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第三章 過ぎ去りし思い出(過去編)
第四十八話 一縷の望み
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重たいまぶたを開けると、目の前に薄暗い天井が広がっていた。
ふと顔を左に向けると、蝋燭の炎が揺らめいている。
(私は寝かされているのだろうか? ベッドの上のようだが、見覚えのない部屋だな……)
右に顔を動かすと、傍にキャラメル色の頭が見えた。
彼女は椅子に腰掛けてベッドの端に突っ伏して眠っているようだ。
よく見ると、長い筈の髪が何故か肩までの長さとなっている。
しかも真っ直ぐに切り揃えられておらず、乱雑だ。
(ウィリディス……? )
身体を動かしてみると、ベッドがきしんだ。
その振動でウィリディスがぱっと顔を上げた。
「セフィロス! 良かった! 意識が戻ったのね……!!」
目が落ち窪んでいて、くまが滲んでいる。
少し窶れているようだ。
「……ここは……?」
「ランカスター家の地下室よ」
関係者しか教えられていない、秘密の部屋だ。非常時に備え設備として予め作られていた隠し部屋である。
「まさかここを実際に使用することになるとは思わなかったけど、助かったわ。地上はとてもじゃないけど休める場所がないんだもの」
ヨーク家の手の者によって瓦礫の山と化した屋敷は、もう見る影もない。地上から降りてきている為か、空気中に焼き焦げた臭いがどことなく漂っている。
セフィロスはゆっくりと重だるく感じる身体を起こした。
節々は痛むし、喉は掠れてややハスキーヴォイス気味だ。
「水飲む?」
「ああ、ありがとう。貰おうか」
渡された陶磁器から喉へ水を流し込むと、靄のかかった頭が少しすっきりしてきた。
「私は一体……」
「三日間眠っていたわ」
セフィロスを思い敢えて口にしなかったが、その更に前の三日間、ウィリディスは寝る間も惜しんで一人大車輪で駆け回っていた。
ロセウス達がヨーク家での後始末を終え、戻ってくるまでに彼女は何としてでも現当主を正気に戻しておきたかったのだ。
※ ※ ※
彼女は地下室の存在を思い出し、辿り着いた後、重い身体に鞭を打ちつつすぐ部屋として使えるか確認した。
その部屋は騒動が起きる直前まで管理されていたようで、思ったほど埃っぽくなくベッドに敷かれているシーツも清潔で、使っても大丈夫な状態だった。
部屋の隅の方にベッドが一台あり、机と椅子と燭台、ソファーが一台、猫脚のような繊細な曲線脚を持つコモードが一台備え置いてある。
簡素な作りだが、数日過ごすには充分だった。戸を隔てて二部屋ある為、五・六人は何とか過ごせる広さだ。
彼女は意識のないセフィロスをベッドに横たえ、飲み水を確保してきた。
戦闘で力を殆ど使い果たしている為、まずは栄養補給をしないといけない。
セフィロスに至っては膨大な力を使い切っているので、尚更だ。
弱りきった彼を一人置いて遠くへといくわけにいかないので、地上で走り回る鼠達を見付けては捕まえ、飢えを凌ぐことにした。
サクリと音をたててその灰色の小さな肉体に牙を突き刺すと、ぴくぴく痙攣する小動物からどろりとした生温かい血が溢れてくる。土臭く人間の生き血に比べると味は劣るが、この際贅沢は言えなかった。
術を弱め、セフィロスの意識を強制的に覚醒させた。
彼は目を覚ましたものの、瞳は焦点が定まらず、指一本動かない状態だった。気力すらなかったのかもしれない。
ウィリディスは鼠に牙をたて、生き血をジュッと吸い上げては口移しでセフィロスに飲ませようと試みた。
最初は飲み込む力すらなかった為溢してしまったが、何回かやっていると僅かながらも弱々しく喉が上下し始めた。
(飲んだ……! )
セフィロスが何とか飲み込めるようになったのを目にしたウィリディスは涙が止まらなかった。
ある程度血を飲ませた後、身体を休ませる為に術をかけ直し、自然と覚醒するのをずっと見守っていたのだ。
※ ※ ※
セフィロスを沈黙させまいと必死だった彼女はあることを思い出した。
「ねぇ。見せたいものがあるの」
ウィリディスがポケットから何かを掴み出しているのを彼は静かに目で追った。
布に包まれている。
それが開かれ、現れた中身を見た途端、ロイヤルブルーの瞳の動きが止まった。
「これは……?」
「ルフスが消えた後に落ちていたの」
ウィリディスの掌の上には、幾つかの宝石があった。
紅玉のように赤い石だが、割れていた。
大きさの異なる小さな塊が混合している。
辛うじて粉々にならずに済んだというところだ。
元は一個の塊だったものと思われる。
セフィロスの目の色に若干変化が見られた。
「きっと、これは貴艶石だと思うの。ルフスの」
貴艶石。
ランカスター家の者が体内に持つと言われる第二の心臓と言うべき石。
セフィロスを守るために壊されてしまったルフスの命。
蝋燭の灯りに照らされて煌めいている。
色褪せない、生命の色。
今までそれを守り続けていた肉体は既に失われていると言うのに、何て美しい色と輝きを持っているのだろう。
「ルフス……」
セフィロスの身体が震えている。
ウィリディスは彼の手を両手でぎゅっと握った。
急に掌に異物感を感じたセフィロスは、身体をびくりと強張らせる。
「割れているけど粉々じゃないし、何故か輝きは失われてないのよ。不思議と思わない? あなたの“力”を使えば蘇生可能じゃないかしらと思って、一欠片も残らず拾い集めておいたの」
その宝石はセフィロスの掌の中で輝いている。
まるで彼に語り掛けてくるように……。
肉体が灰と化し石が粉となれば厳しいが、幸いにもそれはまだ形を保っている。大小様々の欠片となって。
奇跡的に粉砕までには至らなかったようだ。
肉体は失われたが、これが血肉を吸い元の大きさに成長すれば、姿は違えどルフスの完全復活を望めるかもしれない。
「……」
「可能性はゼロではない筈よ。ねぇ。試してみましょう」
エメラルドグリーンの瞳が必死にロイヤルブルーの瞳を捉える。それはやや潤んできていた。
彼等に残された、僅かな希望。
その時、何かがセフィロスの頭をよぎった。
――一人で見る世界より二人で見る世界は広い。三人以上で見る世界はそれ以上だ。一緒に色んな世界を見ようよ。もっと楽しい世界が見えると思う――
――一人できついなら二人で一緒に最強を目指そうぜ。セフィロス。最強の「屍者の王」ってやつ!――
昔二人で交わした大切な約束。
温かい想い出。
ずっと忘れず心の中にしまっている。
(ああ、絶望するにはまだ早いということか)
セフィロスの長い睫毛を伝い、涙が一粒零れ落ちた。
(まだお前との夢は叶えられてない。あの夢は潰えた訳ではなかったのか……)
今まで一度も使ったことのない“力”。
ランカスター本家の者にしか使えない“力”。
それは、人間を吸血鬼化させる術。これを応用する方法でルフスの蘇生を試みようとしているのだ。
一体どれ位時間を要するかは不明だが、やってみても良いかもしれない。
(私がいつか出会う遠い未来のお前。
いつになるか分からないが、その日をずっと待っていよう。
仲間と共に。
何としてでもお前を蘇らせてみせる)
この戦いでランカスター家は多大な痛手を被った。
体制を立て直すには時間と手間が思った以上にかかるだろう。
ウィリディスは自分の後ろ髪にセフィロスの手が回されてるのに気がついた。
「ああ、これね。邪魔だったから切ったのよ」
さり気なく嘘が口から出てきた。
そんな彼女を見たセフィロスは、痛々しそうに目を細める。
「私のせいだろう? あの時、君が来てくれたのをかすかだが覚えている」
「大丈夫よ。枝毛が気になっていたし、この格好なら短いほうが都合が良いから……」
セフィロスはその身体を己の腕の中に閉じ込め、ぎゅっと抱き締めた。
自分のせいで短くなってしまった頭を撫でる。
「……ウィリディス。ありがとう。色々すまなかった」
「いいえ。わたくしはあなたの“片腕”ですもの。あなたが生きる気力を戻してくれただけでも充分嬉しい……」
返す声が震えている。
「君までも失っていたら、私はランカスター家を確実に滅ぼしていたかもしれない。……史上最悪な当主となっただろうな」
「自分を卑下しないで。セフィロス。あなたはそれだけ苦しんだということよ」
ウィリディスは自分を抱擁する身体に腕を回し、その背中を優しく撫で続けた。
呼び掛け続けた時と同じように。
傷みを少しでもやわらぐよう願いを込めながら。
それに応えるかのように、ウィリディスの背に回された腕に力が籠もる。
「わたくし達は、永遠に生き続ける宿命。貴艶石が壊されなければ朽ちることはない。……望みをかけてみましょう。時間は幾らでもあるわ」
(わたくしも、あなたを失いたくないの……)
「ウィオラ達を呼んでくるわ。これから先の計画を立てましょう」
抱擁を解いたウィリディスの瞳は、セフィロスの瞳の中に光が戻って来ているのを認めた。
彼の胸元にぶら下げられたサファイアが、静かに穏やかな光を帯びて輝いている。
※ ※ ※
今回の騒動でヨーク家は壊滅し、ランカスター家は彼等五人のみ生き残った。
結果としてはランカスター家の勝利だった。
しかし、長年共に生きてきた仲間達を多量に喪ったのは精神的に堪えた。
生き血をすすれば生き続けられる彼等にとって死活問題という程ではないとは言っても……。
ルフスを蘇らせる為、相性の良い肉体を求める必要があった。その為、長年生きてきた土地を捨て、彼等の放浪の日々が始まった。
放浪しつつ新しい土地を得ては数十年で捨て、再び別の土地へと彷徨い続けた。
彼を蘇らせ、ランカスター家を再び再興するのが彼等の悲願だ。
そして三百年近く時が過ぎて、彼等は待ち望んだその日を小さな島国で迎えることとなる。貴艶石が肉体に定着し、威力を発揮し始めたその日を――。
ふと顔を左に向けると、蝋燭の炎が揺らめいている。
(私は寝かされているのだろうか? ベッドの上のようだが、見覚えのない部屋だな……)
右に顔を動かすと、傍にキャラメル色の頭が見えた。
彼女は椅子に腰掛けてベッドの端に突っ伏して眠っているようだ。
よく見ると、長い筈の髪が何故か肩までの長さとなっている。
しかも真っ直ぐに切り揃えられておらず、乱雑だ。
(ウィリディス……? )
身体を動かしてみると、ベッドがきしんだ。
その振動でウィリディスがぱっと顔を上げた。
「セフィロス! 良かった! 意識が戻ったのね……!!」
目が落ち窪んでいて、くまが滲んでいる。
少し窶れているようだ。
「……ここは……?」
「ランカスター家の地下室よ」
関係者しか教えられていない、秘密の部屋だ。非常時に備え設備として予め作られていた隠し部屋である。
「まさかここを実際に使用することになるとは思わなかったけど、助かったわ。地上はとてもじゃないけど休める場所がないんだもの」
ヨーク家の手の者によって瓦礫の山と化した屋敷は、もう見る影もない。地上から降りてきている為か、空気中に焼き焦げた臭いがどことなく漂っている。
セフィロスはゆっくりと重だるく感じる身体を起こした。
節々は痛むし、喉は掠れてややハスキーヴォイス気味だ。
「水飲む?」
「ああ、ありがとう。貰おうか」
渡された陶磁器から喉へ水を流し込むと、靄のかかった頭が少しすっきりしてきた。
「私は一体……」
「三日間眠っていたわ」
セフィロスを思い敢えて口にしなかったが、その更に前の三日間、ウィリディスは寝る間も惜しんで一人大車輪で駆け回っていた。
ロセウス達がヨーク家での後始末を終え、戻ってくるまでに彼女は何としてでも現当主を正気に戻しておきたかったのだ。
※ ※ ※
彼女は地下室の存在を思い出し、辿り着いた後、重い身体に鞭を打ちつつすぐ部屋として使えるか確認した。
その部屋は騒動が起きる直前まで管理されていたようで、思ったほど埃っぽくなくベッドに敷かれているシーツも清潔で、使っても大丈夫な状態だった。
部屋の隅の方にベッドが一台あり、机と椅子と燭台、ソファーが一台、猫脚のような繊細な曲線脚を持つコモードが一台備え置いてある。
簡素な作りだが、数日過ごすには充分だった。戸を隔てて二部屋ある為、五・六人は何とか過ごせる広さだ。
彼女は意識のないセフィロスをベッドに横たえ、飲み水を確保してきた。
戦闘で力を殆ど使い果たしている為、まずは栄養補給をしないといけない。
セフィロスに至っては膨大な力を使い切っているので、尚更だ。
弱りきった彼を一人置いて遠くへといくわけにいかないので、地上で走り回る鼠達を見付けては捕まえ、飢えを凌ぐことにした。
サクリと音をたててその灰色の小さな肉体に牙を突き刺すと、ぴくぴく痙攣する小動物からどろりとした生温かい血が溢れてくる。土臭く人間の生き血に比べると味は劣るが、この際贅沢は言えなかった。
術を弱め、セフィロスの意識を強制的に覚醒させた。
彼は目を覚ましたものの、瞳は焦点が定まらず、指一本動かない状態だった。気力すらなかったのかもしれない。
ウィリディスは鼠に牙をたて、生き血をジュッと吸い上げては口移しでセフィロスに飲ませようと試みた。
最初は飲み込む力すらなかった為溢してしまったが、何回かやっていると僅かながらも弱々しく喉が上下し始めた。
(飲んだ……! )
セフィロスが何とか飲み込めるようになったのを目にしたウィリディスは涙が止まらなかった。
ある程度血を飲ませた後、身体を休ませる為に術をかけ直し、自然と覚醒するのをずっと見守っていたのだ。
※ ※ ※
セフィロスを沈黙させまいと必死だった彼女はあることを思い出した。
「ねぇ。見せたいものがあるの」
ウィリディスがポケットから何かを掴み出しているのを彼は静かに目で追った。
布に包まれている。
それが開かれ、現れた中身を見た途端、ロイヤルブルーの瞳の動きが止まった。
「これは……?」
「ルフスが消えた後に落ちていたの」
ウィリディスの掌の上には、幾つかの宝石があった。
紅玉のように赤い石だが、割れていた。
大きさの異なる小さな塊が混合している。
辛うじて粉々にならずに済んだというところだ。
元は一個の塊だったものと思われる。
セフィロスの目の色に若干変化が見られた。
「きっと、これは貴艶石だと思うの。ルフスの」
貴艶石。
ランカスター家の者が体内に持つと言われる第二の心臓と言うべき石。
セフィロスを守るために壊されてしまったルフスの命。
蝋燭の灯りに照らされて煌めいている。
色褪せない、生命の色。
今までそれを守り続けていた肉体は既に失われていると言うのに、何て美しい色と輝きを持っているのだろう。
「ルフス……」
セフィロスの身体が震えている。
ウィリディスは彼の手を両手でぎゅっと握った。
急に掌に異物感を感じたセフィロスは、身体をびくりと強張らせる。
「割れているけど粉々じゃないし、何故か輝きは失われてないのよ。不思議と思わない? あなたの“力”を使えば蘇生可能じゃないかしらと思って、一欠片も残らず拾い集めておいたの」
その宝石はセフィロスの掌の中で輝いている。
まるで彼に語り掛けてくるように……。
肉体が灰と化し石が粉となれば厳しいが、幸いにもそれはまだ形を保っている。大小様々の欠片となって。
奇跡的に粉砕までには至らなかったようだ。
肉体は失われたが、これが血肉を吸い元の大きさに成長すれば、姿は違えどルフスの完全復活を望めるかもしれない。
「……」
「可能性はゼロではない筈よ。ねぇ。試してみましょう」
エメラルドグリーンの瞳が必死にロイヤルブルーの瞳を捉える。それはやや潤んできていた。
彼等に残された、僅かな希望。
その時、何かがセフィロスの頭をよぎった。
――一人で見る世界より二人で見る世界は広い。三人以上で見る世界はそれ以上だ。一緒に色んな世界を見ようよ。もっと楽しい世界が見えると思う――
――一人できついなら二人で一緒に最強を目指そうぜ。セフィロス。最強の「屍者の王」ってやつ!――
昔二人で交わした大切な約束。
温かい想い出。
ずっと忘れず心の中にしまっている。
(ああ、絶望するにはまだ早いということか)
セフィロスの長い睫毛を伝い、涙が一粒零れ落ちた。
(まだお前との夢は叶えられてない。あの夢は潰えた訳ではなかったのか……)
今まで一度も使ったことのない“力”。
ランカスター本家の者にしか使えない“力”。
それは、人間を吸血鬼化させる術。これを応用する方法でルフスの蘇生を試みようとしているのだ。
一体どれ位時間を要するかは不明だが、やってみても良いかもしれない。
(私がいつか出会う遠い未来のお前。
いつになるか分からないが、その日をずっと待っていよう。
仲間と共に。
何としてでもお前を蘇らせてみせる)
この戦いでランカスター家は多大な痛手を被った。
体制を立て直すには時間と手間が思った以上にかかるだろう。
ウィリディスは自分の後ろ髪にセフィロスの手が回されてるのに気がついた。
「ああ、これね。邪魔だったから切ったのよ」
さり気なく嘘が口から出てきた。
そんな彼女を見たセフィロスは、痛々しそうに目を細める。
「私のせいだろう? あの時、君が来てくれたのをかすかだが覚えている」
「大丈夫よ。枝毛が気になっていたし、この格好なら短いほうが都合が良いから……」
セフィロスはその身体を己の腕の中に閉じ込め、ぎゅっと抱き締めた。
自分のせいで短くなってしまった頭を撫でる。
「……ウィリディス。ありがとう。色々すまなかった」
「いいえ。わたくしはあなたの“片腕”ですもの。あなたが生きる気力を戻してくれただけでも充分嬉しい……」
返す声が震えている。
「君までも失っていたら、私はランカスター家を確実に滅ぼしていたかもしれない。……史上最悪な当主となっただろうな」
「自分を卑下しないで。セフィロス。あなたはそれだけ苦しんだということよ」
ウィリディスは自分を抱擁する身体に腕を回し、その背中を優しく撫で続けた。
呼び掛け続けた時と同じように。
傷みを少しでもやわらぐよう願いを込めながら。
それに応えるかのように、ウィリディスの背に回された腕に力が籠もる。
「わたくし達は、永遠に生き続ける宿命。貴艶石が壊されなければ朽ちることはない。……望みをかけてみましょう。時間は幾らでもあるわ」
(わたくしも、あなたを失いたくないの……)
「ウィオラ達を呼んでくるわ。これから先の計画を立てましょう」
抱擁を解いたウィリディスの瞳は、セフィロスの瞳の中に光が戻って来ているのを認めた。
彼の胸元にぶら下げられたサファイアが、静かに穏やかな光を帯びて輝いている。
※ ※ ※
今回の騒動でヨーク家は壊滅し、ランカスター家は彼等五人のみ生き残った。
結果としてはランカスター家の勝利だった。
しかし、長年共に生きてきた仲間達を多量に喪ったのは精神的に堪えた。
生き血をすすれば生き続けられる彼等にとって死活問題という程ではないとは言っても……。
ルフスを蘇らせる為、相性の良い肉体を求める必要があった。その為、長年生きてきた土地を捨て、彼等の放浪の日々が始まった。
放浪しつつ新しい土地を得ては数十年で捨て、再び別の土地へと彷徨い続けた。
彼を蘇らせ、ランカスター家を再び再興するのが彼等の悲願だ。
そして三百年近く時が過ぎて、彼等は待ち望んだその日を小さな島国で迎えることとなる。貴艶石が肉体に定着し、威力を発揮し始めたその日を――。
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