魔物を倒すよりお前を押し倒したい

貴林

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第六夜 吸血巨乳 編

駿太、危機一髪

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なんとかかんとか、玄関を抜けて、表に出てきた駿太。
「ふう、とりあえず、逃げ切ったな」
すぐ脇にプールがあった。
照明が、水面に反射してゆらゆらするたびにキラキラと光っている。
その光の中に女性の姿を見た。
赤いワンピースを着ている。
オフショルダーの肩が胸元まで落ち、片方の乳房が露出していた。
この時また、あの強烈な花粉の匂いがした。この女性から匂っているようだ。
駿太が女性に歩み寄る。
「だ、大丈夫ですか?」
「もちろん、大丈夫よ」
「それなら、良かった。とにかく、ここは危険です。どこかに逃げましょう」
「うふふ、いいわね。私を連れて行ってくれるの?」
スカートの裾をたくし上げると、何も履いていないモシャモシャのところで、指をVの字に開く。
「これが、欲しいのよね?」
「え?いや、今は結構です」
駿太は思い出した。
「吸血巨乳」
今はまだ、女の乳房は平に近い。
それだけに獲物を欲している。
舌舐めずりをする女。
「早く、いっぱい頂戴」
やばい、ここで捕まったら
駿太の頭の中を、映画のシーンが蘇る。
あ、捕まったらチビ太が切り落とされる。
逃げる。とにかく逃げる。
イベント会場と併設してこのホテルがあった。
門まではまだ遠い。
足がもつれて、舗装の上に転がる駿太。
あっと、振り返ると吸血巨乳がすぐそこに迫っていた。
まずい、このままでは捕まる。
遠くバイクのエンジン音。
ブロロロロロロ。
駿太を呼ぶ声
「シュンター」
「ミサオ?」
黒のライダースーツを着たミサオ。映画の中みたいで、格好良かった。だが、見惚れてる場合じゃなかった。
襲いかかる吸血巨乳、それを目掛けてバイクの後輪を滑らせる。
それに足をすくわれ、ひっくり返る吸血巨乳。
「シュンタ、今のうちに」
バイクの上から、手を伸ばすミサオ。
駿太がミサオの手を取ると、ミサオがグイと引っ張り上げ、後ろの座席に座らせた。
「しっかり、つかまって」
慌てた駿太は、ミサオの両胸を掴んだ。
「あん、今はそれどころじゃないのに」
「ごめん、わざとやった」
言うと、くびれたお腹に手を回した。
ブオオオン
前輪を高々持ちあげ、一気に加速し会場を後にする。
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