49 / 50
精霊も家族
しおりを挟む
「――ナナさん、ネイルのコツ教えて」
「あたしもアタシも~」
「出来るだけ良い爪切り使って、ネイルファイルをしっかりとー・・・あと種類もあるから自分にあった・・・」
車に乗って30分、1時間は立ちそのあいだ精霊バナナ·ガールのナナと隣でお喋りに夢中の3女。そのさらに後ろにはポツンと末信が1人。
「着いたわよー!」
「ここって、山の上じゃん?」
「そーっ、パパがむか~しママどデートしたときに来たのん」
「んにゃ、どうしてここに」
ごもっともであるナナの質問。
「ナナちゃんはー、精霊だけど~箒に乗る魔法使いみたいにで飛んでいくから、山がいいかな~っと思って、えへっ」
最後のさいごまで相変わらずだなとナナは思いながら桜子が先に降りその後続くように外に出る。
外は夜とは言えずオレンジ色に染まる空と涼しい風が肌に触れ少しづつ夏の終りを感じた。
ここが末信パパママのデート場所かと柵に近づくと家々など風景が観えてカップルがいそうな雰囲気。
「・・・・さてと」
パチンッ☆
指鳴りで魔法使いみたいなバナナの帽子にバナナのデザインの服、右手にバナナ草。みんなが横一列に並ぶ真ん中のナナは前に出る。
「んじゃ、これでほんとうにお別れね・・・ママっちにパパっちホントッ、お世話になりました」
しっかりと今まで2ヶ月分の感謝のお辞儀。
「ほんとうに残念、短い間だったけどずっと家にいてもいいのに」
寂しい顔をする末信ママの肩に末信パパは手を置き慰める。
「ナナちゃんがいる2ヶ月間、本当に楽しかったよ」
いい夫婦、いや、いいパパとママだったな。
「ナナさんっ!」
「ナナお姉ちゃん」
「桜子ちゃん、千夏ちゃん・・・」
ガバっと両手で2人を抱きしめる。
「やだ、もう平気だと思ったのに涙が、ぐすっ・・・ナナさん、友だちになってくれてありがとう」
「あたしこそ、内気で純粋のちょっと負けず嫌いな桜子ちゃんに出会えてうれしかった、学校もオシャレがんばって」
「うん」
「ナナお姉ちゃん、あたし・・・」
「しっかりモノでガンバリ屋の千夏ちゃん、あんたはきっとい~い女の子になるよ、いや、なってよねぜったいに、今度会うときまでの約束だかんな」
「お姉ちゃ~ん、うっうっ・・・あたし・・・お姉ちゃんに負けないくらいがんばる」
「へへっ、望むところよ。でも無理はき・ん・も・つだからね」
いまは切なくても2人にはみえている未来。
話しを終えるとそっと優しい両の手は離れ千夏と桜子はゆっくりと後ろへと下がった。
そして最後には、
「末信・・・」
明らかにずっとテンションは低く、それは今ごろになってナナがいなくなるという寂しさがやってきた末信。
「ナナ」
「おう」
モジモジしていて何も口に出さない彼にやれやれとナナから話す。
「ったくしまらないわねえ~あんたは、あたしに色々言いたいことあるんじゃないの?」
「それはっ・・・その・・・はぁ~」
自分に呆れてため息、
すると腹を割ったのかナナの目をそらさずに見つめて口を動かす。
「ナナが現れてからこっちは沢山振りまわされたぜ。なんでも周りに関わるし、変なゲームとか、祭りとかよ・・・でもよ楽しかった」
「うん、あたしもあんたを見てて楽しかったぜ、青春しててさ」
「な、なんだよそれっ、こっちは真面目なんだぜ」
「ははっ、知ってるよ、末信は素直になれない君なのも、やるときはやるヤツってことも・・・」
「精霊界いっても、元気でな」
「もち、あんたも学校はもちろん・・・恋、ガンバれよ。いつまでも相手は待ってくれねえぞ」
「ナッ、ナナに言われなくてもわかってるつーのっ」
「わかってるなら、よしっ」
「ナナ・・・」
「じゃ、あたしはいくわね」
ナナは迷わずオレンジの方面へと向く。
足を一歩、
「ナナッ!」
と、末信がポケットから何かを出してナナの手に、それは御守り。
「おまもり?」
「千夏や桜子ちゃんに怒られて・・・さよならするナナに何も渡さないのはよくねえとおもって、よ」
やれやれという顔をしながら服に御守りを入れるナナ。
「だ、だめだった、かな?」
「まだまだね、次回はもっといい物をもらうわ」
ダメじゃない、嬉しいに決まってる。
「ったくよ、ナナ」
「まだなんかあんの?」
「・・・会いたくなったらさ、いつでも帰ってこいよ・・・その、お前は、ナナはもうオレたちの家族だから、さ」
くっせぇ~セリフ、でもいまは良い。
自分を見ていてくれる人たち、
それは家族であり友だち。
笑顔を忘れず黙ってバナナ草にまたがるナナは少しづつ浮いていく。
「・・・みんなありがとう、良いこといっぱいあったけどあたしの精霊人生で最高の想い出になって・・・最後に、チョモロハってギャル語で超もろハッピーって意味なんだけど、ほんとうにチョモロハだったぜ、じゃ~なっ!」
オレンジ色からいつの間にか赤紫色へと変わっていた空へとあっという間に見えなくなった精霊バナナ·ガールのナナ、けっして雫を落とすことなく森田家と桜子を残し去っていった。
地上に残された者たちは見守るもの、泣くものとに別れても明日からまた朝日がやってきて日常という日がやってくるのだ······。
「あー、いーいヤツらだったなー・・・ぐすっ・・・まったく、あ、そうだ、へへっこれが最後の魔法よ~!」
パチンッ☆
この日、いままでナナに関わったものの元にバナナが、
これが最後の精霊バナナ·ガールの贈り物······。
「あたしもアタシも~」
「出来るだけ良い爪切り使って、ネイルファイルをしっかりとー・・・あと種類もあるから自分にあった・・・」
車に乗って30分、1時間は立ちそのあいだ精霊バナナ·ガールのナナと隣でお喋りに夢中の3女。そのさらに後ろにはポツンと末信が1人。
「着いたわよー!」
「ここって、山の上じゃん?」
「そーっ、パパがむか~しママどデートしたときに来たのん」
「んにゃ、どうしてここに」
ごもっともであるナナの質問。
「ナナちゃんはー、精霊だけど~箒に乗る魔法使いみたいにで飛んでいくから、山がいいかな~っと思って、えへっ」
最後のさいごまで相変わらずだなとナナは思いながら桜子が先に降りその後続くように外に出る。
外は夜とは言えずオレンジ色に染まる空と涼しい風が肌に触れ少しづつ夏の終りを感じた。
ここが末信パパママのデート場所かと柵に近づくと家々など風景が観えてカップルがいそうな雰囲気。
「・・・・さてと」
パチンッ☆
指鳴りで魔法使いみたいなバナナの帽子にバナナのデザインの服、右手にバナナ草。みんなが横一列に並ぶ真ん中のナナは前に出る。
「んじゃ、これでほんとうにお別れね・・・ママっちにパパっちホントッ、お世話になりました」
しっかりと今まで2ヶ月分の感謝のお辞儀。
「ほんとうに残念、短い間だったけどずっと家にいてもいいのに」
寂しい顔をする末信ママの肩に末信パパは手を置き慰める。
「ナナちゃんがいる2ヶ月間、本当に楽しかったよ」
いい夫婦、いや、いいパパとママだったな。
「ナナさんっ!」
「ナナお姉ちゃん」
「桜子ちゃん、千夏ちゃん・・・」
ガバっと両手で2人を抱きしめる。
「やだ、もう平気だと思ったのに涙が、ぐすっ・・・ナナさん、友だちになってくれてありがとう」
「あたしこそ、内気で純粋のちょっと負けず嫌いな桜子ちゃんに出会えてうれしかった、学校もオシャレがんばって」
「うん」
「ナナお姉ちゃん、あたし・・・」
「しっかりモノでガンバリ屋の千夏ちゃん、あんたはきっとい~い女の子になるよ、いや、なってよねぜったいに、今度会うときまでの約束だかんな」
「お姉ちゃ~ん、うっうっ・・・あたし・・・お姉ちゃんに負けないくらいがんばる」
「へへっ、望むところよ。でも無理はき・ん・も・つだからね」
いまは切なくても2人にはみえている未来。
話しを終えるとそっと優しい両の手は離れ千夏と桜子はゆっくりと後ろへと下がった。
そして最後には、
「末信・・・」
明らかにずっとテンションは低く、それは今ごろになってナナがいなくなるという寂しさがやってきた末信。
「ナナ」
「おう」
モジモジしていて何も口に出さない彼にやれやれとナナから話す。
「ったくしまらないわねえ~あんたは、あたしに色々言いたいことあるんじゃないの?」
「それはっ・・・その・・・はぁ~」
自分に呆れてため息、
すると腹を割ったのかナナの目をそらさずに見つめて口を動かす。
「ナナが現れてからこっちは沢山振りまわされたぜ。なんでも周りに関わるし、変なゲームとか、祭りとかよ・・・でもよ楽しかった」
「うん、あたしもあんたを見てて楽しかったぜ、青春しててさ」
「な、なんだよそれっ、こっちは真面目なんだぜ」
「ははっ、知ってるよ、末信は素直になれない君なのも、やるときはやるヤツってことも・・・」
「精霊界いっても、元気でな」
「もち、あんたも学校はもちろん・・・恋、ガンバれよ。いつまでも相手は待ってくれねえぞ」
「ナッ、ナナに言われなくてもわかってるつーのっ」
「わかってるなら、よしっ」
「ナナ・・・」
「じゃ、あたしはいくわね」
ナナは迷わずオレンジの方面へと向く。
足を一歩、
「ナナッ!」
と、末信がポケットから何かを出してナナの手に、それは御守り。
「おまもり?」
「千夏や桜子ちゃんに怒られて・・・さよならするナナに何も渡さないのはよくねえとおもって、よ」
やれやれという顔をしながら服に御守りを入れるナナ。
「だ、だめだった、かな?」
「まだまだね、次回はもっといい物をもらうわ」
ダメじゃない、嬉しいに決まってる。
「ったくよ、ナナ」
「まだなんかあんの?」
「・・・会いたくなったらさ、いつでも帰ってこいよ・・・その、お前は、ナナはもうオレたちの家族だから、さ」
くっせぇ~セリフ、でもいまは良い。
自分を見ていてくれる人たち、
それは家族であり友だち。
笑顔を忘れず黙ってバナナ草にまたがるナナは少しづつ浮いていく。
「・・・みんなありがとう、良いこといっぱいあったけどあたしの精霊人生で最高の想い出になって・・・最後に、チョモロハってギャル語で超もろハッピーって意味なんだけど、ほんとうにチョモロハだったぜ、じゃ~なっ!」
オレンジ色からいつの間にか赤紫色へと変わっていた空へとあっという間に見えなくなった精霊バナナ·ガールのナナ、けっして雫を落とすことなく森田家と桜子を残し去っていった。
地上に残された者たちは見守るもの、泣くものとに別れても明日からまた朝日がやってきて日常という日がやってくるのだ······。
「あー、いーいヤツらだったなー・・・ぐすっ・・・まったく、あ、そうだ、へへっこれが最後の魔法よ~!」
パチンッ☆
この日、いままでナナに関わったものの元にバナナが、
これが最後の精霊バナナ·ガールの贈り物······。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
捨てられた第四王女は母国には戻らない
風見ゆうみ
恋愛
フラル王国には一人の王子と四人の王女がいた。第四王女は王家にとって災厄か幸運のどちらかだと古くから伝えられていた。
災厄とみなされた第四王女のミーリルは、七歳の時に国境近くの森の中で置き去りにされてしまう。
何とか隣国にたどり着き、警備兵によって保護されたミーリルは、彼女の境遇を気の毒に思ったジャルヌ辺境伯家に、ミリルとして迎え入れられる。
そんな中、ミーリルを捨てた王家には不幸なことばかり起こるようになる。ミーリルが幸運をもたらす娘だったと気づいた王家は、秘密裏にミーリルを捜し始めるが見つけることはできなかった。
それから八年後、フラル王国の第三王女がジャルヌ辺境伯家の嫡男のリディアスに、ミーリルの婚約者である公爵令息が第三王女に恋をする。
リディアスに大事にされているミーリルを憎く思った第三王女は、実の妹とは知らずにミーリルに接触しようとするのだが……。
スマイリング・プリンス
上津英
ライト文芸
福岡県福岡市博多区。福岡空港近くの障害者支援施設で働く青年佐古川歩は、カレーとスマホゲー大好きのオタクだった。
ある夏、下半身不随の中途障害者の少年(鴻野尚也)に出会う。すっかり塞ぎ込んでいる尚也を笑顔にしたくて、歩は「スマイリング・プリンス」と作戦名を名付けて尚也に寄り添い始める。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
セリフ&声劇台本
まぐろ首領
ライト文芸
自作のセリフ、声劇台本を集めました。
LIVE配信の際や、ボイス投稿の際にお使い下さい。
また、投稿する際に使われる方は、詳細などに
【台本(セリフ):詩乃冬姫】と記入していただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。
また、コメントに一言下されば喜びます。
随時更新していきます。
リクエスト、改善してほしいことなどありましたらコメントよろしくお願いします。
また、コメントは返信できない場合がございますのでご了承ください。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
新選組秘録―水鏡―
紫乃森統子
ライト文芸
新選組好きが高じて、マニアを自称する会津出身の高校生「高宮伊織」が、とある事故をきっかけに幕末の京へタイムスリップ。
幕末に生きる人々との出会い、現代では経験し得ない日常を通して戸惑いながらも少しずつ成長していく。
シリアス半分、コメディ半分。恋愛要素はほぼないです。
★「第6回ライト文芸大賞」で奨励賞を頂きました。まことにありがとうございます(*´人`*)
愛すべき不思議な家族
桐条京介
ライト文芸
高木春道は、見知らぬ女児にいきなり父親と間違えられる。
人違いだと対応してる最中に、女児――松島葉月の母親の和葉が現れる。
その松島和葉に、春道は結婚してほしいと頼まれる。
父親のいない女児についた嘘。いつか父親が迎えに来てくれる。
どんな人か問われた松島和葉が娘に示したのは、適当に選んだ写真にたまたま写っていたひとりの男。それこそが、高木春道だった。
家賃等の生活費の負担と毎月五万円のお小遣い。それが松島和葉の提示した条件だった。
互いに干渉はせず、浮気も自由。都合がよすぎる話に悩みながらも、最終的に春道は承諾する。
スタートした奇妙な家族生活。
葉月の虐め、和葉の父親との決別。和葉と葉月の血の繋がってない親子関係。
様々な出来事を経て、血の繋がりのなかった三人が本物の家族として、それぞれを心から愛するようになる。
※この作品は重複投稿作品です。
パソニフィ・コンフュージョン
沼蛙 ぽッチ & デブニ
ライト文芸
沼蛙 ぽッチ作。
◇擬人化女子高生、謎と混乱と青春の日々◇
(アルファ内限定コラボ☆創作仲間の青春B介さんにより一般漫画投稿されています。)
"擬人化"という現象で動物たちが人と変わらない姿に変わる世界。
独り気ままに高校生活を送る主人公は、何の動物の擬人化なのか"謎"の女子高生。
主人公の正体を暴きたいクラスメート、
ネコの擬人化ミトさんに、熱烈なファンの林さん。
彼女らに関わる事がきっかけで、教職員や先輩に保護者など、様々な人たちと交流が広がっていく。
彼らの想いや想像が交差し、劇変した主人公の日常生活。
そんな彼女が直面する、青春と混乱の物語の結末とは─
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる