黒の男爵

浅野新

文字の大きさ
上 下
12 / 25

11

しおりを挟む
学長に早速翌日から地下室へ来るよう言われた僕は、次の日部活が終わった後部屋へ直行した。
「いきなり大任だぞ、藤堂」
やけに嬉しそうな北島先生が地図をテーブルに広げて待っていた。D市博物館と周辺の地図が描かれている。先生が博物館を指差した。
「まず簡単に説明するぞ。今度の標的はD市博物館だ。近くだから藤堂も一度は行った事があるだろう。うん、そこの小さな置物を盗むわけだが、それは赤の男爵がやる。藤堂には、男爵が盗んだ後、彼の逃亡の手助けをして欲しい。そこでだ」
先生は地図の上に別の紙を広げた。博物館とその敷地内の拡大図になっており、先生は博物館の一つの窓を示した。
「男爵はここの窓から出て東へ逃げるから、君は少し離れた茂み、この辺だね、に潜んで彼が行ったら西へ逃げる。警察を分散させる為にね。つまり」
「囮ですね」
 僕は先に答えた。学長から男爵の影に、と言われた時から何をするかは薄々分かっていた。先生が頷く。
 あれ、でも囮だったら、もしかして・・。
 僕の疑問を見透かしたように、先生がにやりと笑った。
「そう。もちろん、藤堂も赤の男爵の扮装をしてもらう」
「ほ、本当ですか!? 」
「厳密に言えば男爵の変装、だけどね。・・・大変な役だが、がんばって欲しい」
「は、はい」
 憧れの男爵に近付けるだけではなく、自分も、例え偽者でも男爵になれるんだ。これは頑張らないと。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

兄になった姉

廣瀬純一
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

奇妙な日常

廣瀬純一
大衆娯楽
新婚夫婦の体が入れ替わる話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...