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第二章 サザンソルト国
第三話 小屋の中
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お爺さんに連れられて、恐る恐る家の中に案内されたサユミたち。
一つ部屋の大きなスペースに、台所、ベッド、食卓に六脚の椅子、暖炉の前の長椅子が二つ、お爺さん用にロッキングチェアが置かれている。
お爺さんは、暖炉からやかんを取ると、ティーポットにお湯を注ぐ。
茶のいい香りが立ち込める。
「まあ、座って楽にしなさい」
五つのカップに茶を注ぐお爺さん。
テーブルの周りに五人が腰をかける。
頂きますと、それぞれがカップを口にする。
甘い花の香りが鼻に残り、なんとも言えない後味を残した。
タクトが感心する。
「うんま、こんなの初めてだ」
お爺さんが目を細める。
「それは、何よりじゃ」
皆も、美味しかったのか、一気に飲み干してしまった。
サユミの横に前脚に顔を埋める犬がいる。そんな犬の頭を撫でるサユミ。
「君、お名前は?」
お爺さんが答える。
「ルーサーじゃよ」
サユミは、お爺さんを見るとルーサーに視線を戻した。
「そう、君ルーサーって言うんだ。よろしくね、ルーサー」
クゥンと声を出すルーサー。
お爺さんが、立ち上がり窓の外を伺っている。
「しかし、遅いのぉ」
サユミが立ち上がりお爺さんの横に立つ。
「どうしたんですか?どなたかいらっしゃるんですか?」
「うむ、孫が遊びに来とるんじゃが、どうも帰りが遅くての。近くの川原に行っとるはずだが。警護の者たちを付けておるから平気だとは思うがの」
「私、見てきましょうか?」
「おお、そうしてもらえるかい?」
「はい」
言うとドアから飛び出していった。
その後を追うように出て行くマリカのタクト。
心配そうなお爺さんを見てハヤネが
「この辺りは、危険があるんですか?」
「うむ、そろそろ、ウッドウルフが徘徊を始める頃なんじゃ」
外は陽が傾き始めている。
何やら、不穏を感じてハヤネとナルセも飛び出して行った。
一つ部屋の大きなスペースに、台所、ベッド、食卓に六脚の椅子、暖炉の前の長椅子が二つ、お爺さん用にロッキングチェアが置かれている。
お爺さんは、暖炉からやかんを取ると、ティーポットにお湯を注ぐ。
茶のいい香りが立ち込める。
「まあ、座って楽にしなさい」
五つのカップに茶を注ぐお爺さん。
テーブルの周りに五人が腰をかける。
頂きますと、それぞれがカップを口にする。
甘い花の香りが鼻に残り、なんとも言えない後味を残した。
タクトが感心する。
「うんま、こんなの初めてだ」
お爺さんが目を細める。
「それは、何よりじゃ」
皆も、美味しかったのか、一気に飲み干してしまった。
サユミの横に前脚に顔を埋める犬がいる。そんな犬の頭を撫でるサユミ。
「君、お名前は?」
お爺さんが答える。
「ルーサーじゃよ」
サユミは、お爺さんを見るとルーサーに視線を戻した。
「そう、君ルーサーって言うんだ。よろしくね、ルーサー」
クゥンと声を出すルーサー。
お爺さんが、立ち上がり窓の外を伺っている。
「しかし、遅いのぉ」
サユミが立ち上がりお爺さんの横に立つ。
「どうしたんですか?どなたかいらっしゃるんですか?」
「うむ、孫が遊びに来とるんじゃが、どうも帰りが遅くての。近くの川原に行っとるはずだが。警護の者たちを付けておるから平気だとは思うがの」
「私、見てきましょうか?」
「おお、そうしてもらえるかい?」
「はい」
言うとドアから飛び出していった。
その後を追うように出て行くマリカのタクト。
心配そうなお爺さんを見てハヤネが
「この辺りは、危険があるんですか?」
「うむ、そろそろ、ウッドウルフが徘徊を始める頃なんじゃ」
外は陽が傾き始めている。
何やら、不穏を感じてハヤネとナルセも飛び出して行った。
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