上 下
1 / 147
新たなる旅を異世界で

全ての始まり

しおりを挟む
「おい後藤、何かわかったか?」

そう言いながら中年の男がタバコを手にゆっくりと歩いてくる。

「橋本先輩、どこ行ってたんすか?くそ忙しいっていうのに…被害者の身元は分かりましたよ。○○高校の生徒のようです。今は被害者を轢いたと思われる車を全力で追跡中です。」

後藤はぶつくさと文句を言いながらも状況をまとめあげたノートを橋本に渡す。

「そうか。…にしてもこの御遺体、妙だな。」


「…ああ、悲惨な死に方だというのに笑っているからですか?」

そう言って後藤はまじまじと四肢が粉砕している遺体を見つめる。

「ああ。俺はこんな死体を今まで見た試しがない。」

橋本は真剣な表情でノートとにらめっこをしながらそう答えるが

「…そっすか。」

と後藤は興味なさげに呟く。

そうしていると誰かに操られたかのように後藤と橋本は遺体から眼をそらし揃って後ろを向いた。

その時、青い蝶が一匹死体から飛びだし空高くに舞い上がった。

もちろん、それを見たものは誰もいない。














白い空間には銀髪の男と金髪の男のが2人が並々ならぬオーラを放って仕事をしていた。

 長い年月もの間特に何も起きず銀髪の男が世界の管理をして金髪の男がそれを補佐していた。

 しかしこの日はいつもと少し違ったことがおきた。いるはずのない魂が男達の元に浮かび上がってきたのだ。

 銀髪の男はそれを見つけ、少し顔を歪ませた。


「うん?なんでこんな所に魂がいるんだ?おい、お前まさかまたミスったんじゃないだろうな?」

 そう告げる銀髪の男に金髪の男が物凄い勢いで首をふる。

「そんな~違いますよ~。さすがに酷くないですか?創造主様」

 金髪の男がそう胡散臭く答えると、銀髪の男こと創造主は少し疑いの眼差しを向けながら言葉を続けた。


「前科があるからな。ふむ、この魂どうするべきか。」

 創造主は少し悩む素振りを見せながら金髪の男にそう問いかけた。

「もうこの世界に転生させたらどうです?」

 金髪の男は待っていましたと言わんばかりそう答える。

「それもアリだな。まだ未練が残っているようだし。…では送ろうか。君の次の人生に幸あらんことを。」

 創造主がそう告げた途端、パァーっと光った魂は彼らの近くにあった世界へと吸い込まれていった。

 創造主はそれを見届けた後、金髪の男の方を向いた。

「で、いつまでサボっているんだ?」


「なっ、なんのことですか!」

 まるで全てお見通しだと言うような創造主の言葉に金髪の男は少し慌てて答える


「この件についての始末書2000枚。さっさとやってこい!」


 創造主がそう言うと金髪の男は慌ててどこかに行ってしまった。


「さて、彼を見守るとするか。十中八九アイツのせいだろうし。」

 創造主はそう言って水晶を取り出し、先ほど送り出した魂の行く末を見守る準備をした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者が仲間になりたそうにこちらを見ている

まる
ファンタジー
 樋口康平はそこそこどこにでもいるごく平凡な人間を自負する高校生。  春休みのある日のこと、いつものように母親の経営する喫茶店・ピープルの店番をしていると勇者を名乗る少女が現れた。  手足と胴に鎧を纏い、腰に剣を差した銀髪の美少女セミリア・クルイードは魔王に敗れ、再び魔王に挑むべく仲間を捜しに異世界からやって来たと告げる。  やけに気合の入ったコスプレイヤーが訪れたものだと驚く康平だが、涙ながらに力を貸してくれと懇願するセミリアを突き放すことが出来ずに渋々仲間捜しに協力することに。  結果現れた、ノリと音楽命の現役女子大生西原春乃、自称ニートで自称オタクで自称魔女っ娘なんとかというアニメのファンクラブを作ったと言っても過言ではない人物らしい引き籠もりの高瀬寛太の二人に何故か自分と幼馴染みの草食系女子月野みのりを加えた到底魔王など倒せそうにない四人は勇者一行として異世界に旅立つことになるのだった。  そんな特別な力を持っているわけでもないながらも勇者一行として異世界で魔王を倒し、時には異国の王を救い、いつしか多くの英傑から必要とされ、幾度となく戦争を終わらせるべく人知れず奔走し、気付けば何人もの伴侶に囲まれ、のちに救世主と呼ばれることになる一人の少年の物語。  敢えて王道? を突き進んでみるべし。  スキルもチートも冒険者も追放も奴隷も獣人もアイテムボックスもフェンリルも必要ない!  ……といいなぁ、なんて気持ちで始めた挑戦です。笑 第一幕【勇者が仲間になりたそうにこちらを見ている】 第二幕【~五大王国合同サミット~】 第三幕【~ただ一人の反逆者~】 第四幕【~連合軍vs連合軍~】 第五幕【~破滅の三大魔獣神~】

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。 死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

収納持ちのコレクターは、仲間と幸せに暮らしたい。~スキルがなくて追放された自称「か弱い女の子」の元辺境伯令嬢。実は無自覚チートで世界最強⁉~

SHEILA
ファンタジー
生まれた時から、両親に嫌われていた。 物心ついた時には、毎日両親から暴力を受けていた。 4年後に生まれた妹は、生まれた時から、両親に可愛がられた。 そして、物心ついた妹からも、虐めや暴力を受けるようになった。 現代日本では考えられないような環境で育った私は、ある日妹に殺され、<選択の間>に呼ばれた。 異世界の創造神に、地球の輪廻の輪に戻るか異世界に転生するかを選べると言われ、迷わず転生することを選んだ。 けれど、転生先でも両親に愛されることはなくて…… お読みいただきありがとうございます。 のんびり不定期更新です。

世界樹を巡る旅

ゴロヒロ
ファンタジー
偶然にも事故に巻き込まれたハルトはその事故で勇者として転生をする者たちと共に異世界に向かう事になった そこで会った女神から頼まれ世界樹の迷宮を攻略する事にするのだった カクヨムでも投稿してます

誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?

伊東 丘多
ファンタジー
ジャストキルでしか、手に入らないレアな石を取るために冒険します 小さな少年が、独自の方法でスキルアップをして強くなっていく。 そして、田舎の町から王都へ向かいます 登場人物の名前と色 グラン デディーリエ(義母の名字) 8才 若草色の髪 ブルーグリーンの目 アルフ 実父 アダマス 母 エンジュ ミライト 13才 グランの義理姉 桃色の髪 ブルーの瞳 ユーディア ミライト 17才 グランの義理姉 濃い赤紫の髪 ブルーの瞳 コンティ ミライト 7才 グランの義理の弟 フォンシル コンドーラル ベージュ 11才皇太子 ピーター サイマルト 近衛兵 皇太子付き アダマゼイン 魔王 目が透明 ガーゼル 魔王の側近 女の子 ジャスパー フロー  食堂宿の人 宝石の名前関係をもじってます。 色とかもあわせて。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。

みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・

処理中です...