一夜明けたら性生活が一変してた

貴林

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十三突き目 琴音

恵と一城

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一城は、まさるの店に来ていた。
「一城、何かあったの?」
まさるの問いに一城は、一点を見つめたまま、何も答えないでいる。
「ふん、まあ、いいわ。何か飲む?」
「いつもの頼む」
棚からダルマを取るまさる。
「たまには、違うのも行ってみれば?」
「いいんだよ、それで」
「あら?あまり入ってないけど。はい」
ボトルと氷の入ったグラスを差し出すまさる。
チョロチョロと、ウィスキーが出てポタポタと空になる。
「新しいの、入れてくれ」
棚に手を伸ばすまさる。
「あ、いけない。切らしてたわ」
「おいおい、マジかよ」
グビッとグラスを空ける一城。
「悪い、まさる。行くわ」
「ごめんね、一城」
「いいよ」
カウンターを立つ一城は、扉を開けて出ようとすると、恵が珍しく入って来た。
「ああ、一城さん」
「よお、なんだか、しばらくだな」
「ですね。今日はもう帰るんですか?」
「ああ」
まさるが空になったボトルを振っているのを見た恵は、ボトルを切らしてしまった事が伺えた。
「事務所ですか?」
「お前も来るか?」
「え?はい、行きます」
一城の後をついて行く恵。
3階の社長室に向かう2人。
そこに行けば、ボトルのストックがあるのを2人は知っていた。
鍵を開ける一城は中に入ると、ソファに腰を下ろした。
恵は、プライベートルームに行き、食器棚からグラスとボトルを取ると一城の側のテーブルに置いた。
「氷、取ってきますね」
「ああ、悪いな」
再び、プライベートルームに入る恵は、アイスペールを持って冷蔵庫に向い製氷皿から氷をすくい入れる。
ジャーキーとカルパスを、見つけたのでツマミにそれも持っていく恵。
「お待たせしました」
「ありがとう。恵」
恵は、一城の斜め前に腰を下ろすとグラスに氷を落とし始める。
真新しいボトルの栓を開ける恵は、氷の入ったグラスにウィスキーを注ぐ。
トクトクと心地いい音を立てる。
「はい、一城さん」
差し出されたグラスを取る一城。
「お、トゥーフィンガーのロックだな。よく覚えてたな」
「そりゃ、覚えてますよ。ずっと、一緒でしたからね」
「恵は、ワンフィンガーのロックだったな」
「そうです。基本、あまり飲める方ではないので」
二つのグラスにウィスキーを入れ終える恵。
「一城さん」
恵は、言うとグラスを掲げると、それにグラスをカチンと当てる一城。
「おつかれ」
「お疲れっす」
少し多めに喉に流し込む一城。
「ああ、やっぱこれだよ」
「変わりませんね。好みは」
「好きになった物を、そう簡単に変えられるかよ」
「・・・そうですよね」
その言葉の意味するところを、感じ取っている恵。
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