小突いて候。

貴林

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第六話

一寸法師

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水菜一行は、今のままでは、とても戦力にならないと考え、当初の予定通りに一寸法師を呼ぶことにした。
出てきた一寸法師は、わずか三センチほどしかなかったため、小槌こづちで青年まで大きくし、取り寄せた日本刀を持たせた。
凛々しくて、容姿端麗な一寸法師。
美優留の瞳がハート型に見える。
一寸法師は、法師と言われるだけあって、僧侶にすぎなかった。
が、針で鍛えた剣さばきは見事なものであった。
これを見た、かぐや姫も、私だけなぜ小さいのかと言うことになり、同じように大きくした。
こうなると、徒歩での旅は大変と。
飛行機を取り寄せることにした。
「ちょちょちょ、そないなことしたら、旅があっちゅう間に、終わってまうで」
お、キシム殿いいこと言う。
「うん、そんなのつまんない」
美優留ちゃんが、正しい。
「しっかりしてくれよ」
ごもっともで、玉子さん。
「あはは、僕よりバカだ」
あはは。ヤマタノくんも言うね。
「目先のことしか、考えないからそうなるのです」
よく、母に言われます。かぐやちゃん。
「行き当たりばったりだから、話が進まないんですよ」
うわ、結構きついな打出ちゃん。
一寸法師が、皆のやりとりを不思議に思っている。
「みなさん、いったい、どなたに話しかけているのです?」
ちょっとくんは、私を知らないのは、無理もないですね。
「ほら、何か、先程から天の声のようなものが聞こえるのですが、それにちょっとくんて、どなたですか?」
皆が一斉に一寸法師にむけて指を指す。
「え?僕のことですか?」
そうですよ、ちょっとくん。
「アホらしい、一寸やから、ちょっとやて、もちっと頭つかわんかい」
はあ・・・でしたら、皆さんも考えてくれます?
「そやな、わしなら・・・」
キシムは、羽先をくちばしに持っていくと考え始めた。
玉子さんが、身を乗り出す。
「なあなあ、元が三センチだから、サンセンチマンとかって、どう?」
美優留が、ふっと笑い。
「チョコみたいな名前の会社が作ってるヒーローキャラみたいだね」
かぐやちゃんが、あごをつまみながら
「無難に、法師様で良いのでは?」
水菜が、納得して
「うん、かぐやちゃんは、それ合うね」
打出ちゃんが、ない口を開く。
「法師だから帽子に置き換えて、キャップなんてどうかな?」
美優留が言う。
「それこそ、ヒーロー映画みたい」
ヤマタノくんが、九本足をあちこちで組みながら、ボソッと言う。
「普通に、一寸いっすんでいいと思う」

一瞬、場が静まり返る。

一寸いっすん・・・歯切れはいいな」
玉子さんがつぶやく。
水菜が、はっとする。
「戦いで、叫ぶ時とか、一寸!て、なんだか格好いいかも」
かぐやちゃんもつぶやく。
「一寸様。ん~やっぱ、法師様かな」
水菜が言う。
「キシムが、一寸殿とか言うの、聞いてみたい」
ぷっと、美優留が吹き出す。
「でもって、キシムが、ちょっと、一寸。一瞬、付き合わんか? とか、言ったりね」
玉子さんが、一寸法師の肩を叩く。
「おし、今日から一寸だ」
「あ、いや、元々、一寸なんですけど」
決まった決まった、と、皆が歩き始める。
キシムは、まだ、考えている。

あ、乗り物のこと?
無難に馬車にしました。普通に話さない馬を二頭、幌付きの四輪のやつ。
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