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はじめましての一年目
飲み会の後のコーヒー
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「ありがとう。もう下ろしてくれて大丈夫よ」
クマがおんぶをしたままマンションの階段を登ろうとしたので私は少し怖くなった。大丈夫だとは思うけれど万が一この状態のまま階段から落ちたら……そう思うとかなり怖い。
「ゆり子さん、ゆり子さんのお母さんってどんな人なんですか?」
「何よ急に。どこにでもいそうな普通の人よ。いやそんなことどうでもいいの。どうして話を逸らすの! 早く下ろして」
クマは私の言うことを無視して階段を登り始めた。一段飛ばしで軽快に階段を登るクマ。クマの背中はかなり揺れている。本当に怖い。
「うーん、ビクトリー!」
階段を登り切った時、クマが両手を高く上げて叫んだ。大声を出すなと注意したかったができなかった。私は落下の恐怖から解放されてなんだかどっと疲れていた。
「ゆり子さん、誰かをおんぶしながら階段を登るのっていいトレーニングになる気がします」
「あら、そうなの? それはよかったわね」
私は特に何も考えずに返事をした。だって頭が全く回らないんだもの。今すぐベッドに潜り込みたい。あ、シャワーはちゃんとしなきゃな。化粧も落としたい。
そんなことを考えているとクマが鼻歌を歌いながらリズムよく階段を降り始めた。
「ちょっとちょっと、なんで階段を降りるのよ! せっかく上がってくれたのに」
私はびっくりしてクマの肩を叩いた。
「いやー、ちょっと楽しくて。ゆり子さんもう一回階段登ってもいいですか?」
「いいわけないじゃない。しかもなんで聞く前に階段を降りるのよ!」
「あ! 本当だ!」
「本当だ! じゃないわよもう」
思わずため息が出た。そしたら私の息は臭かった。それはもう私の口から出た息とは思えないぐらい酒臭かった。酒臭い息を匂った瞬間なんだか熱いコーヒーが飲みたくなった。
「じゃあ登りまーす」
クマが元気よく言った。
「ねえ、クマ。私コーヒーが飲みたい」
言ってみた。
「コーヒーですか?」
クマが少し驚きながら言った。
「クマの淹れたてブラックコーヒーが飲みたい」
今私が一番飲みたいものを言ってみた。
「いいですね、コーヒーブレイクにしましょう!」
そう言うとクマは私をおんぶしたままクマの部屋に向かった。このクマ、コーヒーブレイクって単語の意味を知ってるのかしら? 私は短い休憩じゃなくてゆっくりとコーヒーが飲みたいんだけど。少し引っかかったけれど黙っておくことにした。
この日、私はクマの部屋でお日様が顔を出すまでのんびりとコーヒーを飲ませてもらった。たまにクマが焼いてくれる分厚いホットケーキを食べながら。
クマがおんぶをしたままマンションの階段を登ろうとしたので私は少し怖くなった。大丈夫だとは思うけれど万が一この状態のまま階段から落ちたら……そう思うとかなり怖い。
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「何よ急に。どこにでもいそうな普通の人よ。いやそんなことどうでもいいの。どうして話を逸らすの! 早く下ろして」
クマは私の言うことを無視して階段を登り始めた。一段飛ばしで軽快に階段を登るクマ。クマの背中はかなり揺れている。本当に怖い。
「うーん、ビクトリー!」
階段を登り切った時、クマが両手を高く上げて叫んだ。大声を出すなと注意したかったができなかった。私は落下の恐怖から解放されてなんだかどっと疲れていた。
「ゆり子さん、誰かをおんぶしながら階段を登るのっていいトレーニングになる気がします」
「あら、そうなの? それはよかったわね」
私は特に何も考えずに返事をした。だって頭が全く回らないんだもの。今すぐベッドに潜り込みたい。あ、シャワーはちゃんとしなきゃな。化粧も落としたい。
そんなことを考えているとクマが鼻歌を歌いながらリズムよく階段を降り始めた。
「ちょっとちょっと、なんで階段を降りるのよ! せっかく上がってくれたのに」
私はびっくりしてクマの肩を叩いた。
「いやー、ちょっと楽しくて。ゆり子さんもう一回階段登ってもいいですか?」
「いいわけないじゃない。しかもなんで聞く前に階段を降りるのよ!」
「あ! 本当だ!」
「本当だ! じゃないわよもう」
思わずため息が出た。そしたら私の息は臭かった。それはもう私の口から出た息とは思えないぐらい酒臭かった。酒臭い息を匂った瞬間なんだか熱いコーヒーが飲みたくなった。
「じゃあ登りまーす」
クマが元気よく言った。
「ねえ、クマ。私コーヒーが飲みたい」
言ってみた。
「コーヒーですか?」
クマが少し驚きながら言った。
「クマの淹れたてブラックコーヒーが飲みたい」
今私が一番飲みたいものを言ってみた。
「いいですね、コーヒーブレイクにしましょう!」
そう言うとクマは私をおんぶしたままクマの部屋に向かった。このクマ、コーヒーブレイクって単語の意味を知ってるのかしら? 私は短い休憩じゃなくてゆっくりとコーヒーが飲みたいんだけど。少し引っかかったけれど黙っておくことにした。
この日、私はクマの部屋でお日様が顔を出すまでのんびりとコーヒーを飲ませてもらった。たまにクマが焼いてくれる分厚いホットケーキを食べながら。
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