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世界を敵に回しても
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「ねぇ、僕の為に全部捨ててよ、って言ったら出来る?」
通学路の分かれ道で言われた。こんな事を聞いてきたのは、高校を卒業しこれから同じ大学に通うことになった恋人かつ次期同居人。僕は彼の言葉を肯定するように頷いた。脊髄反射とか強迫観念とかそういうものは何一つ感じていなくて、唯々本音で頷いていた。
「出来るよ。」
彼に俺の気持ちをちゃんと分かってもらう為に、答えを口に出して言った。彼の為に全てを捨てる覚悟をしたわけではないけれど、そんな覚悟くらいならいつでも出来そうな気がした。
「ほんとに?」
彼の言葉は明るく、俺はそこで自分が茶化されているのだと気が付いた。彼は僕との関係を負い目に感じているのだと、てっきり思い込んでいたけれど。彼はしっかり嬉しそうな顔をしていた。
「ちなみに言うとね、僕も捨てれるよ。お前のためなら、全部。」
そう言ってくすくすと笑う彼に、俺は魔性を感じた。生涯彼には自分だけしかおらず、俺自身にも彼しかいないなんて、何と素敵な物語。俺は少しだけそう考えて、思考を振り払った。
「でさ、僕のためなら何でも捨てられるお前にお願いがあるんだけど…。」
そんな風に彼が言ってくるものだから、僕はyesの返事しか出来ないのだ。
通学路の分かれ道で言われた。こんな事を聞いてきたのは、高校を卒業しこれから同じ大学に通うことになった恋人かつ次期同居人。僕は彼の言葉を肯定するように頷いた。脊髄反射とか強迫観念とかそういうものは何一つ感じていなくて、唯々本音で頷いていた。
「出来るよ。」
彼に俺の気持ちをちゃんと分かってもらう為に、答えを口に出して言った。彼の為に全てを捨てる覚悟をしたわけではないけれど、そんな覚悟くらいならいつでも出来そうな気がした。
「ほんとに?」
彼の言葉は明るく、俺はそこで自分が茶化されているのだと気が付いた。彼は僕との関係を負い目に感じているのだと、てっきり思い込んでいたけれど。彼はしっかり嬉しそうな顔をしていた。
「ちなみに言うとね、僕も捨てれるよ。お前のためなら、全部。」
そう言ってくすくすと笑う彼に、俺は魔性を感じた。生涯彼には自分だけしかおらず、俺自身にも彼しかいないなんて、何と素敵な物語。俺は少しだけそう考えて、思考を振り払った。
「でさ、僕のためなら何でも捨てられるお前にお願いがあるんだけど…。」
そんな風に彼が言ってくるものだから、僕はyesの返事しか出来ないのだ。
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