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第二十七話
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「芦屋! 逃げなくてもいいだろう。安心しろ。休日に遊んでるところを邪魔はしねぇよ」
買い物客でごたついた日曜日のスポーツショップの中を、人の波をなんなくすり抜け先生はいつもの意地が悪そうな笑みを浮かべながら嬉しそうな様子で近づいてくる。
なら放っておいてほしかったなと苦笑するしかない亮太の隣に立つ新堂に気づき、先生は一瞬怪訝そうな表情をしたが、すぐににこやかな雰囲気に戻ったのはさすが大人だなと思った。自分はまだできない。
笑みを浮かべたまま先生は目線のみで亮太に、こちらは?と問いかける。なんと答えようかと焦って隣を見ると、新堂は
「学校の先生、なんだな? 」
と篠崎先生にもわかるような大きな声で亮太に確認し、頷いた亮太の肩に手をまわしてぐい、と自分の方へ引き寄せた。
「亮太の恋人です」
「は」
「え」
涼し気な顔で堂々とたたずむ新堂を、思わず亮太はまじまじと見つめた。
じょ、冗談だろう!?
買い物客でごたついた日曜日のスポーツショップの中を、人の波をなんなくすり抜け先生はいつもの意地が悪そうな笑みを浮かべながら嬉しそうな様子で近づいてくる。
なら放っておいてほしかったなと苦笑するしかない亮太の隣に立つ新堂に気づき、先生は一瞬怪訝そうな表情をしたが、すぐににこやかな雰囲気に戻ったのはさすが大人だなと思った。自分はまだできない。
笑みを浮かべたまま先生は目線のみで亮太に、こちらは?と問いかける。なんと答えようかと焦って隣を見ると、新堂は
「学校の先生、なんだな? 」
と篠崎先生にもわかるような大きな声で亮太に確認し、頷いた亮太の肩に手をまわしてぐい、と自分の方へ引き寄せた。
「亮太の恋人です」
「は」
「え」
涼し気な顔で堂々とたたずむ新堂を、思わず亮太はまじまじと見つめた。
じょ、冗談だろう!?
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