BLダウト!

浅野新

文字の大きさ
上 下
9 / 33

第八話

しおりを挟む
タローにずるずると引きずられ連れて来られた先は、体育館だった。体育館の入り口で一旦立ち止まったタローは、扉を開け頭だけ突っ込み、何か一言二言しゃべると大きくうなずいてこちらに笑顔を向けた。
「だいじょーぶだって!」
だからなんのだよと言う俺のつぶやきは再び無視され、仕方なくタローに続いて体育館に入る。中を見て思わず拍子抜けした。

「なんだ」
体育館の真ん中で輪になって準備体操している男子達の傍には、ネットの張られた1面分のコートと、かごに入ったいくつもの真っ白なボールがあった。男子バレー部の部活動だ。足を止め、何となく彼らを眺めていた俺は見知った顔を見つけた。
メンバーの中に黒田秀平がいる。体格のいい彼は他の部員の中にいてもよく目立った。
「あ」
思わず彼を見つめていると目が合った。秀平は真顔のまま了承していると言うように軽く頷き、人差し指を立てて天井を指した。
「あ?」
「ちょっとリョータ!何ぼーっとしてるんだよ、上行こ、上!」
取って返してきたタローに再び腕をつかまれ、俺はやっと合点がいった。
「見学すんの?バレー部?」
「何度もそう言ってるじゃん!」
何か釈然としない気持ちのまま、タローと一緒に2階の見学席へ向かう。誰もいない広々とした席に居心地が悪く感じながらも、前方の席に隣り合って座った。部員たちはまだ準備体操をしている。手持無沙汰でなんとなくタローに問いかけた。
「いつも見学してんの?」
「ううん、初めて。ほら、北村先生厳しいからさー」
北村先生が分からないが、見学可否は顧問によって考え方が違う。大方顧問がいない時は部員はこっそり自由にやってるんだろうと思った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので

こじらせた処女
BL
 大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。  とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…

告白ゲームの攻略対象にされたので面倒くさい奴になって嫌われることにした

雨宮里玖
BL
《あらすじ》 昼休みに乃木は、イケメン三人の話に聞き耳を立てていた。そこで「それぞれが最初にぶつかった奴を口説いて告白する。それで一番早く告白オッケーもらえた奴が勝ち」という告白ゲームをする話を聞いた。 その直後、乃木は三人のうちで一番のモテ男・早坂とぶつかってしまった。 その日の放課後から早坂は乃木にぐいぐい近づいてきて——。 早坂(18)モッテモテのイケメン帰国子女。勉強運動なんでもできる。物静か。 乃木(18)普通の高校三年生。 波田野(17)早坂の友人。 蓑島(17)早坂の友人。 石井(18)乃木の友人。

逃げるが勝ち

うりぼう
BL
美形強面×眼鏡地味 ひょんなことがきっかけで知り合った二人。 全力で追いかける強面春日と全力で逃げる地味眼鏡秋吉の攻防。

咳が苦しくておしっこが言えなかった同居人

こじらせた処女
BL
 過労が祟った菖(あやめ)は、風邪をひいてしまった。症状の中で咳が最もひどく、夜も寝苦しくて起きてしまうほど。 それなのに、元々がリモートワークだったこともあってか、休むことはせず、ベッドの上でパソコンを叩いていた。それに怒った同居人の楓(かえで)はその日一日有給を取り、菖を監視する。咳が止まらない菖にホットレモンを作ったり、背中をさすったりと献身的な世話のお陰で一度長い眠りにつくことができた。 しかし、1時間ほどで目を覚ましてしまう。それは水分をたくさんとったことによる尿意なのだが、咳のせいでなかなか言うことが出来ず、限界に近づいていき…?

熱中症

こじらせた処女
BL
会社で熱中症になってしまった木野瀬 遼(きのせ りょう)(26)は、同居人で恋人でもある八瀬希一(やせ きいち)(29)に迎えに来てもらおうと電話するが…?

【完結】海の家のリゾートバイトで口説かれレイプされる話

にのまえ
BL
※未成年飲酒、ビールを使ったプレイがあります 親友の紹介で海の家で短期アルバイトを始めたリョウ。 イケメン店長のもとで働き始めたものの、初日から常連客による異常なセクハラを受けた上、それを咎めるどころか店長にもドスケベな従業員教育を受け……。

真冬の痛悔

白鳩 唯斗
BL
 闇を抱えた王道学園の生徒会長、東雲真冬は、完璧王子と呼ばれ、真面目に日々を送っていた。  ある日、王道転校生が訪れ、真冬の生活は狂っていく。  主人公嫌われでも無ければ、生徒会に裏切られる様な話でもありません。  むしろその逆と言いますか·····逆王道?的な感じです。

おねしょ癖のせいで恋人のお泊まりを避け続けて不信感持たれて喧嘩しちゃう話

こじらせた処女
BL
 網谷凛(あみやりん)には付き合って半年の恋人がいるにもかかわらず、一度もお泊まりをしたことがない。それは彼自身の悩み、おねしょをしてしまうことだった。  ある日の会社帰り、急な大雨で網谷の乗る電車が止まり、帰れなくなってしまう。どうしようかと悩んでいたところに、彼氏である市川由希(いちかわゆき)に鉢合わせる。泊まって行くことを強く勧められてしまい…?

処理中です...