僕とお前のヤバい関係〜入れてくれないなら、入れてやる

貴林

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第六話

茶番狂言

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礁に初めて握られてから、もう三年が経っていた。少し、大人になったと、思っている僕ら。

「おはよう、かい
肩をポンと叩かれて横に並ぶ礁。
「お、礁。おはよう」
「あ~、行くの面倒くさ」
「ん?」
「峡、学校行くの、イヤじゃない?」
「ん~、そうだな?」
改めて聞かれて、何か楽しみあったかな?と、思い返す。
すると、前を歩くかなめちゃんを見つける。ポニーテール姿で、友達と何やら楽しそうに会話をしている。
口元に手を当てて、クスクスと笑っている。その笑顔を見ただけで僕もなんだか嬉しくなった。
後ろ斜めからでも、その胸の膨らみがわかって、ドキドキしていた。
「僕は、学校行くの好きかな」
ふうん、と言いながら、僕の視線を辿って要に気づく礁は、口を尖らせている。
並んで歩く僕と礁。時々、触れる手がなんともくすぐったい。
不意に礁が俺の腕に腕を絡ませて来た。一瞬ドキッとしたが、そこはなんとか誤魔化す礁。大袈裟にドツくように体当たりをする。
「なあ、峡。好きなんだろ?要のこと」
「え?声が大きいよ」
周りを気にする僕。
一瞬、周囲の目が注がれる。そこに要の視線もあった。
さらに、ドツいてくる礁は、俺の顔を覗き込んでくる。
「好きだ。って言っちゃえばいいのに」
「言える訳ないだろ?そんなの」
「なんでさ?好きです。それだけだぜ?」
「無理無理無理無理」
今度は、礁は肩に腕を回してくる。
顔がめちゃくちゃ近い。
「あっそ、なら言わなくていいよ」
「なんで?」
「なんでって、峡が無理って言うからだろ?」
「ん?まあ、そうだけど」
「でもな、峡」
「なんだよ?」
「体は、正直なんだぞ」
言うと僕の、反応しかかっていたモノを、ギュッと握って遠ざかる礁。
思わず腰を引いて逃げる僕。
慌てて誤魔化そうと、大袈裟に振る舞う僕。
「あ、礁。てめえ、何してんだよ。気持ち悪いな」
実は、気持ちが良かった。されている自分を想い出してしまった。
それを、さらに誤魔化したくて僕は大袈裟に礁を追いかける。
「この野郎、待てって言ってんだ」
それを待っていたのか、合わせてくれたのかはわからないけど、わざとらしく逃げる礁。それをわざとらしく追う僕。こんな茶番が普通に楽しかった。
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