輝く草原を舞う葉の如く

貴林

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第二章 サザンソルト国

第五話 少女 タルとお爺さん

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お爺さんの家に着くと、お爺さんが外に出て待っていた。
「おお、タル。無事であったか」
お爺さんが少女に駆け寄ると、その少女のことを、タル と呼んだ。
お爺さんが少女を抱えて、ソファに寝かせた。
「いやあ、客人にとんでもないことをさせてしまった。本当にありがとう」
いえいえと、答えるサユミたち。
お爺さんが、温かいお茶を淹れてくれたので、皆でそれを飲んでいる。
ハヤネが喉まで出かかっていたことを言葉にする。
「あの、お爺さん?」
「ん?何かね?」
「なぜ、わかったんですか?私たちが・・・」
少女の側でソファに腰掛けるお爺さん。
「イーストグラスランドから、来たことかね」
「ええ、そうです」
「何、見るものが見ればわかることじゃ。皆が着ている服の紋章じゃよ」
「紋章?」
「五角の星は、五大元素を表しておるからの」
不思議がるナルセ。
「でも、お爺さん。五角星の意味を知るものは他国にはいないはずですが」
「遠回しに言うつもりもないでの。元素術を使う、知り合いがおるのよ」
「知り合いですか?いったいそれは・・・」
「ハルバラと言えば、わかるかの?」
サユミがドキリとして、お爺さんを見つめた。
サユミを見るお爺さん。
「五角星の中でも、紋章の中心に薔薇の柄が施されているのは、ある地位を表しておるでの」
皆の視線がサユミに向けられる。
サユミの服の胸の紋章だけに薔薇が施されていた。
「そう、わしの友人で恩人というのは、イーストグラスランドの国王 ハルバラ・レントラス そう、サユミ殿のお父上じゃよ」
ここまで、内情を知るこのお爺さんは一体何者?
皆は同じ疑問を抱いていた。
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