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はじめましての一年目
クマからのプレゼント
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お鍋は偉大だ。三日連続で食べても飽きることなく楽しむことができた。
トマト鍋、キムチ鍋、水炊き。締めはオムライス、キムチ雑炊、雑炊。私は三日間晩御飯の時間になるとクマの家に来てお鍋を食べた。
「この三日間で一年分のお鍋を一気に食べたような気分です」
クマが食後に温かいお茶を用意して持ってきてくれた。目の前に置かれた湯呑みからほんのりと緑茶のいい香りがする。
「そうね、しばらくお鍋はお休みでいいわ」
ふーっと息を吹きかけてお茶を少し冷ます。少し食べすぎたのかお腹がちょっとばかり苦しい。
「でも、一人で食べるお鍋より二人で食べる方が美味しいですね」
両手で湯呑みを大切そうに持ちながらクマはそう言うとずずずとお茶を飲んだ。
「そうね」
私も心からそう思った。一人でお鍋をすることもある。なんならよくする。具材を切って鍋でぐつぐつするだけ。とっても簡単、そしてとっても美味しい。洗い物も少ないので最高だ。今までお鍋なんて一人で食べても誰かと食べても一緒だと思っていた。
クマと食べて知ってしまった。一人で食べても美味しいけれど誰かと食べるお鍋はもっと美味しい。これから一人でお鍋を食べる時、きっと物足りなく感じるんだろうな。そう思うとほんの少し悲しい気持ちになった。
温かいお茶を飲んでいると心地よい眠たさが覆いかぶさってきた。どうしてお腹いっぱいになると眠たくなるんだろう。生き物だから仕方がないのかもしれない。
「これどうぞ」
うつらうつらしていると、クマがラッピング袋を渡してくれた。赤くて小さなリボンのついたかわいいラッピング袋だ。
「なあにこれ? 私の誕生日は今日じゃないわよ?」
私の誕生日は今日じゃない。そういえばクマに誕生日を教えたこともない気がする。
「クリスマスプレゼントです」
クマは何故か嬉しそうに目を細め、耳をぴこぴこさせている。見ていてかわいらしいけれど私の疑問はまだ解消されていない。
「クマ、今日って何月?」
「11月ですね」
「クリスマスは12月よ?」
「クリスマスの時期は冬眠中だから渡せないので先に渡そうと思ったんです」
ふふん、とクマが胸を張っている。かなり得意げだ。やることがとっても紳士的なのにこういうところは紳士というより子供っぽい。
「なるほど、そういうことね。ありがとう。中身はなあに?」
「マフラーです! あ……」
晴れた日の太陽のように明るい笑顔で答えたかと思ったらたちまち顔が暗くなった。しょんぼりと項垂れてどんどん縮こまっていく。変化が激しくてなんだか山の天気みたい。
「どうしたの?」
「中身は開けてからのお楽しみって言いたかったのに忘れてました……」
クマの返答を聞いて私は思わず笑ってしまった。落ち込む内容が可愛すぎる。でも、そんなことで落ち込まなくてもいいのになあとも思う。
「家で大切に開けさせてもらうわ。何色かは開けてからのお楽しみね」
私がそう言うとクマはむくむくと元のサイズに戻りにこにこし始めた。本当な単純なクマだ。
「次はこれです!」
元気になったクマは今度は葉書を手渡してきた。葉書には「謹賀新年」と達筆な字で大きく書かれている。これが何かは聞かなくてもわかる。
「年賀状です!」
聞いていないのに答えが飛んできた。やっぱり年賀状だった。相変わらずクマはにこにこしている。今にも「明けましておめでとうございます!」と言い出しそうだ。
「ねえ、クマ、まだ11月よ?」
「知ってます。でもお正月は冬眠中なんで手渡したかったんです」
クマの年賀状には大きな大きな熊の絵が描いてあった。水墨画のように筆で描かれたかっこいい熊。これだと来年の干支は熊みたいだ。
「干支に熊はいたかしら?」
「いませんよ、熊は。熊は十二支の競争に参加したんですが家が遠くて間に合わなかったんです」
「そうなんだ、初めて聞いたわ」
「山の中ではとっても有名なお話なんですよ。嘘か本当かはわかりませんが」
そう話すクマは相変わらずにこにこしている。年賀状の絵と違ってとっても可愛らしい。
「年賀状、私も書くわね」
「本当ですか! ありがとうございます! 家のポストに入れておいてもらえると嬉しいです!」
クマは嬉しそうにそう言うとお茶をずずずと飲み干した。
「お茶のおかわりいかがですか?」
「いただくわ」
私もお茶を飲み干して湯呑みを手渡すと、クマは嬉しそうにお茶のおかわりを取りに行ってくれた。
「これどうぞ」
クマはお茶のおかわりを持ってきてくれた後、今度は私の手よりも少し大きな紙袋を渡してくれた。少し灰色みを帯びたしっかりした紙袋でとってもお洒落だ。
「今度はなあに?」
「ガトーショコラです」
「ガトーショコラ?」
「ホワイトデーのお返しです!」
クマは相変わらずにこにこしている。お鍋を食べ終えてからにこにこしっぱなしな気がする。にこにこしているところ悪いけれど私の頭の中には疑問符がたくさん浮かんでいる。
「私バレンタイン渡してないわよ? そもそもまだまだ先だし」
「バレンタインもホワイトデーも冬眠中なので先に渡しておこうかと思いまして」
クマはやっぱりにこにこしている。ずーっとにこにこしているクマを見ていると私の中のいたずら心が顔を出した。申し訳ないけれどちょっぴりいじわるしたくなった。
「私、バレンタインに何かあげるなんて言ったかしら?」
私は真顔でクマに言った。その瞬間クマの顔が固まった。一時停止ボタンを押したみたいにぴたっと。瞬きすらしない。
固まったクマを見つめていると徐々に顔が翳っていった。そして最後にぺたりとテーブルに突っ伏した。
「ごめんなさい勝手にもらえるかなと思ってました……」
今にも泣き出しそうな声をしている。思っていた以上にクマを落ち込ませてしまった。やり過ぎたかもしれない。
「冗談よ、冗談。何か考えるからこれはありがたくいただくわ」
「本当ですか!」
クマはがばっと起き上がるとまたにこにこしている。でも、ほっとしたのか気の抜けた顔をしている。なんだか間抜けな顔だ。
「バレンタインはどうしたらいい? ポストに入れておいたらいいかしら?」
「はい!」
クマは今日聞いた中で一番大きな声で返事をしてくれた。
トマト鍋、キムチ鍋、水炊き。締めはオムライス、キムチ雑炊、雑炊。私は三日間晩御飯の時間になるとクマの家に来てお鍋を食べた。
「この三日間で一年分のお鍋を一気に食べたような気分です」
クマが食後に温かいお茶を用意して持ってきてくれた。目の前に置かれた湯呑みからほんのりと緑茶のいい香りがする。
「そうね、しばらくお鍋はお休みでいいわ」
ふーっと息を吹きかけてお茶を少し冷ます。少し食べすぎたのかお腹がちょっとばかり苦しい。
「でも、一人で食べるお鍋より二人で食べる方が美味しいですね」
両手で湯呑みを大切そうに持ちながらクマはそう言うとずずずとお茶を飲んだ。
「そうね」
私も心からそう思った。一人でお鍋をすることもある。なんならよくする。具材を切って鍋でぐつぐつするだけ。とっても簡単、そしてとっても美味しい。洗い物も少ないので最高だ。今までお鍋なんて一人で食べても誰かと食べても一緒だと思っていた。
クマと食べて知ってしまった。一人で食べても美味しいけれど誰かと食べるお鍋はもっと美味しい。これから一人でお鍋を食べる時、きっと物足りなく感じるんだろうな。そう思うとほんの少し悲しい気持ちになった。
温かいお茶を飲んでいると心地よい眠たさが覆いかぶさってきた。どうしてお腹いっぱいになると眠たくなるんだろう。生き物だから仕方がないのかもしれない。
「これどうぞ」
うつらうつらしていると、クマがラッピング袋を渡してくれた。赤くて小さなリボンのついたかわいいラッピング袋だ。
「なあにこれ? 私の誕生日は今日じゃないわよ?」
私の誕生日は今日じゃない。そういえばクマに誕生日を教えたこともない気がする。
「クリスマスプレゼントです」
クマは何故か嬉しそうに目を細め、耳をぴこぴこさせている。見ていてかわいらしいけれど私の疑問はまだ解消されていない。
「クマ、今日って何月?」
「11月ですね」
「クリスマスは12月よ?」
「クリスマスの時期は冬眠中だから渡せないので先に渡そうと思ったんです」
ふふん、とクマが胸を張っている。かなり得意げだ。やることがとっても紳士的なのにこういうところは紳士というより子供っぽい。
「なるほど、そういうことね。ありがとう。中身はなあに?」
「マフラーです! あ……」
晴れた日の太陽のように明るい笑顔で答えたかと思ったらたちまち顔が暗くなった。しょんぼりと項垂れてどんどん縮こまっていく。変化が激しくてなんだか山の天気みたい。
「どうしたの?」
「中身は開けてからのお楽しみって言いたかったのに忘れてました……」
クマの返答を聞いて私は思わず笑ってしまった。落ち込む内容が可愛すぎる。でも、そんなことで落ち込まなくてもいいのになあとも思う。
「家で大切に開けさせてもらうわ。何色かは開けてからのお楽しみね」
私がそう言うとクマはむくむくと元のサイズに戻りにこにこし始めた。本当な単純なクマだ。
「次はこれです!」
元気になったクマは今度は葉書を手渡してきた。葉書には「謹賀新年」と達筆な字で大きく書かれている。これが何かは聞かなくてもわかる。
「年賀状です!」
聞いていないのに答えが飛んできた。やっぱり年賀状だった。相変わらずクマはにこにこしている。今にも「明けましておめでとうございます!」と言い出しそうだ。
「ねえ、クマ、まだ11月よ?」
「知ってます。でもお正月は冬眠中なんで手渡したかったんです」
クマの年賀状には大きな大きな熊の絵が描いてあった。水墨画のように筆で描かれたかっこいい熊。これだと来年の干支は熊みたいだ。
「干支に熊はいたかしら?」
「いませんよ、熊は。熊は十二支の競争に参加したんですが家が遠くて間に合わなかったんです」
「そうなんだ、初めて聞いたわ」
「山の中ではとっても有名なお話なんですよ。嘘か本当かはわかりませんが」
そう話すクマは相変わらずにこにこしている。年賀状の絵と違ってとっても可愛らしい。
「年賀状、私も書くわね」
「本当ですか! ありがとうございます! 家のポストに入れておいてもらえると嬉しいです!」
クマは嬉しそうにそう言うとお茶をずずずと飲み干した。
「お茶のおかわりいかがですか?」
「いただくわ」
私もお茶を飲み干して湯呑みを手渡すと、クマは嬉しそうにお茶のおかわりを取りに行ってくれた。
「これどうぞ」
クマはお茶のおかわりを持ってきてくれた後、今度は私の手よりも少し大きな紙袋を渡してくれた。少し灰色みを帯びたしっかりした紙袋でとってもお洒落だ。
「今度はなあに?」
「ガトーショコラです」
「ガトーショコラ?」
「ホワイトデーのお返しです!」
クマは相変わらずにこにこしている。お鍋を食べ終えてからにこにこしっぱなしな気がする。にこにこしているところ悪いけれど私の頭の中には疑問符がたくさん浮かんでいる。
「私バレンタイン渡してないわよ? そもそもまだまだ先だし」
「バレンタインもホワイトデーも冬眠中なので先に渡しておこうかと思いまして」
クマはやっぱりにこにこしている。ずーっとにこにこしているクマを見ていると私の中のいたずら心が顔を出した。申し訳ないけれどちょっぴりいじわるしたくなった。
「私、バレンタインに何かあげるなんて言ったかしら?」
私は真顔でクマに言った。その瞬間クマの顔が固まった。一時停止ボタンを押したみたいにぴたっと。瞬きすらしない。
固まったクマを見つめていると徐々に顔が翳っていった。そして最後にぺたりとテーブルに突っ伏した。
「ごめんなさい勝手にもらえるかなと思ってました……」
今にも泣き出しそうな声をしている。思っていた以上にクマを落ち込ませてしまった。やり過ぎたかもしれない。
「冗談よ、冗談。何か考えるからこれはありがたくいただくわ」
「本当ですか!」
クマはがばっと起き上がるとまたにこにこしている。でも、ほっとしたのか気の抜けた顔をしている。なんだか間抜けな顔だ。
「バレンタインはどうしたらいい? ポストに入れておいたらいいかしら?」
「はい!」
クマは今日聞いた中で一番大きな声で返事をしてくれた。
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