蜃気楼の向こう側

貴林

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2 裏世界

大志の居所

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麗美が酒を注ぎながら、真希乃たちを見る。
「おさらいするね。ここ裏世界では、ロムル帝国が、ほぼ実権を握ってるのね。小国として、ギルシガ、エプトン、チャミル、モグンムが、それに敵対してるの。まあ、他にも種族がいくつかあるから、それは、追々ね」

「日本は?こっちの世界の日本は、どうなんです?」
真希乃が当然のように聞く。
「残念だけど、日本は、ジパンは、ほとんどが捕まって、奴隷にされてる」
口を手で覆う彩花。
「そんな・・」
「でもって、そんなロムルに対抗しようと組織されたのが、自由の旗 なの」
彩花は、矛盾を感じた。
「でも、奴隷から立ち上がったところで、無駄な足掻きあがきに見えるけど」
「これまではね。でも、この結晶石が見つかったことで、転機が訪れたの」
真希乃が体験から、思いつく。
「空間移動の活用か」
「うん、それを使うことで、捕まった仲間を助けたり、敵指揮官を暗殺することで、組織を大きくして来たけど、限界があった」
グラスをグイっと、飲み干す麗美。
「続けるね。そもそも、自由の旗の当初の目的は、反抗組織としての人材集めにあったの」
「なんとなく、わかってきた」
「で、それがなかなか、人材が集まらない。ミラージュゲートの存在と利用方法は、知っていた。となれば?」
「表世界から人材集めをすればいいよね」
真希乃は、そう言いながら、ある言葉を思い出していた。
大志を連れて行った、あのフードの男。
(ちょっと、借りてくよ)
と言った。
「麗美さん」
「ん?」
「人材集めも、クリーナーの仕事ですか?」
「人材集めや情報収集は、収集人ギャザーの役目になるわね」
真希乃は、目の前の空間を見つめたまま、動かなかった。
「どうかした?」
麗美が声をかけるが反応がない。
「何か、わかったのね」
彩花が、真希乃の肩に手を添える。
「大志は」
彩花が真希乃を覗き込む。
「大志は、ギャザーの所にいる」
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