小突いて候。

貴林

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第五話

ヤマタノオロチ やり直し編

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水菜一行は、シチジラ打倒の旅を続けていた。
「一行とかいうと、なんや、杖持った爺さん真ん中に挟んで歩いとるみたいやな」
キシム殿、割り込まない。

駿美水菜はやみみずな奈良美優留ならみゆる臼馬玉子うすばたまこさん、キシム殿、打出小槌うちでのこづち打出うちでのちゃんに、かぐや姫も新たに加わって、なんとも不思議な一行であった。

キシム殿が、後ろを振り向き振り向き小声で言う。
「なあなあ、さっきから誰か、わしらの後、着いてきとるで」
水菜が、慌てて口元に人差し指を持っていくと、シッとした。
「ネタバレになるから、言っちゃダメ」
「あっ」
「バカだな、お前~」
玉子さんが、尻尾でキシム殿の顔をパタパタとする。
「はたくなて」
玉子さんの尻尾を手で払うキシム殿。
美優留が、タイミングを見て、口を開いた。
「そ、そういえばさ」
ん?と、皆が一斉に美優留を睨みつける。
「に、睨まれると怖いから」
ん?と、皆が美優留を見る。
「スサノオノミコトって、知ってる?」
※すさのおのみこと と、入力したら、素戔嗚尊と変換が出て、作者はびっくりしました。

水菜が答える。
「確か、アマテラスオオミカミの弟だったよね?bywiki」
美優留が、憧れの瞳で言う。
「そそ、あのヤマタノオロチを退治したっていう」
玉子さんが、それに応戦する。
「おっ、そんなのが味方に付いたら心強いな」
美優留が、本音をぶちまける。
「ねえ、水菜。スサノオノミコト、出してくれない?」
は?と、一同が、美優留を見る。
さらに、後ろから来ているヤマタノくんを見る一同。
ヤマタノくんは、しゃがみこみ膝を抱え、指先で小石を転がしている。

水菜が、口元に手を添えて囁く。
「ダメだよ。勝手にシナリオ変えたら、美優留」
「だって、スサノオノミコトの方が、これから断然いいと思わない?」
たしかに・・・皆同意見。
水菜が、ここは頑張る。
「いいえ、予定通りに行きます。打出ちゃん、出番だよ」
「はいな」
「打出小槌よ。ヤマタノオロチを今すぐに出して」
シャンシャンと小槌を振る水菜。
ボワンと煙が立つと
九本足の大蛇が、姿を現した。
「はっ?頭、一つなんだけど」
美優留が、ポカンとする。
「代わりに八つの股ってか」
玉子さんが、組めない足を組んだ。
前置きが長過ぎたのか、皆の驚きが半減していた。
「しゃあないな、ヤマタノくん、これから、宜しゅう頼んまっせ」
ポンとヤマタノくんのない肩を叩くキシム殿。
「わし、ちと、思ったんやけど」
ん?と、皆が揃って、キシムに視線を向ける。
「おお、そないに見られると、ほんま、はずかしわ」
はっと、我に帰るキシム。
「いやね、ヤマタノくんは、でええやんか」
うんうんと、皆がうなずく。
「したら、打出うちでちゃんも、打出うちでのちゃんのが、かわいないかな?と、思ったんやけど・・・」
キシムが、顔を赤くして照れている。
「おお、確かにウチデノちゃんのほうが、収まりがいいかも」
水菜が、手を合わせて喜ぶ。
「うん、テンポがいいよね」
美優留も、同感だった。
「まあ、これに関しては、今後も漢字やから、読んでもらうんは、読者さん任せになるんやけど」
こうして、打出ちやんは、打出うちでのちゃんと、呼ばれる運びとなった。

なんだかんだで、仲間があっという間に増えて、相手の力量も知らないまま、物語は進行するのであった。

「ちょ、ちょっと、待ってや」
どうしたの?と、視線をキシムに向ける一行。
キシムが、こちらを指差して言う。
「この第五話の最初のページのほうで、すでに うちでの て、仮名振っとるで」
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