【アルファポリス恋愛小説大賞奨励賞いただきました】三人

浅野新

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聖司と曜

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 それから三日ほどたってから、曜が放課後に僕を近くの河原へと誘った。途中でハンバーガーを買い、二十分ほど歩いて、夕暮れの河原に辿り着いた。犬の散歩やジョギングしている人を避け、人気のない所に腰を下ろす。

 曜は最初はいつもと変わらなかった。とりとめのない事を話し、よく食べ、よく笑った。

 夕暮れも深まった頃、彼はぽつりと、聖司も聞いたよな、とつぶやいた。

「・・・さくらから別れてくれって言われた」
 僕は黙って頷いた。
「好きな奴ができたんだって」

 今度は頷かなかった。

 曜は静かに、何かに耐えるかのようにしゃべり続ける。

「申し訳ないから、これ以上は付き合えないって」
「俺はそれでも構わないって言ったんだ。でも・・・」
「今までだってそうだったじゃないか、何が駄目なんだよ、何が違うんだよ。お前はこれでいいのかよ」

 僕は、と少し詰まった。
「僕は・・・、彼女の好きなようにすれば、それで」

 俺は構わないのに、と曜は顔を伏せた。両肩が小さく震えている。

 僕は彼の肩を抱く事も、あいずちを打つ事も、何もできなくてただ隣に座っていた。
 時々、強い風がごう、と鳴る。
 春がもう近くまでやって来ている。

 しばらくして曜がつぶやいた。

「好きな奴って知ってるか」

 僕は最初で最後の嘘をついた。


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