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第十話
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「軽くやってみるか」
俺とタローの面倒は秀平が見てくれるようで、一つボールを取り、こっちへと体育館の隅のスペースへ手招きした。
小走りで寄って来た俺達に、
「さっきのトス、できるか?」と聞けば
「たたたた多分」と頬をひきつらせ、顔全面から汗が噴き出す勢いでタローが答える。そんな彼をしばし見つめた後、秀平は後ろを振り返り、ひらのーいいかー?、と一人の部員を呼んだ。同じ教室にいた奴だ。彼もバレー部だったのか。
「1対1でやろう」
「じゃお前と秀」
「いい!いい!身長やばいから!」
秀平と組んだら、と言おうとした俺の提案はタローに即効で否定された。さっきから全力で頭を縦に振ったり横に振ったり忙しい奴だ。
およそ180センチとたぶん170センチないくらいの秀平とタローでは確かに身長差があるが、トス練って関係あるんだろうか。
「平野!よろしくおねしゃす!」
同じような事を考えているのだろう、無言でかたまる秀平と俺を無視し、タローはさっさと平野に近づいて頭を下げ勝手にペアを組んでしまった。二人は俺達から少し離れた所に位置取りし、平野が、いくよーと言いながらゆっくりと両手でボールを上に放ってやる。タローはぎこちない動作で両手を上げてボールをとらえようとするが、手がはじかれボールは真上に飛んでしまった。その後平野と距離を縮めたりボールをもっと低く放ってもらったり平野からオーバートスのやり方をレクチャーしてもらったり、手取り足取り教えてもらっているのだがトスが二回以上続かない。
初心者かもしれないが、タローってもしかすると相当、
「見なくていいから!!そっちもやってよ!」
なんとなく心配でずっと隣を見ていたら、顔をタコのように真っ赤にしたタローに怒られてしまった。
俺とタローの面倒は秀平が見てくれるようで、一つボールを取り、こっちへと体育館の隅のスペースへ手招きした。
小走りで寄って来た俺達に、
「さっきのトス、できるか?」と聞けば
「たたたた多分」と頬をひきつらせ、顔全面から汗が噴き出す勢いでタローが答える。そんな彼をしばし見つめた後、秀平は後ろを振り返り、ひらのーいいかー?、と一人の部員を呼んだ。同じ教室にいた奴だ。彼もバレー部だったのか。
「1対1でやろう」
「じゃお前と秀」
「いい!いい!身長やばいから!」
秀平と組んだら、と言おうとした俺の提案はタローに即効で否定された。さっきから全力で頭を縦に振ったり横に振ったり忙しい奴だ。
およそ180センチとたぶん170センチないくらいの秀平とタローでは確かに身長差があるが、トス練って関係あるんだろうか。
「平野!よろしくおねしゃす!」
同じような事を考えているのだろう、無言でかたまる秀平と俺を無視し、タローはさっさと平野に近づいて頭を下げ勝手にペアを組んでしまった。二人は俺達から少し離れた所に位置取りし、平野が、いくよーと言いながらゆっくりと両手でボールを上に放ってやる。タローはぎこちない動作で両手を上げてボールをとらえようとするが、手がはじかれボールは真上に飛んでしまった。その後平野と距離を縮めたりボールをもっと低く放ってもらったり平野からオーバートスのやり方をレクチャーしてもらったり、手取り足取り教えてもらっているのだがトスが二回以上続かない。
初心者かもしれないが、タローってもしかすると相当、
「見なくていいから!!そっちもやってよ!」
なんとなく心配でずっと隣を見ていたら、顔をタコのように真っ赤にしたタローに怒られてしまった。
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