異世界転生でハーレムを!…胃薬飲んだら最終兵器になっちゃいました

小鳥遊よもぎ

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一章 兵器化編

約16話 物色楽しい

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「食っいもっの、食っいもっの、らららら~ん♪」


海音は上機嫌に歌い(?)ながら、お腹が痛くなった時に投げ捨てた食べ物をかき集めていた。


「ふふふっふふ~ん♪あー、これはこっちの袋で~、これはこっち~♪」


携帯食料や飲み物、そこらへんにあったライトとかを袋に詰める。


「はっはは~ん♪ふんふんふ~~ん♪ふっふ…うわ!危なっ!ビンから謎の液体がっ!?」


さっきからちょいちょい変な薬剤が落ちてたりするので心臓に悪い。

まったく、ドルクさんはもう少し部屋を綺麗にしたほうがいいぞ!


「…痛っ!─ったくも~、さっそくなんか踏んじゃったじゃないか。」


これだから散らかった部屋は……え?なんか踏んだって…。

俺はすぐさまその場を離脱した。この部屋には得たいの知れないものがゴロゴロ転がっているのだ。

すわっ!怪しい科学物質でも踏んじまったか!?と思ってそれを見てみると、指輪が落ちていた。

自分の指を確認するが、ララinの指輪はしっかりと指にフィットしている。


「なんだよ、驚かしやがって。ただの指輪じゃん。」


俺は指輪を手に取るも、銀色のフォルムに装飾も何もない指輪に安堵する。

そして指輪の内側を見てギョッとする。


「魔法陣……と、値札シールか?」


内側には極小の魔法陣が刻まれていた。

…あと、商品に貼るタイプの値札。3000って書いてあるので恐らく3000円だ。


なんだろう、すごく大したことなさそうだ。だって3000円だよ?お小遣いで買えるレベルですよ?絶対大したことないよねこの指輪!

…とまあ、こんなこと思ってても仕方ないのでさっそく嵌めてみる。


「……………」


待てども何も起きない。不良品か?…それか、壊れたから床にほっぽってたのか?

それでも床に物ほったらかすのはダメだと思うけどね!


【失礼します、マスター。】


うわっ!ビックリしたっ!急にどうしたんだろう。


「…なんだ?ララ。…ってか、俺が呼びかけなくても話せるんだな。」


【はい、常時起動型ですので。

それで本題ですが……マスター、魔法陣は魔力を流さなければ発動できません。その指輪も魔力を通せば魔法陣が効果を発揮するかと。】


「え、魔法陣って触ったら勝手に魔力吸い取ってくんじゃないの?」


【…なんですか、それ。怖い魔法陣ですね。そのような魔法陣は聞いたことがないです。】


うん、そうだね!確かに今思うとなんかすっごく怖いね!


【…恐らく創造主がマスターが万が一魔力を使えなくても発動できるよう、魔法陣に細工をしたのでしょう。普通は出来ないことですが、創造主は魔法陣に関しては天才的でしたので。】


なるほど。ドルクさん、なんだかんだ言ってやっぱ凄い人だったんだな。

……って!ということは、まさか!!


「ね、ねえ、つまり俺は普通の魔法陣は発動出来ないってこと?」

そんなバカな…とうなだれていると。


【いえ、そうではありません。さっきも言いましたが、魔力を流せば発動するんです。例え魔法適性が無い方でも、コツさえ掴めば誰でも発動出来ます。そもそも魔法適性が無くても魔法を扱えるようにするのが道具に魔法を付与する意義ですから。】


「…ってことは、俺にも魔力はあるってことでいいのか?」


【はい。『魔力は誰でも持っているもので、魔法が使えるかどうかとは関係ない』と創造主から聞きました。】


よかった、よかった。

魔法の使い方はさっぱり分からんからまだ良いとして、魔力さえ無いとかなったらどーしようかと…。


「んじゃ、魔力ってどうやって使うんだ?」


【そうですね、体内のエネルギーを魔法陣に流し込むイメージをしてください。マスターは既にバイオウェポンを使いこなしているので、簡単に出来ると思いますよ。変形よりは幾分簡単で単純な作業ですので。】


俺はさっそく指輪に意識を集中する。すると、指輪付近の何もない空間が歪んだように揺らめいた。

そのまま少し待ってみるも、空間がゆらゆらしているだけで何も起きないので恐る恐る触ってみると…


「うわっ…なんじゃこれ」


空間に触れた指が何かの中に入っていく感覚と共に見えなくなった。

本当はもっと驚くべきなのかも知れないけど、俺は直感的にこのアイテムが何なのかを理解した。

ここが魔法の存在する異世界で、何も無い空間に物を入れられる道具。


多分これは…

「アイテムボックス…か?」


【はい、それは市販のアイテムボックスです。選定者が作った魔道具の中で、最も人気が高かったアイテムですね。創造主が所持していたものは小型のアイテムボックスだったはずなので、恐らく一般家庭にあるクローゼット一つ分程の物が入るかと。】


どうやら正解みたい。…それは良いんだけど、アイテムボックスやっすっ!アイテムボックスって異次元収納の一種だよね?!

ラノベとかだとそこそこチートなアイテムだったと思うんだけど…、まさかの3000円!チートアイテムどころか超お手軽でお買い得じゃねーか!

俺なら10個くらいまとめ買いするわ多分!一家に一個じゃ済まさんわっ!



「…ん、ありがとうララ。」


【どういたしまして、マスター。またご用があればお呼び下さいませ。】


またーって、今回は俺が呼んだんじゃない─上に呼ばなくても常時起動型じゃないすか。


…まあいいや。3000円でも量産型でもアイテムボックスはアイテムボックス。めちゃんこ便利なアイテムなのには変わりないのでしっかりと貰っておく。

さっそく食料袋やら水やらライトやらをアイテムボックスに突っ込み、部屋を見回す。

因みにアイテムボックスから物を出すときは、出したいと思った物をピンポイントで出せるようだ。素直にありがたい。


「んーー…、よし、だいたい終わったな。」


部屋の隅々まで物色したので、俺は満足気に伸びをした。

さんざん物色したので泥棒が入った後みたいになってるが、もはや悪霊のドルクももう成仏したから別に良いだろう。後片付けの出来る俺は今はお休みタイムだ。


この研究所でやることは終わったので、俺はさっさと部屋を出ようとして──激しい目眩に襲われた。と同時に体の疲れや猛烈な眠気が襲いかかる。


「─っ!そういや何日も寝てなかったな…。そりゃこうなるか。」


俺は眠気のままに敷きっぱなしの布団に倒れこむ。

そして意識をシャットダウンさせるのを我慢して、辺りを見回した。


「…もう何も起きないよな?」


魔法陣も何もないが、一応の確認をする。

(ヤバい。俺、ドルクのせいで人間不信になりそう。あと、このオフトゥンまじ気持ちいい)

そんなこと思いながら海音は眠りについた。
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