31 / 147
カイの過去
中学校編~決意~
しおりを挟む
そして5年の年月が経ち、僕らは中学生になった。
受験なんてさせて貰えるはずもなく地元の公立中学校に通った。レイは受験して私立に行ったが僕らの関係は終わっていなかった。僕はスマホを持っていない上家の電話は使用禁止だっため、レイの最寄り駅や僕の通学路でお互い待ち伏せしていた。
また、不運にも僕らを虐めていた者達と同じ中学になってしまったため、また虐めの対象となってしまった。
さらに、いつもの奴らに加えて不良どもも加わったため小学校の時とは比べものにもならないほどの虐めを受けた。
やめてほしいと言っても無駄だと分かっていたから抵抗は一切しなかった。この世にはどうしようもないことがたくさんあるんだと教師にも言われた。
それにもかかわらず、僕はテストでは常に満点を取っていた。教科書はバラバラにされたら堪らないため家に置いた。ノートをとっても同じなので学校には中身のない鞄1つで行っていた。そんなことをしてまで満点にこだわっていたのには理由がある。優秀な生徒なら教師が庇ってくれると思ったからだ。
だが、甘かった。どうしようもないことがこの世にたくさんあるのは、どうしようもない奴らがこの世にたくさんいるからだと悟った。
面白味のない退屈な毎日だけが過ぎていった。レイといるときですら笑うことがほんの少しだけ少なくなった。僕の変化はレイ以外にはわからない程の物だったけど、着実に僕の心は蝕まれていった。
「なぁ、カイ。お前、最近変だぞ?もしかして今も虐められているのか?」
そう心配そうに言う彼には特に言いたくなかった。
「………いや、別に、そんなんじゃないよ。」
「………そうか、ならいいんだけど…」
そう言って彼は深刻な表情をして黙りこくってしまった。
そして、その次の日事件が起こった。
レイが死んだのだ。死因は外傷性ショック死。犯人は僕を虐めていた奴らのボスと、その取り巻き3人だった。僕も形だけの事情聴取をされた。その時に、彼らが僕とレイが会っているのを見てレイを暴行している時に僕を呼ぼうという計画をたてていたことを刑事に教えてもらった。
しかし、僕が携帯を持っておらずレイとも連絡をとっていなかったことを知らなかった彼らは、その事実に激怒し殴り殺してしまったという。もちろん彼らは少年院行きとなり、主犯がいなくなったため僕の虐めもおさまった。
しかし、僕の心は前にもまして荒んでいった。虐め終了の代償がたった1つの光を失くすことだとは思いもしなかった。酒やタバコには手を出さなかったが深夜に徘徊して補導されることが多くなった。薬に手を出そうと思っては止める、そんな毎日だった。
その上、父親と母親の関係が悪化し、そのストレスを僕に向けるようになった。相変わらずテストでは常に満点を取っていたが虐められていた時以上に体には傷跡がついていた。
その時からだっただろうか?復讐することを心に誓ったのは。レイを殺したアイツら、息子を可愛がりもしなかった親達、僕らを見ないふりをした大人達、そして何より自分自身が許せなかった。
「レイのいない、色のない世界いても何の意味もない。僕が死んで天国に行けばまた会えるのかな?
神様なんて信じていなかったけど、こればっかりは神様にお願いするしかないか…
でも、僕がこのまま何もせずに死ぬのはあいつらの思うつぼだ。自殺する前にあいつら全員に地獄を見せてやらないと気がすまない。
どうしようか…。あいつらを1人ずつ地獄に落とすのもありだけど、なんせ時間がない。さっさとあの世に行きたいからな。
そんなことで時間を取るのは非合理的だ。
……ああ、あの方法なら一気にかたをつけれるな。
フフッ。待っていてくれ、レイ。今そっちに行くからさ。」
そう呟いた声は誰もいない暗闇へと消えていき、狂人は狂気的な笑みを浮かべた。
上記を逸した才能を持つ賢い人間が壊れてしまったら行き着く先は狂人である。そのことを知らない、いや分かろうともしなかった人間が自分で自分の首を絞めるのは至極当然の原理である。
人間はいつも罪を犯した後で自分の過ちに気づくのだ。
動いてしまった歯車をたかが人間の力では止めることは出来ない。
つまり、復讐に走る僕を誰も止めることはできないのだ。
受験なんてさせて貰えるはずもなく地元の公立中学校に通った。レイは受験して私立に行ったが僕らの関係は終わっていなかった。僕はスマホを持っていない上家の電話は使用禁止だっため、レイの最寄り駅や僕の通学路でお互い待ち伏せしていた。
また、不運にも僕らを虐めていた者達と同じ中学になってしまったため、また虐めの対象となってしまった。
さらに、いつもの奴らに加えて不良どもも加わったため小学校の時とは比べものにもならないほどの虐めを受けた。
やめてほしいと言っても無駄だと分かっていたから抵抗は一切しなかった。この世にはどうしようもないことがたくさんあるんだと教師にも言われた。
それにもかかわらず、僕はテストでは常に満点を取っていた。教科書はバラバラにされたら堪らないため家に置いた。ノートをとっても同じなので学校には中身のない鞄1つで行っていた。そんなことをしてまで満点にこだわっていたのには理由がある。優秀な生徒なら教師が庇ってくれると思ったからだ。
だが、甘かった。どうしようもないことがこの世にたくさんあるのは、どうしようもない奴らがこの世にたくさんいるからだと悟った。
面白味のない退屈な毎日だけが過ぎていった。レイといるときですら笑うことがほんの少しだけ少なくなった。僕の変化はレイ以外にはわからない程の物だったけど、着実に僕の心は蝕まれていった。
「なぁ、カイ。お前、最近変だぞ?もしかして今も虐められているのか?」
そう心配そうに言う彼には特に言いたくなかった。
「………いや、別に、そんなんじゃないよ。」
「………そうか、ならいいんだけど…」
そう言って彼は深刻な表情をして黙りこくってしまった。
そして、その次の日事件が起こった。
レイが死んだのだ。死因は外傷性ショック死。犯人は僕を虐めていた奴らのボスと、その取り巻き3人だった。僕も形だけの事情聴取をされた。その時に、彼らが僕とレイが会っているのを見てレイを暴行している時に僕を呼ぼうという計画をたてていたことを刑事に教えてもらった。
しかし、僕が携帯を持っておらずレイとも連絡をとっていなかったことを知らなかった彼らは、その事実に激怒し殴り殺してしまったという。もちろん彼らは少年院行きとなり、主犯がいなくなったため僕の虐めもおさまった。
しかし、僕の心は前にもまして荒んでいった。虐め終了の代償がたった1つの光を失くすことだとは思いもしなかった。酒やタバコには手を出さなかったが深夜に徘徊して補導されることが多くなった。薬に手を出そうと思っては止める、そんな毎日だった。
その上、父親と母親の関係が悪化し、そのストレスを僕に向けるようになった。相変わらずテストでは常に満点を取っていたが虐められていた時以上に体には傷跡がついていた。
その時からだっただろうか?復讐することを心に誓ったのは。レイを殺したアイツら、息子を可愛がりもしなかった親達、僕らを見ないふりをした大人達、そして何より自分自身が許せなかった。
「レイのいない、色のない世界いても何の意味もない。僕が死んで天国に行けばまた会えるのかな?
神様なんて信じていなかったけど、こればっかりは神様にお願いするしかないか…
でも、僕がこのまま何もせずに死ぬのはあいつらの思うつぼだ。自殺する前にあいつら全員に地獄を見せてやらないと気がすまない。
どうしようか…。あいつらを1人ずつ地獄に落とすのもありだけど、なんせ時間がない。さっさとあの世に行きたいからな。
そんなことで時間を取るのは非合理的だ。
……ああ、あの方法なら一気にかたをつけれるな。
フフッ。待っていてくれ、レイ。今そっちに行くからさ。」
そう呟いた声は誰もいない暗闇へと消えていき、狂人は狂気的な笑みを浮かべた。
上記を逸した才能を持つ賢い人間が壊れてしまったら行き着く先は狂人である。そのことを知らない、いや分かろうともしなかった人間が自分で自分の首を絞めるのは至極当然の原理である。
人間はいつも罪を犯した後で自分の過ちに気づくのだ。
動いてしまった歯車をたかが人間の力では止めることは出来ない。
つまり、復讐に走る僕を誰も止めることはできないのだ。
15
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?
伊東 丘多
ファンタジー
ジャストキルでしか、手に入らないレアな石を取るために冒険します
小さな少年が、独自の方法でスキルアップをして強くなっていく。
そして、田舎の町から王都へ向かいます
登場人物の名前と色
グラン デディーリエ(義母の名字)
8才
若草色の髪 ブルーグリーンの目
アルフ 実父
アダマス 母
エンジュ ミライト
13才 グランの義理姉
桃色の髪 ブルーの瞳
ユーディア ミライト
17才 グランの義理姉
濃い赤紫の髪 ブルーの瞳
コンティ ミライト
7才 グランの義理の弟
フォンシル コンドーラル ベージュ
11才皇太子
ピーター サイマルト
近衛兵 皇太子付き
アダマゼイン 魔王
目が透明
ガーゼル 魔王の側近 女の子
ジャスパー
フロー 食堂宿の人
宝石の名前関係をもじってます。
色とかもあわせて。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
勇者が仲間になりたそうにこちらを見ている
まる
ファンタジー
樋口康平はそこそこどこにでもいるごく平凡な人間を自負する高校生。
春休みのある日のこと、いつものように母親の経営する喫茶店・ピープルの店番をしていると勇者を名乗る少女が現れた。
手足と胴に鎧を纏い、腰に剣を差した銀髪の美少女セミリア・クルイードは魔王に敗れ、再び魔王に挑むべく仲間を捜しに異世界からやって来たと告げる。
やけに気合の入ったコスプレイヤーが訪れたものだと驚く康平だが、涙ながらに力を貸してくれと懇願するセミリアを突き放すことが出来ずに渋々仲間捜しに協力することに。
結果現れた、ノリと音楽命の現役女子大生西原春乃、自称ニートで自称オタクで自称魔女っ娘なんとかというアニメのファンクラブを作ったと言っても過言ではない人物らしい引き籠もりの高瀬寛太の二人に何故か自分と幼馴染みの草食系女子月野みのりを加えた到底魔王など倒せそうにない四人は勇者一行として異世界に旅立つことになるのだった。
そんな特別な力を持っているわけでもないながらも勇者一行として異世界で魔王を倒し、時には異国の王を救い、いつしか多くの英傑から必要とされ、幾度となく戦争を終わらせるべく人知れず奔走し、気付けば何人もの伴侶に囲まれ、のちに救世主と呼ばれることになる一人の少年の物語。
敢えて王道? を突き進んでみるべし。
スキルもチートも冒険者も追放も奴隷も獣人もアイテムボックスもフェンリルも必要ない!
……といいなぁ、なんて気持ちで始めた挑戦です。笑
第一幕【勇者が仲間になりたそうにこちらを見ている】
第二幕【~五大王国合同サミット~】
第三幕【~ただ一人の反逆者~】
第四幕【~連合軍vs連合軍~】
第五幕【~破滅の三大魔獣神~】
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
収納持ちのコレクターは、仲間と幸せに暮らしたい。~スキルがなくて追放された自称「か弱い女の子」の元辺境伯令嬢。実は無自覚チートで世界最強⁉~
SHEILA
ファンタジー
生まれた時から、両親に嫌われていた。
物心ついた時には、毎日両親から暴力を受けていた。
4年後に生まれた妹は、生まれた時から、両親に可愛がられた。
そして、物心ついた妹からも、虐めや暴力を受けるようになった。
現代日本では考えられないような環境で育った私は、ある日妹に殺され、<選択の間>に呼ばれた。
異世界の創造神に、地球の輪廻の輪に戻るか異世界に転生するかを選べると言われ、迷わず転生することを選んだ。
けれど、転生先でも両親に愛されることはなくて……
お読みいただきありがとうございます。
のんびり不定期更新です。
僕の従魔は恐ろしく強いようです。
緋沙下
ファンタジー
僕は生まれつき体が弱かった。物心ついた頃から僕の世界は病院の中の一室だった。
僕は治ることなく亡くなってしまった。
心配だったのは、いつも明るく無理をして笑うお母さん達の事だった。
そんな僕に、弟と妹を授ける代わりに別の世界に行って見ないか?という提案がもたらされた。
そこで勇者になるわけでもなく、強いステータスも持たない僕が出会った従魔の女の子
処女作なのでご迷惑かける場面が多数存在するかもしれません。気になる点はご報告いただければ幸いです。
---------------------------------------------------------------------------------------
プロローグと小説の内容を一部変更いたしました。
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる