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五章 闇より来たるもの(いやー さがしましたよ。)
第29話
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「なんじゃ、こりゃ」
中に入った俺は思わず声をあげた。
いや、目の前にあるのは下りの階段である。
だが、その大きさが尋常ではない。
幅は馬車十台分はゆうにありそうだ。サウニアルの王宮の階段だってこんなにでかくはない。
階段の長さは、判別がつかなかった。
地下へ下る階段の先は暗闇に溶け見えない。ただ、階下から吹く風が広大な空間の存在を予感させた。
シルベルは暗闇におびえる様子も見せず、階段を下っていった。俺も続く。
しばらく下ると、左右の壁がなくなった。やはり、地下には広大な空間が広がっていた。俺はどきりとした。空間の巨大さに驚いたのだ。暗さゆえに正確なところはわからない。だが、尋常ではない大きさだというのはわかった。ひょっとしたら、地上の町よりも広いんじゃないか。
階段を下りながら、俺はもう一つのことに気づいた。
階段は特殊な建築技術で造られていた。それは、魔王がいるような危険度の高い地下迷宮でも使われる技術だ。階段には魔法がかけられていたのだ。建築物の強度を飛躍的に上昇させる魔法だ。
実はたいていの地下迷宮はこの技術を使って建てられている。
世界を滅ぼす力を持った魔王が自分の居城で暴れても、その迷宮自体が崩落を起こさないのは、このためだ。
階段の数が百を超えた辺りで、俺は数えるのをやめた。いまだに床は見えない。どんだけ深いんだ。そういや、地上の扉で出くわした男は心なしか疲れた表情だったが、この階段にげんなりしてたんじゃないのか。
ようやくゴールが見えた。
俺を出迎えたのは、どこまでも広がる床だった。辺りは暗い。ところどころに最低限の灯りがついているだけのようだ。
だが、よく見ると床はただの床ではなかった。
地下空間に広がった床一面に、何か幾何学的な記号が描かれている。
魔法陣だ。
しかも、これほど巨大なものはそうそうない。描かれた記号めいたものに俺は見覚えがあった。かつて、派遣業務で行った先でよく目にしたものだ。
「本気かよ」
俺は思わず声をもらした。
いや、間違いない。魔法陣の大きさといい、描かれた術式の複雑さといい、これは大いなる存在、いわゆる魔王を呼び出すための魔法陣だった。
三大国の一つサウニアルの町中で、魔王を呼び出そうとするものがいるとは、俺は驚きを隠せなかった。
驚きに一瞬、我を忘れた俺だったが、すぐにここへ来た本来の目的を思い出した。
暗がりの遠く向こうに人影が見えた。
たくさんの人影だ。
十や二十ではきかない、百は下らない数の人影が向こう側に立っている。
影の大きさからすると、あの中にフィーネがいることはなさそうである。
多数の影はみじろぎもせずに暗闇の中、突っ立っている。
不審に思った俺は、そっと人影に近づいた。
人影は人ではなかった。
それは異形の怪物たちだった。
俺は思わず身構えたが、怪物たちが俺を襲ってくることはなかった。最初は、暗闇のせいで俺に気づいていないのかと思ったが、そうではなかった。
怪物たちは全て眠りについていた。様子からすると単なるお寝んねというわけじゃない。魔法の力で眠らされているようだ。シルベルは大胆にも鼻を近づけ、フンフンと臭っている。あ、小便までしやがった。
初めて見るモンスターだった。
見た目は人型のモンスターだ。大きさは一般の人間の二倍ほど。顔は牙が口元からのぞいている以外は人間そっくりだ。端正な顔立ちだ。肌は青白く左右のこめかみからは牛のような角が生えている。だが、何故だ。このモンスターを見るのは、初めてのはずだ。それにも関わらず俺はこのモンスターに見覚えがある。
別に人間に似てるから、既視感を感じたわけじゃない。人型の怪物、人間に似ている怪物というのは別に珍しい存在というわけでもない。俺も実際に何度か見たことはあるしな。ただ、その時は特に今、感じているような既視感は感じなかったんだが。
そして、その既視感とは別に、俺はこの怪物たちから奇妙な違和感を感じていた。これも他の人型モンスターを見た時には感じなかった感覚である。
他のモンスターも何体か見て回った。そして、俺は違和感の正体に気づいた。
こいつらは全員、同じ顔をしていた。いや顔だけではない、身長も何もかもが同じだった。つまり、こいつらには個体差がないのだ。
人間だって一人一人顔や姿が違うように、同じ種族のモンスターであっても、微妙に目鼻立ちや背格好は違ってくるものなのだ。そういった違いが、この俺の前に居並ぶモンスターどもにはなかったのだ。まるで一体をもとに延々と複製を取り続けたかのようだった。
「何度見ても、壮観だな」
いきなり声をかけられ、俺は声をあげそうになった。
「いよいよ、起動試験だな。楽しみじゃないか」
暗がりから聞こえた声は、再度俺に話しかけた。
どうやら仲間と勘違いしているらしい。
返事をしない俺をさすがに不審に思ったのか、男は近づいてきた。
こりゃいつもの手だな。
俺は取りあえず殴ってみた。
もう遠慮はいらんだろ。仮にフィーネがここにいなくても、こいつらが何か良からぬことを企んでいるのは明白だ。
鼻っ柱に拳を見舞われ、男はうずくまった。何ほんの軽い一撃だ。だが、男は痛みにしゃべることもできない。他にまだ人がいるかもしれないし、声をあげられては面倒だ。俺は男を起こし、喉をつかんだ。軽く喉を絞める。苦しそうに息をする男に俺はいった。
「苦しいか?今から手を離してやるが、大声は出すなよ。出したら殺す」
しかし、我ながら勇者とは思えん一言だ。
「な、なにものだ。貴様」
男は息を切らしながら訊いてきた。
そりゃ俺の台詞でもあるんだがね。ホント何やってるんだ、こいつら。
「子どもを捜してるんだ。女のガキだ。高そうな首飾りをしている」
俺の質問に男の目が泳いだ。お、当たりかよ。シルベルの野郎、本当に匂いでここを嗅ぎつけたのか、たまには役立つじゃねえか。
「いるんだな。どこだ?」
俺の声に殺気がこもった。今度は本気だ。もしフィーネに何かあったら・・・・・・。
「いる、いる。無事だ。何もしておらん。ただ我々には、あの首飾りが・・・・・・」
なるほど、珍しい宝石だとは思ってたが、単なる宝石じゃなかったってわけか。
男は力なく斜め前方を指差した。
あの人型モンスターの向こうだ。
俺は男を眠らせ、指差されたほうへ歩いていった。規則正しく整列した怪物たちの間をぬうようにして、怪物たちの群れを抜けた。
いた。フィーネだ。
フィーネは床にそのまま寝かされていた。怪我はないようだ。シルベルは駆けより、フィーネの顔をなめている。フィーネに起きる気配はない。どうやら眠り薬、いや眠りの魔法だな。起こして騒がれるのも面倒だ。俺は呪文の解除はせず、フィーネをおぶった。
後はここから立ち去るだけだ。保護部がいつ来ると知れないんだ。余裕はない。
魔王召喚の魔法陣とあの人型のモンスターたちが気になったが、これはここへ向かっている保護部に任せるとしよう。召喚前なら相手はあの白服の男たちだけだ。もしあの眠れる人型モンスターが起きて戦闘に加わったとしても、保護部の連中なら何とかできるはずである。保護部の戦術は魔王にこそ効かないが、他のモンスターや人間相手であれば、充分に威力を発揮するのだ。
来た道を引き返している時だった。辺りに怒号が響き渡った。
「侵入者だ!誰かいるぞ!」
まだ他に人がいたか、どうやら、俺が先ほど倒した男に別の者が気づいたようだ。
辺りが突如として、明るくなる。篝火の呪文だ。
俺の前に男が二人あらわれた。これまでの男たちと同様、白装束に身を包んでいる。
誰何の声もなく男たちは攻撃魔法を放った。
電閃の呪文だ。
畜生、いきなり。しかも、こっちはフィーネを抱えている。おまけに今、俺は無手だった。
なーんて泣き言をいう俺ではない。飛来する呪文に対し、俺は障壁の呪文を唱え相殺する。
相手が驚く時間も与えず一人に蹴りを放つ。蹴りは衝撃波となって男を襲った。男は吹っ飛び、壁に激突した。
続いて二撃目をもう一人の男に放ったが、こいつはそこそこ使うみたいだ、攻撃はかわされた。
「その服、てめえら、サウニアルの魔術学院の奴らだな。こんなとこで何してやがる」
俺は叫んだ。
「貴様は派遣協会のものか。いや誰であろうとここを見たからには、生かして返さん」
白服はいった。
「面白え。行きがけの駄賃だ。おまえらの魔王召喚、阻止してやる」
俺は思わずいった。時間がないのは承知していたが、大丈夫だろ。こんな奴一分あれば充分だ。
「魔王の召喚を阻止するだと?」
白服は笑った。
「それはできないのだよ、何故なら・・・・・・」
さもおかしそうな顔をして白服は俺の後ろを指差した。
「何故なら、魔王はすでに召喚されているのだからな!」
俺の背後、例の眠れる人型モンスター群の後方に一際巨大な塊があった。先ほどは暗くて気づかなかったのだ。
それは人の形をしていた。頭のこめかみからは二本の角が生えている。一群の眠れるモンスターに似ていた。ただし、そいつらよりちょっとばかりでかい。何ちょっとした砦くらいの大きさ程度だ。
大いなる悪の存在、魔王だった。
中に入った俺は思わず声をあげた。
いや、目の前にあるのは下りの階段である。
だが、その大きさが尋常ではない。
幅は馬車十台分はゆうにありそうだ。サウニアルの王宮の階段だってこんなにでかくはない。
階段の長さは、判別がつかなかった。
地下へ下る階段の先は暗闇に溶け見えない。ただ、階下から吹く風が広大な空間の存在を予感させた。
シルベルは暗闇におびえる様子も見せず、階段を下っていった。俺も続く。
しばらく下ると、左右の壁がなくなった。やはり、地下には広大な空間が広がっていた。俺はどきりとした。空間の巨大さに驚いたのだ。暗さゆえに正確なところはわからない。だが、尋常ではない大きさだというのはわかった。ひょっとしたら、地上の町よりも広いんじゃないか。
階段を下りながら、俺はもう一つのことに気づいた。
階段は特殊な建築技術で造られていた。それは、魔王がいるような危険度の高い地下迷宮でも使われる技術だ。階段には魔法がかけられていたのだ。建築物の強度を飛躍的に上昇させる魔法だ。
実はたいていの地下迷宮はこの技術を使って建てられている。
世界を滅ぼす力を持った魔王が自分の居城で暴れても、その迷宮自体が崩落を起こさないのは、このためだ。
階段の数が百を超えた辺りで、俺は数えるのをやめた。いまだに床は見えない。どんだけ深いんだ。そういや、地上の扉で出くわした男は心なしか疲れた表情だったが、この階段にげんなりしてたんじゃないのか。
ようやくゴールが見えた。
俺を出迎えたのは、どこまでも広がる床だった。辺りは暗い。ところどころに最低限の灯りがついているだけのようだ。
だが、よく見ると床はただの床ではなかった。
地下空間に広がった床一面に、何か幾何学的な記号が描かれている。
魔法陣だ。
しかも、これほど巨大なものはそうそうない。描かれた記号めいたものに俺は見覚えがあった。かつて、派遣業務で行った先でよく目にしたものだ。
「本気かよ」
俺は思わず声をもらした。
いや、間違いない。魔法陣の大きさといい、描かれた術式の複雑さといい、これは大いなる存在、いわゆる魔王を呼び出すための魔法陣だった。
三大国の一つサウニアルの町中で、魔王を呼び出そうとするものがいるとは、俺は驚きを隠せなかった。
驚きに一瞬、我を忘れた俺だったが、すぐにここへ来た本来の目的を思い出した。
暗がりの遠く向こうに人影が見えた。
たくさんの人影だ。
十や二十ではきかない、百は下らない数の人影が向こう側に立っている。
影の大きさからすると、あの中にフィーネがいることはなさそうである。
多数の影はみじろぎもせずに暗闇の中、突っ立っている。
不審に思った俺は、そっと人影に近づいた。
人影は人ではなかった。
それは異形の怪物たちだった。
俺は思わず身構えたが、怪物たちが俺を襲ってくることはなかった。最初は、暗闇のせいで俺に気づいていないのかと思ったが、そうではなかった。
怪物たちは全て眠りについていた。様子からすると単なるお寝んねというわけじゃない。魔法の力で眠らされているようだ。シルベルは大胆にも鼻を近づけ、フンフンと臭っている。あ、小便までしやがった。
初めて見るモンスターだった。
見た目は人型のモンスターだ。大きさは一般の人間の二倍ほど。顔は牙が口元からのぞいている以外は人間そっくりだ。端正な顔立ちだ。肌は青白く左右のこめかみからは牛のような角が生えている。だが、何故だ。このモンスターを見るのは、初めてのはずだ。それにも関わらず俺はこのモンスターに見覚えがある。
別に人間に似てるから、既視感を感じたわけじゃない。人型の怪物、人間に似ている怪物というのは別に珍しい存在というわけでもない。俺も実際に何度か見たことはあるしな。ただ、その時は特に今、感じているような既視感は感じなかったんだが。
そして、その既視感とは別に、俺はこの怪物たちから奇妙な違和感を感じていた。これも他の人型モンスターを見た時には感じなかった感覚である。
他のモンスターも何体か見て回った。そして、俺は違和感の正体に気づいた。
こいつらは全員、同じ顔をしていた。いや顔だけではない、身長も何もかもが同じだった。つまり、こいつらには個体差がないのだ。
人間だって一人一人顔や姿が違うように、同じ種族のモンスターであっても、微妙に目鼻立ちや背格好は違ってくるものなのだ。そういった違いが、この俺の前に居並ぶモンスターどもにはなかったのだ。まるで一体をもとに延々と複製を取り続けたかのようだった。
「何度見ても、壮観だな」
いきなり声をかけられ、俺は声をあげそうになった。
「いよいよ、起動試験だな。楽しみじゃないか」
暗がりから聞こえた声は、再度俺に話しかけた。
どうやら仲間と勘違いしているらしい。
返事をしない俺をさすがに不審に思ったのか、男は近づいてきた。
こりゃいつもの手だな。
俺は取りあえず殴ってみた。
もう遠慮はいらんだろ。仮にフィーネがここにいなくても、こいつらが何か良からぬことを企んでいるのは明白だ。
鼻っ柱に拳を見舞われ、男はうずくまった。何ほんの軽い一撃だ。だが、男は痛みにしゃべることもできない。他にまだ人がいるかもしれないし、声をあげられては面倒だ。俺は男を起こし、喉をつかんだ。軽く喉を絞める。苦しそうに息をする男に俺はいった。
「苦しいか?今から手を離してやるが、大声は出すなよ。出したら殺す」
しかし、我ながら勇者とは思えん一言だ。
「な、なにものだ。貴様」
男は息を切らしながら訊いてきた。
そりゃ俺の台詞でもあるんだがね。ホント何やってるんだ、こいつら。
「子どもを捜してるんだ。女のガキだ。高そうな首飾りをしている」
俺の質問に男の目が泳いだ。お、当たりかよ。シルベルの野郎、本当に匂いでここを嗅ぎつけたのか、たまには役立つじゃねえか。
「いるんだな。どこだ?」
俺の声に殺気がこもった。今度は本気だ。もしフィーネに何かあったら・・・・・・。
「いる、いる。無事だ。何もしておらん。ただ我々には、あの首飾りが・・・・・・」
なるほど、珍しい宝石だとは思ってたが、単なる宝石じゃなかったってわけか。
男は力なく斜め前方を指差した。
あの人型モンスターの向こうだ。
俺は男を眠らせ、指差されたほうへ歩いていった。規則正しく整列した怪物たちの間をぬうようにして、怪物たちの群れを抜けた。
いた。フィーネだ。
フィーネは床にそのまま寝かされていた。怪我はないようだ。シルベルは駆けより、フィーネの顔をなめている。フィーネに起きる気配はない。どうやら眠り薬、いや眠りの魔法だな。起こして騒がれるのも面倒だ。俺は呪文の解除はせず、フィーネをおぶった。
後はここから立ち去るだけだ。保護部がいつ来ると知れないんだ。余裕はない。
魔王召喚の魔法陣とあの人型のモンスターたちが気になったが、これはここへ向かっている保護部に任せるとしよう。召喚前なら相手はあの白服の男たちだけだ。もしあの眠れる人型モンスターが起きて戦闘に加わったとしても、保護部の連中なら何とかできるはずである。保護部の戦術は魔王にこそ効かないが、他のモンスターや人間相手であれば、充分に威力を発揮するのだ。
来た道を引き返している時だった。辺りに怒号が響き渡った。
「侵入者だ!誰かいるぞ!」
まだ他に人がいたか、どうやら、俺が先ほど倒した男に別の者が気づいたようだ。
辺りが突如として、明るくなる。篝火の呪文だ。
俺の前に男が二人あらわれた。これまでの男たちと同様、白装束に身を包んでいる。
誰何の声もなく男たちは攻撃魔法を放った。
電閃の呪文だ。
畜生、いきなり。しかも、こっちはフィーネを抱えている。おまけに今、俺は無手だった。
なーんて泣き言をいう俺ではない。飛来する呪文に対し、俺は障壁の呪文を唱え相殺する。
相手が驚く時間も与えず一人に蹴りを放つ。蹴りは衝撃波となって男を襲った。男は吹っ飛び、壁に激突した。
続いて二撃目をもう一人の男に放ったが、こいつはそこそこ使うみたいだ、攻撃はかわされた。
「その服、てめえら、サウニアルの魔術学院の奴らだな。こんなとこで何してやがる」
俺は叫んだ。
「貴様は派遣協会のものか。いや誰であろうとここを見たからには、生かして返さん」
白服はいった。
「面白え。行きがけの駄賃だ。おまえらの魔王召喚、阻止してやる」
俺は思わずいった。時間がないのは承知していたが、大丈夫だろ。こんな奴一分あれば充分だ。
「魔王の召喚を阻止するだと?」
白服は笑った。
「それはできないのだよ、何故なら・・・・・・」
さもおかしそうな顔をして白服は俺の後ろを指差した。
「何故なら、魔王はすでに召喚されているのだからな!」
俺の背後、例の眠れる人型モンスター群の後方に一際巨大な塊があった。先ほどは暗くて気づかなかったのだ。
それは人の形をしていた。頭のこめかみからは二本の角が生えている。一群の眠れるモンスターに似ていた。ただし、そいつらよりちょっとばかりでかい。何ちょっとした砦くらいの大きさ程度だ。
大いなる悪の存在、魔王だった。
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