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邂逅編
第九章 面会
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あくる日。ハンナから知らされた時間帯と指定された場所にアシュリンは向かっていた。ガルシア家の屋敷の中は広く部屋が分かれている為、迷子になりそうになった。普段着慣れないドレスを纏い、躓かない様に裾を摘みながら恐る恐る歩き回っているのである。言うまでもなくハンナと侍女達によって頭から爪の先まで令嬢の服装にコーディネートされたのだ。コルセットがないだけマシだが、ケレース町にいた時の服装と違ってやや動きにくい。
「……昔から童話に出てくるお姫様の格好に憧れてはいたけど、大変なのが身に沁みてよく分かったわ。すっかり慣れちゃったけど」
アシュリンが向かっている先は、ガルシア家当主、ルーカス・ガルシアの部屋である。ハンナが付き添いを申し出たが、色々歩いてみたかったアシュリンはその申し出を断ったのだ。ガルシア家の屋敷の中は、派手ではないが、質の良い高価そうな飾りものが品良く飾られている。彫刻や壺、お皿や風景画等、名前は分からないが、どれも一級品だということがひと目で分かる。
中庭に足を一歩踏み入れた途端光が入り込み、眩しさのあまりつい手を目元にやった。徐々に明るさに慣れてくると、アシュリンの目の前に美しい庭園が現れた。季節が冬に向かっている為花は少ないが、草木の手入れが良く行き届いている。
「ようこそお出でになられた。アシュリン・オルティス殿に相違ないかな? 」
温和な声の方向に視線を向けると、その声の主と目があった。黒髪でサミュエルよりも少し濃い目の琥珀色の瞳。縦長の瞳孔。藍色の上着を羽織り、威厳はあるものの、穏やかな雰囲気を持つ精悍な男性が立っていた。初見でも彼こそがガルシア家の主人だとアシュリンにも分かった。
「はい。オグマ国ケレースから参りました、アシュリン・オルティスです。どうぞ以後お見知りおきを」
「お初にお目に掛かる。私が当家の主、ルーカス・ガルシアだ。アシュリン殿、体調はもうすっかり良いのかね? 」
「はい、お陰様で。この度は大変お世話になりました。感謝致しております」
アシュリンはハンナに習った通り両手でドレスの裾を摘んでカーテシーをした。
「困った時はお互い様だ。そなたは嘗かつて息子を助けてくれたとつい先日初めて聞いた。サミュエルが私に変に気を遣って知らせなかったのだ。失礼致した。すっかり遅くなってしまったが、深く感謝致す。どんなに感謝しても足りないくらいだ」
「そんな……ルーカス様、恐縮です」
「今滞在してもらっているこのエウロスの街も出来れば色々知って頂きたい。サミュエルかハンナから我が一族に関して何か話しは聞いたかね? 」
「……簡単には聞きました。月龍族の内、魔力が強い者ほど人型を自分の意思でとれ、それは数多く居る龍族の中でも一部の種族のみであると。私は今までケレースから出たことがなくて、初めてお聞きした時驚きました」
「龍族についてもっと知りたくはないかね?」
「はい、色々知りたいです」
「そうか。それではどうぞこちらに」
ルーカスはアシュリンを連れて書斎に向かった。
⚔ ⚔ ⚔
ルーカスは読書家である。彼の本棚は家主として仕事用の棚もあるが、歴史書、その他芸術美術など、明らかに趣味ともとれる書籍の棚もあり、まるで図書館だ。
ルーカスの書斎にて、アシュリンは書籍やら絵画やらを見ながら、ルーカスの説明を聞いた。
今は四つに分かれている龍族の国は嘗て一つの大国「ベレヌス」であったこと。今は貴族支配になっているが、昔は幾つかの複数の王族によって支配されていたこと。主に力を持つ四つの種族は得意能力が異なり、エウロスの月龍族は主に「光」の魔術、ゼピュロスの火龍族は主に「火」の魔術、ノトスの風龍族は「風」の魔術、ボレアースの土龍族は「土」の魔術を得意とすること。各種族は人型の時でも我が身を守る為、魔術と武術の修練も欠かさず行っていること……などなど。
「……そう言えば、そなたはサミュエルから月白珠を受け取ったと聞いている。月白珠はガウリア家で代々受け継がれている秘宝。ガウリア家直系の男子が生まれると、必ず持たせるものだ。いつ如何なる時でも肌身はなさず保持し、そして、いつか己の守るべき者が現れたら渡す。そういうしきたりなのだよ」
アシュリンはふと胸元の首飾りに手をやり、服の中から表に出した。アシュリンの手の中で月白珠は青や橙や、様々な色合いを見せながら輝いている。自分がサミュエルの守るべき者……と言うことは……悟ったアシュリンは頬をさっと赤く染めた。
「……これは、そう言う意味も入っているのですか!? 知らなかったです」
「うむ。そなたは人間だが、もうただの人間ではないということだ。当家にとっても守るべき存在。サミュエルがまだ子供の時にそなたに渡したそうだが、本人もお守り代わりのつもりで渡したに違いない。恐らくまだ自覚はしてないだろうが、彼はそなたを大切に想っている。話しを聞くに、その宝珠は既にそなたを『主人』と認識しているそうだ。月白珠を持つものにはあらゆる災いからの加護がある為、間違いではない。しかし、今までどの月白珠も発動した詳細の記録がないのだ。月白珠がどこまで力を持っているのかは私にも分からない。もし異変を感じたら知らせて欲しい」
あの火事の時に真っ白に光ったが、これも月白珠の力に相違ないだろうか? アシュリンはふと思った。
「分かりました。……今まで知らなかったことばかりで、本当に興味深いです」
「ところで、昨今色々な地域で事件が起きているのをご存知かな?」
「いいえ、存じません」
ルーカスはアシュリンに今現在ベレヌス、オグマ、エリウで起きている事件について話す。
「まだ明瞭ではない為断定は出来ぬのだが、そなたが巻き込まれた火事の件についても、昨今の事件と無関係とは言い難い、と言うのが我々の見解だ。今のところ多発していないようだが、そなたが外出する際はガウリア家の誰かが付き添うようにした方が無難であろう。必ず誰かに声を掛けるように。あと身の回りのことで何か異変があったら知らせて欲しい」
「分かりました。ご配慮頂きどうもありがとうございます」
「沢山話したから疲れたであろう。今日はこれ位にしよう。そなたは聡い上好奇心旺盛だな。若い内に色々なことを学んだ方が良い。もし色々知りたければ私に声を掛けてくれ。読みたい書物があれば言ってもらえれば対応しよう。ただ私の書斎だけでは入りきれない書物は別の部屋にある。この屋敷に住むものなら誰でも好きな時に読めるように私が設けた部屋だ。そこの場所は誰かに聞けば良い」
「ルーカス様は、本当に本がお好きなのですね」
「自分が実際に経験出来ぬことを経験出来るからな。若い内はまだ自由に動いていたが、当主になってからは自由がきかぬ。動けない分書を読めば書き主の見識も得られるし、新しい知識も増える」
そこへ書斎の戸をノックする音が聞こえた。
「ルーカス様、お客様がお見えです」
「もうそんな時間かね。時が経つのは早いものだ。庭園にご案内してくれ。私も直ぐに向かう」
「すみません。長々と居座ってしまって」
「つい引き止めてしまった。久し振りに楽しい時間をどうもありがとう。何か困ったことがあったら直ぐに知らせて欲しい」
ルーカスと一緒にアシュリンは書斎から出た。今まで知らなかったことが一気に押し寄せて来て圧倒したが、アシュリンは暫くガウリア家から出ない方が良さそうだと思った。
「……昔から童話に出てくるお姫様の格好に憧れてはいたけど、大変なのが身に沁みてよく分かったわ。すっかり慣れちゃったけど」
アシュリンが向かっている先は、ガルシア家当主、ルーカス・ガルシアの部屋である。ハンナが付き添いを申し出たが、色々歩いてみたかったアシュリンはその申し出を断ったのだ。ガルシア家の屋敷の中は、派手ではないが、質の良い高価そうな飾りものが品良く飾られている。彫刻や壺、お皿や風景画等、名前は分からないが、どれも一級品だということがひと目で分かる。
中庭に足を一歩踏み入れた途端光が入り込み、眩しさのあまりつい手を目元にやった。徐々に明るさに慣れてくると、アシュリンの目の前に美しい庭園が現れた。季節が冬に向かっている為花は少ないが、草木の手入れが良く行き届いている。
「ようこそお出でになられた。アシュリン・オルティス殿に相違ないかな? 」
温和な声の方向に視線を向けると、その声の主と目があった。黒髪でサミュエルよりも少し濃い目の琥珀色の瞳。縦長の瞳孔。藍色の上着を羽織り、威厳はあるものの、穏やかな雰囲気を持つ精悍な男性が立っていた。初見でも彼こそがガルシア家の主人だとアシュリンにも分かった。
「はい。オグマ国ケレースから参りました、アシュリン・オルティスです。どうぞ以後お見知りおきを」
「お初にお目に掛かる。私が当家の主、ルーカス・ガルシアだ。アシュリン殿、体調はもうすっかり良いのかね? 」
「はい、お陰様で。この度は大変お世話になりました。感謝致しております」
アシュリンはハンナに習った通り両手でドレスの裾を摘んでカーテシーをした。
「困った時はお互い様だ。そなたは嘗かつて息子を助けてくれたとつい先日初めて聞いた。サミュエルが私に変に気を遣って知らせなかったのだ。失礼致した。すっかり遅くなってしまったが、深く感謝致す。どんなに感謝しても足りないくらいだ」
「そんな……ルーカス様、恐縮です」
「今滞在してもらっているこのエウロスの街も出来れば色々知って頂きたい。サミュエルかハンナから我が一族に関して何か話しは聞いたかね? 」
「……簡単には聞きました。月龍族の内、魔力が強い者ほど人型を自分の意思でとれ、それは数多く居る龍族の中でも一部の種族のみであると。私は今までケレースから出たことがなくて、初めてお聞きした時驚きました」
「龍族についてもっと知りたくはないかね?」
「はい、色々知りたいです」
「そうか。それではどうぞこちらに」
ルーカスはアシュリンを連れて書斎に向かった。
⚔ ⚔ ⚔
ルーカスは読書家である。彼の本棚は家主として仕事用の棚もあるが、歴史書、その他芸術美術など、明らかに趣味ともとれる書籍の棚もあり、まるで図書館だ。
ルーカスの書斎にて、アシュリンは書籍やら絵画やらを見ながら、ルーカスの説明を聞いた。
今は四つに分かれている龍族の国は嘗て一つの大国「ベレヌス」であったこと。今は貴族支配になっているが、昔は幾つかの複数の王族によって支配されていたこと。主に力を持つ四つの種族は得意能力が異なり、エウロスの月龍族は主に「光」の魔術、ゼピュロスの火龍族は主に「火」の魔術、ノトスの風龍族は「風」の魔術、ボレアースの土龍族は「土」の魔術を得意とすること。各種族は人型の時でも我が身を守る為、魔術と武術の修練も欠かさず行っていること……などなど。
「……そう言えば、そなたはサミュエルから月白珠を受け取ったと聞いている。月白珠はガウリア家で代々受け継がれている秘宝。ガウリア家直系の男子が生まれると、必ず持たせるものだ。いつ如何なる時でも肌身はなさず保持し、そして、いつか己の守るべき者が現れたら渡す。そういうしきたりなのだよ」
アシュリンはふと胸元の首飾りに手をやり、服の中から表に出した。アシュリンの手の中で月白珠は青や橙や、様々な色合いを見せながら輝いている。自分がサミュエルの守るべき者……と言うことは……悟ったアシュリンは頬をさっと赤く染めた。
「……これは、そう言う意味も入っているのですか!? 知らなかったです」
「うむ。そなたは人間だが、もうただの人間ではないということだ。当家にとっても守るべき存在。サミュエルがまだ子供の時にそなたに渡したそうだが、本人もお守り代わりのつもりで渡したに違いない。恐らくまだ自覚はしてないだろうが、彼はそなたを大切に想っている。話しを聞くに、その宝珠は既にそなたを『主人』と認識しているそうだ。月白珠を持つものにはあらゆる災いからの加護がある為、間違いではない。しかし、今までどの月白珠も発動した詳細の記録がないのだ。月白珠がどこまで力を持っているのかは私にも分からない。もし異変を感じたら知らせて欲しい」
あの火事の時に真っ白に光ったが、これも月白珠の力に相違ないだろうか? アシュリンはふと思った。
「分かりました。……今まで知らなかったことばかりで、本当に興味深いです」
「ところで、昨今色々な地域で事件が起きているのをご存知かな?」
「いいえ、存じません」
ルーカスはアシュリンに今現在ベレヌス、オグマ、エリウで起きている事件について話す。
「まだ明瞭ではない為断定は出来ぬのだが、そなたが巻き込まれた火事の件についても、昨今の事件と無関係とは言い難い、と言うのが我々の見解だ。今のところ多発していないようだが、そなたが外出する際はガウリア家の誰かが付き添うようにした方が無難であろう。必ず誰かに声を掛けるように。あと身の回りのことで何か異変があったら知らせて欲しい」
「分かりました。ご配慮頂きどうもありがとうございます」
「沢山話したから疲れたであろう。今日はこれ位にしよう。そなたは聡い上好奇心旺盛だな。若い内に色々なことを学んだ方が良い。もし色々知りたければ私に声を掛けてくれ。読みたい書物があれば言ってもらえれば対応しよう。ただ私の書斎だけでは入りきれない書物は別の部屋にある。この屋敷に住むものなら誰でも好きな時に読めるように私が設けた部屋だ。そこの場所は誰かに聞けば良い」
「ルーカス様は、本当に本がお好きなのですね」
「自分が実際に経験出来ぬことを経験出来るからな。若い内はまだ自由に動いていたが、当主になってからは自由がきかぬ。動けない分書を読めば書き主の見識も得られるし、新しい知識も増える」
そこへ書斎の戸をノックする音が聞こえた。
「ルーカス様、お客様がお見えです」
「もうそんな時間かね。時が経つのは早いものだ。庭園にご案内してくれ。私も直ぐに向かう」
「すみません。長々と居座ってしまって」
「つい引き止めてしまった。久し振りに楽しい時間をどうもありがとう。何か困ったことがあったら直ぐに知らせて欲しい」
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