわけない。でも、反撃できないから結局は体力勝負になってしまう。逆にコウは僕よりも反射神経に劣っているがその分攻撃の威力が強い。僕の隙をついて攻撃が入れば一発勝ちだよ。で、イリアスは回復専門だからとりあえず体力と回避力をあげないといけない。それ全部解決してしまう訓練方法知ってる人!」
「いや、、そもそもそんな都合のいい訓練方法ないと思うねんけど…」
「それがあるんだよ、、ゴホン、その名は、ドッチボール!みたいなやつ」
「「ドッチボール?」」
「みたいなやつね。まあ中当てって言うんだけど。正式名称かはわからないよ。
四角形を描いてその中に1人入れて四角形の外から2人でこれを当てるゲームだよ。当たったら当てた人と交代する。以下エンドレス。簡単でしょ?」
「これって、、まさかお前、今手に持ってるやつやないやろうな?」
「その通り、大正解!」
僕が今持っているのはそう、木製のナイフ。戦闘ならナイフくらいどこからでも飛んでくるからね。
「ちなみに殺傷能力のない武器や道具ならなんでもOKだからね。コウの火魔法以外なら魔法もOKだから。結局はこのナイフを当てないと交代にならないから使いどころを考えないといけないけどね。」
「最初誰が真ん中入るん?」
「それじゃあ言い出しっぺの僕から入るよ。いまから準備するから作戦を考えといてね。」
そう言ってその辺からかき集めた石ころを四角形になるように置いていく。
「よしっ、じゃあ今からこのコインを投げるよこれが地面についた時がスタートの合図だからね。3、2、1、0!」
コインが指ではじかれて空中で舞う。そして地面についたその瞬間、前と後ろから鋭い視線を感じる。
足もとの草が自分に絡みつこうとしているのに気づきとっさに前に転がる。
すると後ろからものすごい勢いで短剣が飛んでくる。
「危なっ」
「『危なっ』じゃないわ、コルァ!避けるなや!!」
本当に警戒すべきはこの2人のコンボだったか。思ってたよりもイリアスの精霊術がきつい。
もしそれを避ける際に両足を地面から離してしまえば僕に勝ち目はない。
なぜなら人間は水中と同じように空中でも思うように体を動かせないからだ。だから、なるべく最小限の動きで避ける必要があるのだ。
「あぁ疲れた…」
「ホンマお前、人に短剣当てる時だけイキイキしやがって…」
コウがこっちを睨んできたが、ふいっと顔を背ける。
「……明日、筋肉痛だろうな」
そうぼやくイリアスは木陰でのびている。
前世では本を読んだりチェスをすることぐらいにしか面白さを見いだせなかったため、例え誘われてもドッチボールや中当てなんかは参加しなかった。
「ボールを当てられて痛いだけなのに何が楽しいの?そんなことするよりも本の1冊でも読んだ方が合理的だ。」
と僕がめんどくさそうに言った時、レイは苦笑いしていたが
「いつかカイにも分かるようになる。本当に信頼できる仲間ができたら一緒にやってみたらどうだ?そしたら楽しいって感じるはずさ」
と言った。その後僕は
「僕にはもう楽しいと感じれるだけの感情は残ってないよ。‘‘面白い’’はあるけど‘‘楽しい’’はない。そして失ったものはもう戻ってこないんだよ」
と返した。するとレイは
「断定するにはまだ速いんじゃあないか?」
そう言って意味深に笑ったんだっけな…
君の言う通りだった。
中当ては楽しかった。
失ったものであっても、もう一度取り戻すことができるんだ。
次はドッチボールがしたいな
そう思って3人で草原に寝ころんだ。
in天界
「ヤバイかも…」
そう言って青ざめるのは生物皆恐れ敬う万物神レイ。
「おい、お前何やらかしたらそんなに顔が青くなるんだよ。」
そう返すのは死の神タナトスである。
「カイを転生させた時に%#$@$も一緒に送っちゃったみたいなんだ。」
「そいつは思ったよりやべぇな。お気に入りにも言った方がいいんじゃないか?もしかしたら厄介なことが起こるかもしれないぞ」
「そなこと分かってるよ。でも、言いたくないんだ。言ったらもう口をきいてくれなくなる。」
「たしかに、俺がソイツの立場ならぶん殴るぐらいはするだろうな」
「だろ?ホントどうしよう」
「消すことはできないんだろ?」
「因果律に反してしまうからな。地球でカイのことに干渉できたのはノア様からの命令があったからで、ホントはダメなんだ。
今ノア様は別の世界の創造で忙しいからこっから数百年以上はこもるみたいだし、顔は出してくれるが俺の尻拭いはしてくれないだろう。」
「打つ手なし、か。…お前、ホントそういうところだぞ?もっと注意して職務にあたれ」
「あぁ?てめぇに言われたくないだよ、このボンクラ神!!」
「んだとコラ!!ちょっとノア様から気に入られてるからって調子に乗るなよ?」
「ちょっとじゃねぇ、だいぶ気に入られてるね!!!」
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