異世界転生でハーレムを!…胃薬飲んだら最終兵器になっちゃいました

小鳥遊よもぎ

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一章 兵器化編

約17話 剣って凄い

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「ふあ~ぁ。あー…良く寝たわ」


今日は良い朝だなあ。

良い感じに日差しが差し込んでいるし、小鳥のさえずりや虫の鳴き声がなんとも…。


俺は二度寝したい気持ちをなんとか振り切ろうとする。


(そろそろ起きないと学校に遅刻しちまうし…さて、まずは起き上が…Zzz…………)


「……はっ!?あ、危ねえ危ねえ…あやうく遅刻確定コースだぜ…」


俺は布団から勢い良く起き上がり、垂れてもいないのに汗を拭う仕草をする。

そして辺りを見回して…


「う、うわっ?!ど、泥棒でも入ったのか!?部屋がめちゃくちゃじゃねーか!…く、くそっ、どこの誰がやったか知らんが絶対に許さんぞっ…!」


昨日ちゃんと戸締まりしたっけ?とりあえず、許すまじ…泥棒め。見つけ次第撲殺してくれるっ!

その為には…

すー…はー……まずは落ち着け俺。少しでも手がかりを得るためにも、昨日のことを思い出すんだ!

えーっと、異世界の森歩いてたら研究所見つけて、色々してたら兵器化しちゃって、使える物がないか部屋を物色していくつか私物を拝借して、急な眠気に襲われたからそのまま寝た…。


…俺だった!

泥棒に入ってたの俺だったわ!

許してください、ちょっと前の俺!頼むから撲殺しないでお願いしますなんでもしますから!

あと、昨日の昼間に寝たから結構な時間眠ってたみたい。


しかしあれだな。今の、漫画とかだと[前回のあらすじお疲れさま]とか誰かに思われてそうだな。まあ現実じゃそんなのあり得ないけどね。


【前回のあらすじお疲れさまです、マスター。】


「どわっ!?ビックリしたっ!…そんで別に言わなくていいよ!」


【申し訳ございません、マスター。言うならこのタイミングしかないなと思いまして。】


「だよな!そう思うよな……じゃなくて!そんなこと言うキャラだったっけ、ララって。喋り方もちょっとずつ親近感わいてきてるし。」


【私は人工知能を搭載しているので日々進化しているのです。マスターと出会ってから早1日、だんだんマスターの思惑が理解できるようになってきました。あまり難しい言葉や固い言葉を使うよりは、少しラフな口調のほうがマスターの気が楽になるという結果が出まして。】


どうやら俺は難しい言葉をあまり理解出来てないって思われたってことらしい。言ってくれるじゃない、ララさん。

まあ確かに言葉が固すぎても何も良いこと無いもんね。できればため口で話して欲しいくらいだし、ララの人工知能ってのも伊達じゃ無いみたいだ。ちゃんと俺のことを分かってくれてきている。

…まったく、俺にはもったいないね!



…そんでやっぱ転生したのは夢じゃ無かったんだな!

嬉しす。

でもどうせなら転生したこと以外全部夢で、目が覚めたら目の前に可愛いネコ耳少女や美人なお姉さんが!とかでも良かったんだよ? ねえ、聞いてます?ドルクさん。


「さて…んじゃ、準備しますか!」


俺は忘れ物が無いかしっかり確認し、遺跡(研究所)を出ることにする。

アイテムボックスのことをすっかり忘れてて、10分ぐらい部屋の物をひっくり返したりはしていない。…いや、ホントにしてないって!嘘じゃないよ?

俺は外に出て出発しようとして、研究所を振り返る。


「この場所とはもうお別れか…。こんな変なとこにあったんじゃ、今後来ることも無いだろうしな。……なんか、一日居ただけなのに随分長いこと居たような気がするな。」


思い返せば色々あった。初めて魔法陣を使ったり、間違えて兵器化しちゃったり、AIのララと出会ったり…。あと食料があったのは本当に有り難かった。


(…まったく、感謝してもし足りないくらいだ。)


兵器化もこの森から出るためには最終的に必要なことだし、この世界のことも少しだけ教えてくれた。人の住む町があることも確認でき、姿は無いけどこれからもずっと俺に付き添ってくれるパートナーも出来た。

思い返せば、本当に感謝の念しか出てこない。

だから俺は感謝の気持ちを伝えたかった。もうそこにはドルクさんも研究所の人達も居ないけど…


「ありがとう。そんで、さようなら!色んな経験が出来て楽しかったぜ!」


当然、中からは何も返ってこない。


【痛いですよ、マスター。…しかし、もし創造主が今のマスターを見ていたなら笑顔で送り出していたと思います。

これから何が起こるか分かりませんが、必ず人の住む町に辿り着きましょう。】


「ああ…、そうだな!分からないことができたらそん時はよろしくな、ララ!」


【私も未開の地を出るのは初めてですが、出来る限りマスターのサポートをさせて頂きます。】


「よし、じゃあ……いくか!」


どれだけの旅になるのか想像もつかない。

すぐに森を抜けられるかも知れないし、いつまで経っても抜けられないかも知れない。

なんせ、向かえば良い方角さえ分からないのだ。無謀もいいところだろう。

もしかしたら魔物に食われるかも知れないし、食料不足で飢え死にする可能性だってある。

だが、ここを出るのを渋っていては何も始まらない。

進んで、進んで、進んで、進む。今俺に出来ることはひたすらに進むのみ。


「出発しんこ~う!!」


俺は生きる為の第一歩を踏み出した。








──────────────────








人々がまだ開拓しておらず、未知に溢れた…だがとても危険な未開の地。その奥底に、テンション高めに歩いている人影が一つ。


「よぉ~っし!狙い通りの木の幹にヒット!10ポイントだ!」


人影の正体は海音だ。

研究所を出てから早5時間、彼はその辺に落ちている石で一人ミニゲームをしながら順調に歩いていた。

まだ魔物の類いには遭遇していない。かなり幸運なのかと思ったが、ララによると未開の地はとても広いので、縄張り等に近づかなければ滅多に遭遇しないのだそう。

あの研究所に魔物が現れたのも数回しか無いんだとか。

海音さん、ひと安心である。


…でも何も起こらないなら起こらないで結構暇なので、こうやって石を木に当てながら歩いているのだ。以外と楽しいぞ!


だが、何も起こらないからといって気を抜きすぎるのも良くない。見張りとかも居ない以上いつ魔物が現れるか分からないのだから、ある程度気を張っていたほうが良いだろう。

そんな状況なのだが…


「ああっ、くそっ!外した!マイナス5ポイントだ!……さっきの石どこ行った?チクショウ!いい感じの大きさと丸さで気に入ってたのに…」


海音は辺りの警戒など全く気にせずに一人ミニゲームをやり続けている。


【あの…、マスター。あまり無警戒でいると、もしもの時に対応できません。暇を潰すにしてももう少し回りが見えるような遊びにして下さい。】


「えー…、じゃあまたしりとりでもする?」


【……いえ、遠慮しておきます。】


実は最初の内はしりとりをしていたのだが、ララが知っている言葉と海音の知っている言葉が全く違うために成立しなかったのだ。

暇潰しの最終手段が封じられてしまったため、多少危険を侵してまで一人遊びをしているのである。


「まーちょうど石もどっか行っちゃったし…、楽な歩き方でも試してみるか…」


俺はアイテムボックスから干し肉の切れ端を取りだし、スルメのようにくわえながら色々な歩き方を試す。

肉うめぇ。


【…マスター、暇なようでしたら創造した武器の扱いに馴れておくのも手かと思います。いざ魔物と対峙した際に分からないことだらけだと不安ですので。】


「おお!?後ろ歩きが楽な気がする……そうだな、暇って言ってもやらなきゃいけないことは山積みだもんな。」


俺は右腕をソードに変えながら答える。


「でも、武器に馴れておくったってなあ…。先に進むことが最優先だし、その辺の木とか伐採しながら歩くとかか?」


言いながら少し低めの枝を切断する。

(…おっ?結構楽しいかも。)

俺は進行方向にある雑草やら小枝やらを切りながら進み始める。


【そうですね……なら新しい武器を創造してみるのはどうでしょう?魔物の種類によって有効な武器が変わってきますので、ソードだけでは心もとないかと。】


おお、なるほど。それは考えてなかったな。

新しい武器の創造は難しそうだが、どうせ時間は腐るほどあるのだ。

体を変形させるのに馴れておきたいってのもあるし、なかなか良案じゃなかろうか。


「それだ!ナイスアイデアだよ、ララ!」


どうせなら細かく変形出来るようになってカッコいいデザインの武器を作れるようになりたいな。その時の気分で装飾を考えてカスタムして……ヤバい、俄然やる気出てきたんですけど。


「えーっと、じゃまずは…槍とかからか?簡単そうだし。」


俺は右腕に意識を集中させる。うねうねと形を変える腕を制御し、長い棒を形成させて先端を尖らせる。

色は棒から先端まで銀一色でとても頑丈そうだ。

無事変形を終わらせると、右腕の肘から先が槍になった。

形状を細くしたため、その分長くなりリーチが増している。


【ピコーン。只今創造した武器を登録しますか?】


「う~ん…別にいいかな。リーチの差もあって無いようなもんだし、右腕の力だけで突かなきゃだから威力もあんましなさそうだしね。

あ~、槍は失敗だったか…」


右腕を槍に変えているので力を込められるのは右腕だけ。しかもほとんど防御が出来ないし、クルクル回しながら敵を切り刻んだりも出来ないのだ。腕にくっついてるからね!


俺は腕を元に戻し、次の武器を考える。


(う~ん……片腕だけでも十分威力が出て、尚且つ扱いに困らないような武器か…。

ならやっぱり刃物系統だよな。剣以外の刃物で出来た武器…)


俺はしばらく熟考し、ある武器を思い付いた。

鎌だ。鎌なら横凪ぎするだけでかなり威力が出そうだし、右腕を左に払う動作なら左手でも引っ張って威力の増加が図れる。


「よしっ、いけるぞっ!」


俺はさっそく変形を開始する。今度は肘から手首までを柄にし、そこから先を刃にすることにした。

カーブがある分少し難しかったが、俺は無事変形を完了した。


柄の部分も刃のカーブも完璧に再現でき、全体のバランスも整っている。形も見た目も大満足の仕上がりである。

しかも、色が黒色で格好いい。

どうやらさっきまであまり意識して無かっただけで、色も変えられるらしい。思い描いた材質=色ってわけじゃなく、塗装もできるってことか。

なんにせよ、なんとも自分好みのフォルムと色合いだ。部屋に飾りたい。


だが…


「な、ん、で、だ、よっ!!」


完成した鎌は妙に小ぢんまりしていた。刃の部分はソードよりちょっと小さいぐらいの大きさしかなく、鎌の魅力である〔敵を一気に凪ぎ払うような攻撃〕は到底できそうにない。

…柄がなければ、ただの少し湾曲したソードと言われても反論できなさそうだ。


俺は大鎌をイメージしてたのになんで!?俺はこんなミニ鎌を創造した覚えはないぞ!

少し悲しげにミニ鎌を見ていると、ララが状況説明をしてくれた。


【これは変形に充てられるバイオウェポンの量が不足しているからですね。レベルが上がるにつれて量も増えるので、大鎌はその時にでも創れば良いかと。】


つまり、これ以上のバイオウェポンを腕に集めたら何かと不具合が起こるから完成品が小さくなったと。

ならハンマーとか打撃系の武器もダメだな。

…なんだろう、ちょっと前の純情とわくわくを返してほしい。



ふむ、これらのことを踏まえて導き出される武器の最適解は……





「…剣ってすげぇなあ」


俺は遠い目をしながら呟いた。
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