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月白珠誕生編(過去編)
第三十三章 時は流れて
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ガォォォン……
耳を劈くような騒音が沈黙を破った。
どうやら砲丸が城の何処どこかに大穴を開けたようだ。城内に乱入して来る大勢の者達の声がする。
セヴィニー家の軍隊がラウファー家を攻めて来たようだ。今リアム達が居るこの部屋にも大勢の者達による足音が近付いてくる。
「……」
リアムは静かに剣を納め、部屋中を覆っていた結界を瞬時に解いた。そして無言のままクレアを守るように抱き抱えて開け放った窓から飛び去った。
「逃げたぞ!! 追え!! 逃がすな!!」
自分を追う声が遠ざかる。アルバートは座り込んだままで、自分を追う気は無いようだ。
城の外はラウファー家の軍隊とセヴィニー家の軍隊による攻防が繰り返されていた。ジュード王はこれを機にラウファー家を殲滅させるつもりなのだろうか。ラウファー家とセヴィニー家は実力伯仲。文字通りの潰し合いになる。ディーワン家を主とした軍隊は出先にいるラウファー家とセヴィニー家の軍勢から総攻撃を受け、そのラウファー家とセヴィニー家も居城で互いに争っている。数刻後、セヴィニー家の居城も砲弾が撃ち込まれ、こちらでも攻防戦が始まった。敵味方綯い交ぜ状態となり、一帯はあっという間に地獄絵図と化した。
そんな中、リアムは雨のように降り注ぐ矢の中を掻い潜るように素早く飛んでゆく。彼の身体に何本もの矢が突き刺さったが、不思議と痛みは感じなかった。それよりも、一刻も早く向かいたい場所があった。
今はただ、それしか頭になかった。
傷だらけのリアムは瀕死状態のクレアを抱きかかえ、森の中にある大きな泉の前に辿り着く。リアムはそこで全身に刺さった矢を全て引き抜いた。彼の月白色の上着は雨に濡れたかのように真っ赤に染め抜かれている。奇跡的だが、クレアの身体には一本も矢が刺さっていなかった。
願いが叶うという言い伝えのある「アトロポス」の泉。
――もしこれから先何かがあってどうしようもなくなった時はアトロポスの泉に向かってね。勿論クレア様と一緒に。詳細はまだ話せないけど、泉に行けば分かるわ――
今は亡きアデルの声が木霊のように聞こえてくる。リアムは彼女が遺していった“指示”に従うこと以外に何も考えなかった。
――自分は何も出来なかった。
大切な者すら守れなかった。
それだけではなく、消えない傷まで付けてしまった。
守りたかったのに守れなかった……
魔術? 剣術?
今まで研鑽を積んできたことに、一体何の価値があるのだ? 無力ではないか……
幸せを掴もうと頑張って来たのに、全て砂の城のように脆く崩れ去ってゆく。
こんな想いをする為に私は生きてきた訳ではない!
激しい想いが身体の奥底から絶えず突き上げて来て、リアムの胸中は張り裂けそうだった。
リアムは膝をついた。
腕の中のクレアに温もりを分け与えるかのようにそっと抱き締める。
姫は血を多量に失った青白い顔で薄っすらと目を開け、右手をリアムの頬にあて、苦しみを癒やそうとした。
案じる顔をして見上げてくるクレアの顔を見て、リアムは初めて自分が泣いているのを知った。
自分へ向けられた、ただひたすらな濁りの無い愛情が溢れている瞳。
それがぼやけて見える。
――それにしても、人間の姿をしていれば龍族だろうが人間だろうが対して変わりがないのに、何故人は龍を恐れねばならないのでしょう? 両親や大臣達はいつも龍は凶暴だのと話しているけど、わたくしには理解出来ませんわ――
――わたくしを『一人のわたくし』として見て下さるのは、リアム様が初めてですわ。だからわたくし、それがとても嬉しくて――
――わたくしだけの龍でいて欲しいです、リアム様……――
紺碧の瞳の光はもう弱い。
リアムはクレアの手に自分の左手をあてた。
脈がか細くなっている。
残された時間は後僅かだ。
「……クレア……」
「……」
クレアは何か言いたげに唇を震わせたが、声にならない。そのまま再びゆっくりと目を閉じた。
二人を静寂な時間が包み込む。
後ろから自分を追う者達の声が聞こえて来ているだが、不思議と音が何も聴こえない。
時間が止まっているかのように感じた。
「……もう何も話さなくて良い、クレア……」
リアムの周りには血溜まりが出来ている。リアムとクレア、どちらの血なのか皆目検討がつかない。
彼の腕に抱かれたクレアは、眠っているかのように安らかな顔をしている。クレアの頬に愛おしそうに顔を寄せ、静かに語りかけた。
「……私は貴女を愛している。
愛しているからこそ、今生では一緒にはなれない。
お互いが自分らしく生きていけないから。
今の世界では貴女が貴女らしく生きていけない……貴女は幸せになれない……。我々の運命はそう定められていたのかもしれない……。
人間と龍族の共存。頑張ってみたが私の力が及ばず、貴女を深く傷つけてしまう結果となってしまった……私の命ももうすぐ終わる……。
いつか、いつかきっと、人間と龍族が一緒になれる世が来る。
その時が来たら……再び巡り会えたら、今度こそ一緒に生きたい。貴女と……共に……」
リアムの流した一粒の涙がクレアの胸元に落ちた。クレアの血とリアムの涙が合わさった瞬間、眩い光が四方に溢れ出し、凄まじい轟音が鳴り響いた。
ドォォォン……
激しい衝撃でリアムとクレアの身体は泉の中に落ちた。何本かの大木がなし崩しに倒れる。リアムを追ってきた者達、森の周囲に居た人間や龍達は身を屈めてこの衝撃に耐えた。大木の下敷きとなり、脱命したものも多数続出した。
光が消えた瞬間、泉の雫に覆われた艷やかな宝珠が一粒、草の上に残された。白・青・橙・黒に輝く、多彩な輝きを見せる石。人間の血と龍の涙から生まれた結晶。
後日、その宝珠をある龍族の者が偶然拾うこととなる。ラウファー家の血族の若者だ。この者は後に「ガルシア」の姓を名乗る血筋の者である。彼に聞けば「この宝玉に呼ばれたような気がした」とのことだった。
その月色に輝く生まれたての石は「月白珠」と呼ばれ、この龍族の直系に代々伝わる宝珠となる。不思議と直系の子孫が生まれると一人あたり一粒生まれるようになった。
泉の中に沈んだリアムとクレアの遺体は二度と上がって来ることはなかった。後日、ラウファー家とディーワン家の者が必死に捜索したが、彼らの骨一つ見付けることは出来なかったそうだ。
この戦争でリアムとアデルは死亡、アルバートはアデルの遺体と共に行方不明となった。
多数の犠牲者を出した人間と龍族との戦争はこれを機に終結し、それ以降二度と起こることはなかった。
リアムは知らなかったが、跋扈していた「内通者」の噂を信じない者達は少数だが実は存在した。彼等は噂の陰で犠牲になった二人の恋の話しを知っていた。真実を知るごく一部の者達は、この悲劇の二人の魂を慰める為、終戦後アトロポスの泉の前に石碑を建てた。伝え聞いた一連の恋物語を記した手記を誰かが作り、石碑の下に封印した。彼等の努力は実り、今や殆どの者がでっち上げられた「嘘」ではなく、「真実」の方を信じている。
ラウファー家とセヴィニー家はこの戦争で後継者を亡くし、王族としての力を失う。それ以降龍王族の勢力は静かに衰退への道を進んで行った。エウロス国は次第に王族支配社会から貴族支配社会へと変わってゆく。
クレア姫の一族・ディーワン家はクレア姫の死後、戦争で勢力をもがれ、王族としての勢力を失い歴史の表舞台からひっそりと姿を消した。その後オグマ国内での紛争が絶えず起こり、平和の世が訪れるまで何十年もかかることになる。
――それから四百年の時を経て、現在に至る。
耳を劈くような騒音が沈黙を破った。
どうやら砲丸が城の何処どこかに大穴を開けたようだ。城内に乱入して来る大勢の者達の声がする。
セヴィニー家の軍隊がラウファー家を攻めて来たようだ。今リアム達が居るこの部屋にも大勢の者達による足音が近付いてくる。
「……」
リアムは静かに剣を納め、部屋中を覆っていた結界を瞬時に解いた。そして無言のままクレアを守るように抱き抱えて開け放った窓から飛び去った。
「逃げたぞ!! 追え!! 逃がすな!!」
自分を追う声が遠ざかる。アルバートは座り込んだままで、自分を追う気は無いようだ。
城の外はラウファー家の軍隊とセヴィニー家の軍隊による攻防が繰り返されていた。ジュード王はこれを機にラウファー家を殲滅させるつもりなのだろうか。ラウファー家とセヴィニー家は実力伯仲。文字通りの潰し合いになる。ディーワン家を主とした軍隊は出先にいるラウファー家とセヴィニー家の軍勢から総攻撃を受け、そのラウファー家とセヴィニー家も居城で互いに争っている。数刻後、セヴィニー家の居城も砲弾が撃ち込まれ、こちらでも攻防戦が始まった。敵味方綯い交ぜ状態となり、一帯はあっという間に地獄絵図と化した。
そんな中、リアムは雨のように降り注ぐ矢の中を掻い潜るように素早く飛んでゆく。彼の身体に何本もの矢が突き刺さったが、不思議と痛みは感じなかった。それよりも、一刻も早く向かいたい場所があった。
今はただ、それしか頭になかった。
傷だらけのリアムは瀕死状態のクレアを抱きかかえ、森の中にある大きな泉の前に辿り着く。リアムはそこで全身に刺さった矢を全て引き抜いた。彼の月白色の上着は雨に濡れたかのように真っ赤に染め抜かれている。奇跡的だが、クレアの身体には一本も矢が刺さっていなかった。
願いが叶うという言い伝えのある「アトロポス」の泉。
――もしこれから先何かがあってどうしようもなくなった時はアトロポスの泉に向かってね。勿論クレア様と一緒に。詳細はまだ話せないけど、泉に行けば分かるわ――
今は亡きアデルの声が木霊のように聞こえてくる。リアムは彼女が遺していった“指示”に従うこと以外に何も考えなかった。
――自分は何も出来なかった。
大切な者すら守れなかった。
それだけではなく、消えない傷まで付けてしまった。
守りたかったのに守れなかった……
魔術? 剣術?
今まで研鑽を積んできたことに、一体何の価値があるのだ? 無力ではないか……
幸せを掴もうと頑張って来たのに、全て砂の城のように脆く崩れ去ってゆく。
こんな想いをする為に私は生きてきた訳ではない!
激しい想いが身体の奥底から絶えず突き上げて来て、リアムの胸中は張り裂けそうだった。
リアムは膝をついた。
腕の中のクレアに温もりを分け与えるかのようにそっと抱き締める。
姫は血を多量に失った青白い顔で薄っすらと目を開け、右手をリアムの頬にあて、苦しみを癒やそうとした。
案じる顔をして見上げてくるクレアの顔を見て、リアムは初めて自分が泣いているのを知った。
自分へ向けられた、ただひたすらな濁りの無い愛情が溢れている瞳。
それがぼやけて見える。
――それにしても、人間の姿をしていれば龍族だろうが人間だろうが対して変わりがないのに、何故人は龍を恐れねばならないのでしょう? 両親や大臣達はいつも龍は凶暴だのと話しているけど、わたくしには理解出来ませんわ――
――わたくしを『一人のわたくし』として見て下さるのは、リアム様が初めてですわ。だからわたくし、それがとても嬉しくて――
――わたくしだけの龍でいて欲しいです、リアム様……――
紺碧の瞳の光はもう弱い。
リアムはクレアの手に自分の左手をあてた。
脈がか細くなっている。
残された時間は後僅かだ。
「……クレア……」
「……」
クレアは何か言いたげに唇を震わせたが、声にならない。そのまま再びゆっくりと目を閉じた。
二人を静寂な時間が包み込む。
後ろから自分を追う者達の声が聞こえて来ているだが、不思議と音が何も聴こえない。
時間が止まっているかのように感じた。
「……もう何も話さなくて良い、クレア……」
リアムの周りには血溜まりが出来ている。リアムとクレア、どちらの血なのか皆目検討がつかない。
彼の腕に抱かれたクレアは、眠っているかのように安らかな顔をしている。クレアの頬に愛おしそうに顔を寄せ、静かに語りかけた。
「……私は貴女を愛している。
愛しているからこそ、今生では一緒にはなれない。
お互いが自分らしく生きていけないから。
今の世界では貴女が貴女らしく生きていけない……貴女は幸せになれない……。我々の運命はそう定められていたのかもしれない……。
人間と龍族の共存。頑張ってみたが私の力が及ばず、貴女を深く傷つけてしまう結果となってしまった……私の命ももうすぐ終わる……。
いつか、いつかきっと、人間と龍族が一緒になれる世が来る。
その時が来たら……再び巡り会えたら、今度こそ一緒に生きたい。貴女と……共に……」
リアムの流した一粒の涙がクレアの胸元に落ちた。クレアの血とリアムの涙が合わさった瞬間、眩い光が四方に溢れ出し、凄まじい轟音が鳴り響いた。
ドォォォン……
激しい衝撃でリアムとクレアの身体は泉の中に落ちた。何本かの大木がなし崩しに倒れる。リアムを追ってきた者達、森の周囲に居た人間や龍達は身を屈めてこの衝撃に耐えた。大木の下敷きとなり、脱命したものも多数続出した。
光が消えた瞬間、泉の雫に覆われた艷やかな宝珠が一粒、草の上に残された。白・青・橙・黒に輝く、多彩な輝きを見せる石。人間の血と龍の涙から生まれた結晶。
後日、その宝珠をある龍族の者が偶然拾うこととなる。ラウファー家の血族の若者だ。この者は後に「ガルシア」の姓を名乗る血筋の者である。彼に聞けば「この宝玉に呼ばれたような気がした」とのことだった。
その月色に輝く生まれたての石は「月白珠」と呼ばれ、この龍族の直系に代々伝わる宝珠となる。不思議と直系の子孫が生まれると一人あたり一粒生まれるようになった。
泉の中に沈んだリアムとクレアの遺体は二度と上がって来ることはなかった。後日、ラウファー家とディーワン家の者が必死に捜索したが、彼らの骨一つ見付けることは出来なかったそうだ。
この戦争でリアムとアデルは死亡、アルバートはアデルの遺体と共に行方不明となった。
多数の犠牲者を出した人間と龍族との戦争はこれを機に終結し、それ以降二度と起こることはなかった。
リアムは知らなかったが、跋扈していた「内通者」の噂を信じない者達は少数だが実は存在した。彼等は噂の陰で犠牲になった二人の恋の話しを知っていた。真実を知るごく一部の者達は、この悲劇の二人の魂を慰める為、終戦後アトロポスの泉の前に石碑を建てた。伝え聞いた一連の恋物語を記した手記を誰かが作り、石碑の下に封印した。彼等の努力は実り、今や殆どの者がでっち上げられた「嘘」ではなく、「真実」の方を信じている。
ラウファー家とセヴィニー家はこの戦争で後継者を亡くし、王族としての力を失う。それ以降龍王族の勢力は静かに衰退への道を進んで行った。エウロス国は次第に王族支配社会から貴族支配社会へと変わってゆく。
クレア姫の一族・ディーワン家はクレア姫の死後、戦争で勢力をもがれ、王族としての勢力を失い歴史の表舞台からひっそりと姿を消した。その後オグマ国内での紛争が絶えず起こり、平和の世が訪れるまで何十年もかかることになる。
――それから四百年の時を経て、現在に至る。
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