6 / 42
第二夜 出先で
会社でデレデレ
しおりを挟む
苗場駿太は、下着メーカーFIT(フィット)の試作品試着担当部〈そんな部があるかは、定かではないが〉で働いていた。
普段はボサボサ頭に眼鏡でダサダサの駿太であった為、周囲の女性たちは駿太の存在を気にも止めていなかった。
それは、昨日までの話で今日はいつもと違った。
それもそのはず、今朝に限ってミサオが髪を散髪してくれてキチンとまとまり、ちょっとしたイケメンになっていた。
コピーを終えた新人の女の子が、誤って用紙をばら撒いてしまった。それを普段なら無視する駿太だったが、何故か近づいてそれを拾い上げた。
「大丈夫?」
声をかける駿太。いつもなら、こんなことはしない。
「あ、ありがとうござ・・」
新人の子が、駿太を見ると言葉に詰まった。
顔を赤らめると、そそくさと行ってしまった。
眼鏡のブリッジを中指で持ち上げると首を傾げる駿太。
そこに同僚の戸黒真希、細身だが程よい形の胸を広めに開かれたシャツから覗かせて、カップのコーヒーを両手に持ち駿太に近づいてきた。
「駿太くん、おはよう。良かったら飲まない?」
「え?しゅ、しゅんた?」
コーヒーを差し出す真希。
「やだなあ、駿太くんは駿太くんじゃない」
戸惑う駿太は、目をパチクリしながら、よく分からずにそれを受け取った。
「あ、ありがとう。戸黒さん」
「もうやだ、駿太くん。真希って呼んでよ」
「はあ・・真希・・さん?」
「うふ、まあどっちでもいいよ」
「どうも」
真希が駿太を覗き込んでくる。
「ねえねえ、駿太くん、今日仕事終わったら飲みにでも行かない?」
珍しいことを言われて戸惑う駿太。
「え?飲みに?俺と?」
「他に誰がいるのよ?」
確かに女だらけの職場に、他に男はいなかった。
「あ、真希。なんの話してんの?飲みに行くなら、私も仲間に入れなさいよ」
そこに、真希と同期の雲野糸子が、やってきた。
真希と違いぽっちゃりした体付きで、豊満な胸をしている。
「別にいいわよね?駿太くん、私も行っても」
駿太の腕にしがみつく糸子。
こんなことされて、嬉しくないはずがなかった。ドキドキしていた。
糸子の胸が駿太の腕で、ムニンとつぶれる。
(あひっ)
声に出さなかったが、ひきつる駿太。
チビ太が、ピクリと反応する。
今朝のミサオの顔が浮かんできてチビ太を落ち着かせる。
「あ、卑怯なことするわね。糸子」
「あら、真希だって、胸元そんなに開いてどういうつもりよ?」
駿太が立ち上がる。
「ご、ごめんなさい。今日は、用事があるので、またの機会に。すみません」
糸子から腕を解くとその場を離れた。
「あ、駿太くん。待ってよ。ほらぁ、糸子が邪魔するから行っちゃったじゃない」
「何言ってるのよ。真希が出し抜くからでしょ」
ギーと睨み合う二人。
駿太は、男子トイレに行くとボックスに入った。
ペタリと座り込む駿太。
(よく耐えたぞ。チビ太)
「にしても、なんなんだよ。今日は」
あっ 駿太は、思い出した。
[今のシュンタは違うよ。絶対、女の子が放っておかない]
ミサオの言葉が、よぎって行った。
「まるで、魔法だな。あり得ないよ、こんなの」
普段はボサボサ頭に眼鏡でダサダサの駿太であった為、周囲の女性たちは駿太の存在を気にも止めていなかった。
それは、昨日までの話で今日はいつもと違った。
それもそのはず、今朝に限ってミサオが髪を散髪してくれてキチンとまとまり、ちょっとしたイケメンになっていた。
コピーを終えた新人の女の子が、誤って用紙をばら撒いてしまった。それを普段なら無視する駿太だったが、何故か近づいてそれを拾い上げた。
「大丈夫?」
声をかける駿太。いつもなら、こんなことはしない。
「あ、ありがとうござ・・」
新人の子が、駿太を見ると言葉に詰まった。
顔を赤らめると、そそくさと行ってしまった。
眼鏡のブリッジを中指で持ち上げると首を傾げる駿太。
そこに同僚の戸黒真希、細身だが程よい形の胸を広めに開かれたシャツから覗かせて、カップのコーヒーを両手に持ち駿太に近づいてきた。
「駿太くん、おはよう。良かったら飲まない?」
「え?しゅ、しゅんた?」
コーヒーを差し出す真希。
「やだなあ、駿太くんは駿太くんじゃない」
戸惑う駿太は、目をパチクリしながら、よく分からずにそれを受け取った。
「あ、ありがとう。戸黒さん」
「もうやだ、駿太くん。真希って呼んでよ」
「はあ・・真希・・さん?」
「うふ、まあどっちでもいいよ」
「どうも」
真希が駿太を覗き込んでくる。
「ねえねえ、駿太くん、今日仕事終わったら飲みにでも行かない?」
珍しいことを言われて戸惑う駿太。
「え?飲みに?俺と?」
「他に誰がいるのよ?」
確かに女だらけの職場に、他に男はいなかった。
「あ、真希。なんの話してんの?飲みに行くなら、私も仲間に入れなさいよ」
そこに、真希と同期の雲野糸子が、やってきた。
真希と違いぽっちゃりした体付きで、豊満な胸をしている。
「別にいいわよね?駿太くん、私も行っても」
駿太の腕にしがみつく糸子。
こんなことされて、嬉しくないはずがなかった。ドキドキしていた。
糸子の胸が駿太の腕で、ムニンとつぶれる。
(あひっ)
声に出さなかったが、ひきつる駿太。
チビ太が、ピクリと反応する。
今朝のミサオの顔が浮かんできてチビ太を落ち着かせる。
「あ、卑怯なことするわね。糸子」
「あら、真希だって、胸元そんなに開いてどういうつもりよ?」
駿太が立ち上がる。
「ご、ごめんなさい。今日は、用事があるので、またの機会に。すみません」
糸子から腕を解くとその場を離れた。
「あ、駿太くん。待ってよ。ほらぁ、糸子が邪魔するから行っちゃったじゃない」
「何言ってるのよ。真希が出し抜くからでしょ」
ギーと睨み合う二人。
駿太は、男子トイレに行くとボックスに入った。
ペタリと座り込む駿太。
(よく耐えたぞ。チビ太)
「にしても、なんなんだよ。今日は」
あっ 駿太は、思い出した。
[今のシュンタは違うよ。絶対、女の子が放っておかない]
ミサオの言葉が、よぎって行った。
「まるで、魔法だな。あり得ないよ、こんなの」
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる