上 下
22 / 50

またまた異世界へGO!

しおりを挟む
「――はい、スイカの種5個よ」

「ありがとうございます。では、門を開きますのでお通りください」

「じゃあ行こ~う」


 元気な精霊バナナ·ガールのナナの声の後ろには末信すえのぶに千夏と桜子ようこたちがいた。


「ふう、面倒いクエストだったぜ」

「でも、スイカの門番なんて可愛かったな」


 スイカ村のスイカたちの可愛さに笑顔の桜子、実は花火大会の帰りに彼女から前の続きでゲームをクリアしたいと思わぬ言葉が飛んできて次の日に再び異世界VRで来ていたのだ。


「ゲームは楽しいけどさ、りんご村からずっとクエスト続きだったもんね~」


 そう言う千夏、前回のりんご村から始めて、ぶどう村、みかん村、そしてスイカ村と順調にクエストをクリアしていたのだ。


「気を引き締めなさい、この先はいよいよボスなんだから、そのためにクエストクリアしてきたんだからね、モグッ」


 スイカ村の門番の先はいよいよこの大陸のボスへとたどり着くのでナナも皆に気合を入れるためバナナを食べて行く。


 するとさっそく、シャアーッと敵のスイカ3匹が現れた。


「あ~ら、フッフッフッ現れたわね敵スイカッ!」

「ナナッ、オレからいくぜ」

「あいよ」


 最初に攻めた戦士の末信により縦斬りでパカッときれいな赤いスイカが2つに、よっしゃ次と思ったら、


「いててててっ、いてぇ!」


 切られたスイカは種を飛ばし末信にダメージを与える。


「お兄ちゃんっ!」


 格闘家の千夏が兄の前に立ち、


「アチョチョチョチョ――」


 小さく細かい種をすべて手で掴んでいく。


「ったく~、威勢だけなんだから」


 他のスイカを相手にしながらシーフのナナは末信に呆れつつも、


「しょうがない、ヒーラー桜子ちゃん!」

「は、はいっ」


 足を指差し感づいた桜子は杖を光らせ何かを描く。


「・・・よいしょっと、できました。瞬足の魔法シューズッ!」


 描いた靴は4人の足を黄緑の光が包む。


「さぁーみんなっ、回りなさいっ!」


 ナナの合図で回転すると通常の回転からグルグルグル・・・キュイーンッと魔法の力が加わって高速回転となっていく。


「よっしゃっ、これなら種も効かねえぜ!」


 四方に別れスイカを囲み徐々に接近していく。



「くらいなさい、あたしたちのフォース~・・・スピンッ・アタァァァックゥゥゥ~ッ!」



 スイカァーッと敵スイカは全員が切り刻まれまた押しつぶされ、



 クルクルクルッ、と4人は回転を止め敵を倒した。が、


「どうよ、あたしの回転作戦・・・」

「さすが、ナナ・・・」


 バタンッバタンと回りすぎて倒れた4人には世界がパッパラパー、どうやらこの技にはリスクがあったようだ······。



「――あ~気持ち悪かった~」

 げっそりな末信と3人も気分が治まり立ち上がる。


「ナッハッハッ、まぁ倒したし良いじゃない」

「ナナァ~、少しはかんがえろよな~」

「黙らっしゃい、いきなり斬りかかってダメージ負った脳筋ちゃんが」

「な、脳筋だと~・・・あ、そうだ、あのさ」


 なにか思ったような顔の末信は、


「そろそろジョブ変えられないかな?」

「ああ~、そういえばそんなこと出来たの忘れてたわ」

「おいっ」突っ込みを入れる。千夏と桜子も興味があるということで、

「OK、んじゃスイカ村に戻りましょう」


 楽しそうにニヤつくナナはみんなとスイカ村に戻りジョブを変えることにする······。



「――この村はもう・・・ちくしょう魔王め」

 廃墟と化したこの村の名はメロン村、そこに1つのメロンがなにやら悔しがっていた。


「オレに力があれば、ん?」


「話を詳しく聞かせてくれないかしら、メロンちゃん」


 目の前に謎のギャルと3人の姿が、メロンは只者じゃないと気づく。
 4人を地下の隠れ家に案内するとそこには数人、いや数個の生きたメロンたち。


「――魔王ってゴリラ?」

「そうだよ、突然とこの村にやってきたゴリラとサルの軍団なんだ。そいつらがオレたちのすみかを壊して仲間のメロンは容赦なく食べられた」


 驚く末信と酷いとうなだれる桜子。


「話し合う気もなく次から次へと、このままだとスイカ村にも奴らは向かう」

「それはけしからん、ねっ、ナナお姉ちゃん」


 モサモサ髭の千夏も許せないとナナに問う。腕を組み目を閉じてナナは、


「もーちーろーんーよっ、このまま無慈悲ゴリラ魔王の思い通りなんかさせないんだから!」


 立ち上がった4人はメロンに案内されると、そこはメロン村の北を出てすぐに城がある、魔王城だ。


「んじゃメロンちゃんはここで待っててね」

「え、いいのかよ」

「ええ、戦いはあたしたちの役目だから、それにの力も試したいし、ね?」


 元気な3人の返事とともにメロンをおいて魔王城の扉を開いていく······。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな
ライト文芸
『過去にしがらみのある少年少女が、それでも前を向き、成長する物語』高校1年の初夏、明日歌は友達に連れられライブハウスを訪れた。そこで人気のバンド、midnightと出会う。シスコンのボーカル、過去に家族を捨てたギタリスト、友人との約束を守り続けるベーシスト、過去に自分を殺したドラマー。そして、あの日から進めないままの明日歌。少年少女の過去と現在が絡み合い、歯車が動き出す。僕らはそれでも、光を探さずにはいられなかったんだ。

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

【完結】生活を隠す私と、存在を隠す彼

細木あすか(休止中)
恋愛
ド派手な見た目をした鈴木梓は、その姿とは真逆の苦労人。 母は週6で働くエンジニア、父はとある事情から居ない家庭で、小学2年生の双子の面倒を見る毎日を送っていた。 炊事洗濯、買い物に勉強。両親のお金で通わせてもらっているという自覚があるため、宿題もテストも気は抜けない。もちろん、双子の勉強を見ることも。 高校では、ひたすらに苦労人の姿を隠し友達と過ごす日々を送っている彼女。元々面倒見が良いため、人間関係は良好だった。 ……ただし、見た目がギャルそのものなので生活指導の先生には睨まれっぱなし!梓にとって、それが日常であり、楽しみでもあった。 そんな生活の中、彼女はとある男の子の存在を知る。 「はい、マシロ高校2年の青葉です」 その男の子とは、ド派手な見た目をひたすら隠して学校生活を送っている青葉という青年。地味で今まで存在にすら気づかなかったクラスメイトとの出会いを境に、彼女の高校生活が一変する。 「何かに依存すること」をテーマにした、とある女子高生の日常を描く青春ストーリー。 【登場人物】 ・鈴木 梓:主人公。結構大雑把な性格。でも、苦労人。 ・篠原マリ:主人公の親友。よく一緒にいる。不真面目だが憎めない性格。髪型やメイクもお揃いにするほど仲が良い。 ・由利:主人公の友達。読書が趣味。1年からクラスが同じ。とにかく胸が大きい。 ・川久保ふみか:主人公の友達。カメラが好き。お祭りや争い事なども好きらしい。クール系女子。 ・詩織:主人公の友達。女子軟式テニス部。やると決めたことはとことん突き詰めてやるタイプ。 ・青葉:謎すぎるクラスメイト。梓いわく「足が細すぎる」らしい。 ・橋下奏:芸術科専攻の芸能人。一度懐に入れた仲間は、周囲を威嚇してでも護りたいという強い一面がある。基本はさっぱりとした性格。 【過去キャッチコピー】 ・ギャルメイクの下は、スッピン髪ボサ母ジャージ。それでも貴方は私と気づく ※1話2000字以下

何故か正妻になった男の僕。

selen
BL
『側妻になった男の僕。』の続きです(⌒▽⌒) blさいこう✩.*˚主従らぶさいこう✩.*˚✩.*˚

男女差別を禁止したら国が滅びました。

ノ木瀬 優
ライト文芸
『性別による差別を禁止する』  新たに施行された法律により、人々の生活は大きく変化していき、最終的には…………。 ※本作は、フィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

18禁NTR鬱ゲーの裏ボス最強悪役貴族に転生したのでスローライフを楽しんでいたら、ヒロイン達が奴隷としてやって来たので幸せにすることにした

田中又雄
ファンタジー
『異世界少女を歪ませたい』はエロゲー+MMORPGの要素も入った神ゲーであった。 しかし、NTR鬱ゲーであるためENDはいつも目を覆いたくなるものばかりであった。 そんなある日、裏ボスの悪役貴族として転生したわけだが...俺は悪役貴族として動く気はない。 そう思っていたのに、そこに奴隷として現れたのは今作のヒロイン達。 なので、酷い目にあってきた彼女達を精一杯愛し、幸せなトゥルーエンドに導くことに決めた。 あらすじを読んでいただきありがとうございます。 併せて、本作品についてはYouTubeで動画を投稿しております。 より、作品に没入できるようつくっているものですので、よければ見ていただければ幸いです!

小説家訓練~短編集~

ライト文芸
 作者が目的の小説を書き上げるために様々なテーマを決め、テーマに沿って短い話を作り、技術を磨く。目標は一週間に一つ。

俺は妹のおっπより数学の方が好きだ

のるむ
ライト文芸
自称数学者の陰キャ大学生、河合裕一には17歳女子高生でクラスのアイドル的な妹がいる。 河合ひなた。陰キャの俺とは対象的なあいつは、 エロすぎてけしからんしだらしない、って思っているが誰よりも大切な妹だ。 そんなある日、俺は何食わぬ顔で妹のパンツをせしめるために部屋に潜入したのだが、勉強机にあった数学テストの答案用紙に絶句する・・・

処理中です...