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第二十一話
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ピンポン、と隣の部屋のチャイムを押すと、
「はーい!? 」と元気な佐藤のおばさんの声が響く。
「芦屋です」とインターホンに向かって言えば、すぐバタバタとにぎやかな足音が聞こえてきて、おばさんが
「あら、こんにちはー」と明るくドアを開けてくれた。
「あの、た、たくちゃん、いますか。宿題で教えて欲しい所があるんですけど」
亮太はそう言いつつ手に持っていた現国の教科書とノートを見えるよう前に出した。おばさんは人の良い笑顔をくずさないまま、
「あらー、あの子人様に教えられるかわかんないけど。どうぞ、上がってって」
と迎え入れてくれる。
亮太は廊下を歩きながら、よし、と心の中でガッツポーズをした。勉強を教えて欲しいと言えば家にお邪魔するのも巧に会う理由としても不自然じゃない。肝心の巧とも、課題について話をするなら会話にも困らないはずだ。
当の巧は亮太の突然の訪問にも驚かず、
「現国か、僕でわかるかなあ」と苦笑しながら
「おいで」と亮太を自室に入れた。
「はーい!? 」と元気な佐藤のおばさんの声が響く。
「芦屋です」とインターホンに向かって言えば、すぐバタバタとにぎやかな足音が聞こえてきて、おばさんが
「あら、こんにちはー」と明るくドアを開けてくれた。
「あの、た、たくちゃん、いますか。宿題で教えて欲しい所があるんですけど」
亮太はそう言いつつ手に持っていた現国の教科書とノートを見えるよう前に出した。おばさんは人の良い笑顔をくずさないまま、
「あらー、あの子人様に教えられるかわかんないけど。どうぞ、上がってって」
と迎え入れてくれる。
亮太は廊下を歩きながら、よし、と心の中でガッツポーズをした。勉強を教えて欲しいと言えば家にお邪魔するのも巧に会う理由としても不自然じゃない。肝心の巧とも、課題について話をするなら会話にも困らないはずだ。
当の巧は亮太の突然の訪問にも驚かず、
「現国か、僕でわかるかなあ」と苦笑しながら
「おいで」と亮太を自室に入れた。
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