魔物を倒すよりお前を押し倒したい

貴林

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第四夜 珍玉握り

迫られて

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下着メーカー FIT(フィット) 撮影スタジオB

撮影が始まった。
ウエストリボンのロングコートを纏った露華が現れる。
フラッシュの閃光の嵐。有名人の撮影とあって、多くの記者が押しかけていた。
リボンを解き、なまめかしく肩から脱ぎ始める露華。
それを、駿太に渡す露華。サポートも仕事のうちだから仕方がないとこだが。
にしても、さすが売れっ子、スイッチが入るとプロだった。
コートを脱ぐと、今回の下着は際どさをテーマにした勝負下着を売りにしている為、ほぼ全裸状態。出るところは出て、引っ込むところは引っ込んだ。バランスの取れた綺麗な身体をしていた。数多く女性の裸をAVで見てきた駿太には、とても良い絵であった。思わず生唾を飲む。
大胆な性格から、グラビア界にも名を馳せているだけあって、男心をそそられて、ドキドキした。

ふと、駿太は考えた。
でも、ここで生き物について考えてみてほしい。
動物って、本来は四つ足で歩いている分には、生殖器って剥き出しなんだけど、人間は立って歩くようになると、生殖器が隠れてしまい異性に対するアピールが出来なくなった。その上、衣服を身に纏うことでさらに隠してしまう。だから、お尻を象徴するように胸が発達したのだと何かで読んだことがある。それから、察するに男が女性の胸を見て興奮するのは自然の現象なのだ。
子孫を残し、反映させていくための生存本能が異性を求めるのであって、下心といったものとは、違うのかもしれない。と、思うのだが

「苗場くん?苗場くんてば、何してるの、露華さんに羽織るものを」
真希さんが、やや小声で声をかけていた。
「あ、いけね」
コートを持って露華に駆け寄ると、コートを羽織らせる。
「ありがとう、苗場さん」
人前だと実にクールだ。
「どう、致しまして」
売り言葉に買い言葉だな。

「少し、休憩します」
真希さんが声を張り上げ、駿太に駆け寄ると
「露華さんに、飲み物をお願いね」
「はいよ」
駿太は露華のそばまで行く。
「伊香下さん、お飲み物は、何を飲まれますか?」
露華が近づいてきて、耳元で囁く。
「駿太くんの、アレが飲みたいな」
ズキンと来るチビ太。
「え、いや、それは、ちょっと」
「冗談よ。コーヒーにミルクでお願い。控室に持ってきてね」
言うと、控室に行ってしまう露華。
コーヒーをカップに注ぎ、ポーションタイプのミルクを取ると露華の控室に行った。
コンコン ドアをノックする駿太。
「コーヒーをお持ちしました」
「どうぞ、入って」
ガチャ 扉を開けて入る駿太。
「失礼しま・・・あぐふ」
コートを脱ぎ、下着姿の露華が立っていた。
「し、失礼しました」
慌てて出て行こうとする駿太。
「待って」
言われて条件反射的に待ってしまう駿太。
コツコツとヒールを鳴らしドアに近づくと、露華の手が駿太の顔の横を通るとドアをバタンと閉める。
「え?」
露華に壁ドンされる駿太は、露華と顔が近い。露華は手をそのまま手を下げていく。
カチャ ドアのロックのかかる音。
その手がそのまま、横にスライドしてきて駿太の腰に手を置く露華。
「さっきは、どうだった?」
言いながら、駿太のチャックを下ろし始める。
「え?ああ、良かったよ」
露華の口元が駿太の耳に近づく。
「少しは、興奮してくれた?」
開かれたチャックに手を差し入れる露華。
「うん、俺も男だからね。すごく綺麗だったよ」
露華は手を抜くと軽く駿太の耳を噛む。
「ずるい人、こういう時は、綺麗だなんて言わないわよ」
「じゃあ、なんて?」
少し苛立っている露華。
「すごく興奮したよ。君がほしい って、そう言えばいいのに」
「うーん、それはないかな」
「なんでよ、男はだいたい欲しがるものなのに」
「だいたいはね、そうかもしれない」
「なら、なんで?」
「なんでだろうな。俺にもわからないよ」
持っていたコーヒーとミルクをテーブルに置く駿太を見ながら、チラリと壁にかかった時計を見る露華。
「私を抱く時間はあるのよ。誰も入ってきやしないから、ね?だから」
「ごめん、それでも、そんな気にはなれないね。他に用がなければもう行くよ」
駿太は、背を向け、ドアノブに手を伸ばす。
「待って」
「他に何か?」
「いいわ、どうしても、ここを出て行くって言うなら」
「なら?」
「大声を出すわ」
肩を落としながら、ため息をつく駿太。
「あのなあ、露華。いい加減にしてくれないかな」
「何よ、ここで私を断れば今回の仕事もここまでになるわよ」
「何事もなく、ここを出ることは出来ないってことだね」
「そういうことになるわね」
腰に手を当てて、自信に満ちた表情を浮かべる露華は、さあどうする?の顔をしているのを見た駿太。
「ふうー」
「お願いだから、諦めて私を抱いてよ。ただ、それだけなんだから」
「わかったよ」
「え?」
「抱いてやるよ」
「本気で言ってる?」
「うん、ただ・・・」
「ただ?」
ズボンのベルトを外し始める駿太。
「ちょちょ、いくらなんでも、いきなり?」
「いや・・・そうじゃなくて、する前に言っておきたいことがあってね」
ズボンとトランクスを同時に脱ぐ駿太。
「きゃっ」
顔を両手で隠す露華は、指の隙間からしっかり見ている。
「これでも、抱いてと言うなら、そうするけど?実は俺、病気なんだ」
火星人チビ太が、露出する。頭の数箇所に赤い点までポツポツとあった。
「うげっ、なんだこれ?」
露華が見たことないものを見て声を上げた。
「だから、言ったろ?抱けないって。これでも、したいならどうぞ」
首を大きく振る露華を見て、ズボンを履く駿太。
「あ、それからさ」
「な、何よ」
「どんな病気かもわからないから手洗いはしっかりな」
ハッとして、自分の手のひらを見る露華。
わざとらしく、露華の手を見る駿太。
「なんか、色、変じゃね?」
いやーと、トイレに急ぐ露華。
「では、失礼します」
バタンと扉を閉める駿太は、ドアに寄りかかると安堵のため息をついた。
「ふー、やばかったー」
もう少し、迫られたら理性を失っていただろう。ましてや、このチビ太で、いいよなどと言われたらアウトだった。
これも、根元抑え皮剥きパンパン抜き のおかげであった。
チビ太が、こんなになったのは初めてだったが、赤い点々は一人悦びをしていてパンパン状態でイキすぎた時になったことがあったので驚かなかった。
恐らくだが、パンパンに充血させすぎて表面の細かい血管が切れて細かい内出血になったと思われる。
「ミサオ様様だな」

       ・・

午後からの撮影も何事もなく終わり、帰りの送迎は毛衣池もういちが担当した。
せっかく出会ったのだからと、伊香下と連絡先の交換はした。そこまで、断る理由も見つからなかったのも、その一つだ。
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