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十二突き目 病院にて
哲美、落ちる
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「なに?哲ちゃんが落ちた?」
事務所で、電話を取った一城。
「どうしたの?」
蓮実が一城の電話の対応から何かを感じ取っている。
それを、ちょっと待ってと手で遮る一城。
「わかった、K市総合病院だな。すぐ行く」
「ねえ、一城、哲ちゃんて、哲美よね?何かあったの?」
珍しく慌てた様子の一城。
「哲ちゃ・・哲美が窓拭きしてて、落ちたらしい」
「え?」
上着を取ると車のキーを手を掴む一城。
「蓮実、お前も来れるか?」
「あ、うん。すぐに行くから先に車行ってて」
「わかった」
(あの哲美が?何があったのよ)
持っていた書類をデスクに置くと、蓮実も上着を取ると事務所を出た。
・・
K市総合病院 哲美の病室
「は?」
ベットの上で、哲美はピンピンしていた。
「悪い悪い、騒がせちまったな。ちょっと、足を挫いただけなんだよな、あははは」
「あははじゃねえよ、ったく。脅かすなよ」
「面目ない。とは、言うものの一ヶ月は安静にしろとさ。あのヤブ医者め。ひびが入ったくらいでガタガタ言いやがる」
「おいおい、そういうの挫いたとか言わねえから。骨折って言うんだ、バ~カ」
「うっせな、大して変わんねえだろが」
「松葉杖付いてりゃ、変わるわ、アホ」
「バカだのアホとか、抜かしてんじゃねえぞ、おら。珍玉へし折るぞ」
「おお、上等じゃねえか、折れるもんなら折ってみろよ、ほれ」
哲美に向かって腰を突き出す一城。
蓮実は、こんなやり取りに慣れているとは言え居場所がないと悟ると
「なんか、飲み物買ってくるね」
出て行く蓮実。
仲が良いのか悪いのか、よくわからない二人である。
自販機コーナーに来た蓮実は、そこに設置されたソファで眠りこける咲を見かける。
「咲ちゃん・・・」
疲れ切って、丸くなって眠る咲。
声が掛けられないでいる蓮実。
コーヒーを3缶買うと、そのまま哲美の部屋に引き返す。
部屋に戻ると、まだ、言い合いは続いている。
「コーヒー、ここ置くね」
コトンと置くが、二人はまだやめない。いい加減、イライラしてくる蓮実は、コーヒーを持ち上げると
「ここ、置くから」
声をやや荒げ、ゴトンと音を立てて置いた。
ビックリする一城と哲美。
「な、何怒ってんだよ」
「一城、最近、咲ちゃんに会った?」
「あ、いや、あれ以来、会ってねえけど」
「今、自販機コーナーにいるから」
「それが?」
「会ってないんだよね?最近」
蛇に睨まれたネズミの一城。
「あ、お、わかった。ちょっくら、行ってくるわ」
部屋を出る一城は、襟足を掻く。
「たまに、オッカねえんだよな、蓮実」
事務所で、電話を取った一城。
「どうしたの?」
蓮実が一城の電話の対応から何かを感じ取っている。
それを、ちょっと待ってと手で遮る一城。
「わかった、K市総合病院だな。すぐ行く」
「ねえ、一城、哲ちゃんて、哲美よね?何かあったの?」
珍しく慌てた様子の一城。
「哲ちゃ・・哲美が窓拭きしてて、落ちたらしい」
「え?」
上着を取ると車のキーを手を掴む一城。
「蓮実、お前も来れるか?」
「あ、うん。すぐに行くから先に車行ってて」
「わかった」
(あの哲美が?何があったのよ)
持っていた書類をデスクに置くと、蓮実も上着を取ると事務所を出た。
・・
K市総合病院 哲美の病室
「は?」
ベットの上で、哲美はピンピンしていた。
「悪い悪い、騒がせちまったな。ちょっと、足を挫いただけなんだよな、あははは」
「あははじゃねえよ、ったく。脅かすなよ」
「面目ない。とは、言うものの一ヶ月は安静にしろとさ。あのヤブ医者め。ひびが入ったくらいでガタガタ言いやがる」
「おいおい、そういうの挫いたとか言わねえから。骨折って言うんだ、バ~カ」
「うっせな、大して変わんねえだろが」
「松葉杖付いてりゃ、変わるわ、アホ」
「バカだのアホとか、抜かしてんじゃねえぞ、おら。珍玉へし折るぞ」
「おお、上等じゃねえか、折れるもんなら折ってみろよ、ほれ」
哲美に向かって腰を突き出す一城。
蓮実は、こんなやり取りに慣れているとは言え居場所がないと悟ると
「なんか、飲み物買ってくるね」
出て行く蓮実。
仲が良いのか悪いのか、よくわからない二人である。
自販機コーナーに来た蓮実は、そこに設置されたソファで眠りこける咲を見かける。
「咲ちゃん・・・」
疲れ切って、丸くなって眠る咲。
声が掛けられないでいる蓮実。
コーヒーを3缶買うと、そのまま哲美の部屋に引き返す。
部屋に戻ると、まだ、言い合いは続いている。
「コーヒー、ここ置くね」
コトンと置くが、二人はまだやめない。いい加減、イライラしてくる蓮実は、コーヒーを持ち上げると
「ここ、置くから」
声をやや荒げ、ゴトンと音を立てて置いた。
ビックリする一城と哲美。
「な、何怒ってんだよ」
「一城、最近、咲ちゃんに会った?」
「あ、いや、あれ以来、会ってねえけど」
「今、自販機コーナーにいるから」
「それが?」
「会ってないんだよね?最近」
蛇に睨まれたネズミの一城。
「あ、お、わかった。ちょっくら、行ってくるわ」
部屋を出る一城は、襟足を掻く。
「たまに、オッカねえんだよな、蓮実」
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