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日常1
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記録の再生。
鈍色の空を飛翔する3体の広域殲滅型自律兵器、悪食竜が大地を焼く。
味方勢力僅少。援護はなし。
直ちに迎撃を推奨。悪食竜を撃破できるの当該機のみと判断。
しかし原因不明の激しい思考回路の乱れによって行動不可。
腕に保護しているのは金髪を赤に染め、生命活動が低下している指揮者。
己の基礎概念は「守護すべし」。優先すべきは指揮者で正しい。
『直ちに治療が必要です。指示を』
『私は、いいから。街をお願い。ほら、そこに救助型がいるから安心して。指揮歌で、援護できないのは、許して、ね』
指揮者の回答、拒絶。ノイズ。激しいエラーを感知。
『……いや、嫌ですソフィア』
『ああ、よかった。あなたはもう、大丈夫ね』
指揮者の反応、微笑、安堵。理解不能。
『強制、指令。悪食竜から、街を、守って』
強制指令の入力を確認。解除不可。しかし思考が強く拒絶。従いたくない。
指令に従おうとする機体を抑える。が、指揮者の手が頬に触れる。
青の瞳が、笑んだ。
『*****、その気持ちを、覚えていて。あなたが、歌姫を見つけた、ときの、ために。奇械は、もちろん、人間でもなかなか持てるものじゃ、ないんだから』
否、否、否。自分たちは、彼女に愛されるために作られた。
なら自分は不完全な機体である。創造主が機能制限を施したのも正しい。
このような思考、奇械には必要ない。
『*****て、ありがとう』
それでも、もし歌姫に出会ったなら。
今度こそ間違わずに、奇械として従おう。
鈍色の空を飛翔する3体の広域殲滅型自律兵器、悪食竜が大地を焼く。
味方勢力僅少。援護はなし。
直ちに迎撃を推奨。悪食竜を撃破できるの当該機のみと判断。
しかし原因不明の激しい思考回路の乱れによって行動不可。
腕に保護しているのは金髪を赤に染め、生命活動が低下している指揮者。
己の基礎概念は「守護すべし」。優先すべきは指揮者で正しい。
『直ちに治療が必要です。指示を』
『私は、いいから。街をお願い。ほら、そこに救助型がいるから安心して。指揮歌で、援護できないのは、許して、ね』
指揮者の回答、拒絶。ノイズ。激しいエラーを感知。
『……いや、嫌ですソフィア』
『ああ、よかった。あなたはもう、大丈夫ね』
指揮者の反応、微笑、安堵。理解不能。
『強制、指令。悪食竜から、街を、守って』
強制指令の入力を確認。解除不可。しかし思考が強く拒絶。従いたくない。
指令に従おうとする機体を抑える。が、指揮者の手が頬に触れる。
青の瞳が、笑んだ。
『*****、その気持ちを、覚えていて。あなたが、歌姫を見つけた、ときの、ために。奇械は、もちろん、人間でもなかなか持てるものじゃ、ないんだから』
否、否、否。自分たちは、彼女に愛されるために作られた。
なら自分は不完全な機体である。創造主が機能制限を施したのも正しい。
このような思考、奇械には必要ない。
『*****て、ありがとう』
それでも、もし歌姫に出会ったなら。
今度こそ間違わずに、奇械として従おう。
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