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学長に早速翌日から地下室へ来るよう言われた僕は、次の日部活が終わった後部屋へ直行した。
「いきなり大任だぞ、藤堂」
やけに嬉しそうな北島先生が地図をテーブルに広げて待っていた。D市博物館と周辺の地図が描かれている。先生が博物館を指差した。
「まず簡単に説明するぞ。今度の標的はD市博物館だ。近くだから藤堂も一度は行った事があるだろう。うん、そこの小さな置物を盗むわけだが、それは赤の男爵がやる。藤堂には、男爵が盗んだ後、彼の逃亡の手助けをして欲しい。そこでだ」
先生は地図の上に別の紙を広げた。博物館とその敷地内の拡大図になっており、先生は博物館の一つの窓を示した。
「男爵はここの窓から出て東へ逃げるから、君は少し離れた茂み、この辺だね、に潜んで彼が行ったら西へ逃げる。警察を分散させる為にね。つまり」
「囮ですね」
僕は先に答えた。学長から男爵の影に、と言われた時から何をするかは薄々分かっていた。先生が頷く。
あれ、でも囮だったら、もしかして・・。
僕の疑問を見透かしたように、先生がにやりと笑った。
「そう。もちろん、藤堂も赤の男爵の扮装をしてもらう」
「ほ、本当ですか!? 」
「厳密に言えば男爵の変装、だけどね。・・・大変な役だが、がんばって欲しい」
「は、はい」
憧れの男爵に近付けるだけではなく、自分も、例え偽者でも男爵になれるんだ。これは頑張らないと。
「いきなり大任だぞ、藤堂」
やけに嬉しそうな北島先生が地図をテーブルに広げて待っていた。D市博物館と周辺の地図が描かれている。先生が博物館を指差した。
「まず簡単に説明するぞ。今度の標的はD市博物館だ。近くだから藤堂も一度は行った事があるだろう。うん、そこの小さな置物を盗むわけだが、それは赤の男爵がやる。藤堂には、男爵が盗んだ後、彼の逃亡の手助けをして欲しい。そこでだ」
先生は地図の上に別の紙を広げた。博物館とその敷地内の拡大図になっており、先生は博物館の一つの窓を示した。
「男爵はここの窓から出て東へ逃げるから、君は少し離れた茂み、この辺だね、に潜んで彼が行ったら西へ逃げる。警察を分散させる為にね。つまり」
「囮ですね」
僕は先に答えた。学長から男爵の影に、と言われた時から何をするかは薄々分かっていた。先生が頷く。
あれ、でも囮だったら、もしかして・・。
僕の疑問を見透かしたように、先生がにやりと笑った。
「そう。もちろん、藤堂も赤の男爵の扮装をしてもらう」
「ほ、本当ですか!? 」
「厳密に言えば男爵の変装、だけどね。・・・大変な役だが、がんばって欲しい」
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