夏にバナナから出てきたヤツは『2ヶ月間すませてください』と言うギャルの精霊バナナ·ガールだった。

ヒムネ

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「んじゃ早速、末信すえのぶっ、ゴニョゴニョゴニョッ」

「わかった!」


 何やら耳元で精霊バナナ·ガールで今はシーフのナナは末信に伝えて、


「おりゃー!」


 クマに突進するのはナナッ、鋭いツメで引き裂こうと腕を上げた。


「グワオォ!」

「なんちゃってー」


 ナイフをしまいクマのツメをスライディングで避けた。クマがギロリッとナナの後頭部を捉えた瞬間、


 ドンッ、


「へっ、どうだ!」

 末信がクマの頭に戦士の剛腕での木の剣で思いっきり叩いたのだ。だがまだ余裕なクマに今度は勇気をもらったのか格闘家千夏が動く。


「チョアー!」

「千夏っ、くるなっ!」


 クマは千夏をみる。しかし千夏はすでにナナを見ていてウインクと親指をクイックイッとクマに攻撃のサインと読む。
 当然クマは反撃に右腕を引いて勢いを付けようとしているようだ。


「さっせないよ~!」


 ナナはすぐ後ろ飛びで再び接近する。格闘家の千夏を離さないクマの目が突如にこやかに、


「コチョコチョコチョコチョ!」


「グワッヘッへ、グワッヘッへ」


 そのスキを逃すまいと飛び上がり、


「エイッ!」


 蹴りをいれそのままクマの顔に乗っかるとさらに、


「目潰し、チョイッ」


「グアァァァッ!」


 痛みと怒りで雄叫びを上げくすぐったナナの手を掴む。


「あ、ヤバッ・・・ニャニャー!」


 掴んだあと両手でナナをぐるんぐるんと一緒に回るクマは、


「グウゥゥ・・・ガオォォォー!」


「いやぁぁぁー」


 遠心力で遠くの彼方へ投げ飛ばした。


「ナナッ!」

「ナナさん!」

「お姉ちゃん!」


 3人は大黒柱を失い、残りで戦わなければならない。



 厄介者をすっ飛ばしニヤつくクマはゆっくりと3人に近づいて、ウォッチをポチッとフキダシを出す。


「『邪魔者は消えた、覚悟してもらおうか』だと、ふざけやがって」

「ど、どうしよう末信君、逃げよう!」

「いや、ボスからは逃げられない」


 ウォッチで確認すると逃走率0パーセント。これでは大切な人を妹を傷つけてしまうと考えると末信の胸の中で覚悟を決まる。


桜子ようこちゃんは精神尽きるまでオレを回復してくれ」

「末信くん戦うの?」

「大丈夫、オレは男で戦士だから一撃ではやられない、攻撃をオレが受けたら桜子ちゃんの回復、また受けたら回復を繰り返してくれ」


 不安な顔で黙ってうなずく桜子だった。


「お兄ちゃん、あたしは?」

「千夏は何もするな」

「そんな~」

「クマに狙われたら、格闘家じゃ一撃だから」


 頬を膨らませるがどうしようもない。と千夏のウォッチが何やらピピピッと音がなったので覗いてみる。


「回復はまかせたっ、いくぜーっ!」

「うん、末信君っ」


 大切な人たちを守るため戦士末信による決死の戦いが始まったのだ······。



「エッホエッホ」

 投げ飛ばされたナナは3人の元へと戻るために走っていた。


「あんのクマ、よくもあたしを投げ飛ばしてくれたわね」


 目にモノを見せてやると闘志メラメラとウォーキング、やられたらやり返すのがナナなのだ。

 しばらくするとクマの姿が、


「よっしと、あっ」


 ナナがつい声を出したのは辛そうなで倒れている戦士の末信と回復が切れて杖をによりかかっているヒーラーの桜子、そしてもっとも驚いたのは、格闘家の千夏が1人クマと対峙していたこと。


「どうなってるのこれ?」


「ナナ」

「ナナ、さん」


「グオワァァッ!」


 襲いかかるクマのツメ攻撃を、ヒラリと避けた千夏はそのあと攻撃を仕掛けていた。


 実は先ほど千夏にウォッチがなったのはピンチチャンスで回避力が超大幅にアップするピンチアビリティ『雨粒の舞』を発動させていたのだ。


「グゥ、ガァルァー!」


「フッ!」どんな攻撃も避けることが出来る『雨粒の舞』は一見無敵のように見えるが、


「はぁはぁはぁっ」


 大量の汗とともに千夏の体力を消耗し続けている。


「千夏、くそ、身体が動かね」末信のライフは5。


「グゥ、ハァ、ハァ」


「あ、クマさんが疲れてます!」必死に伝える桜子の言葉にナナは行けるとふんで、


「うりゃーっ!」とクマに飛びかかる。

 
 ガシッ、クマの両目を隠す目隠しだ。


「お、おねえちゃん、はぁ、はぁ」


 言葉を口にしたあと膝をついてしまう千夏、もう彼女には反撃する力は残っていなかった。

 なので、


「末信っ、止めを!」


「ナナ、くっ、ダメだもう身体が」

「ナナさん、末信君はもう」


「ガオォォォ!」両手を取ろうと暴れるがクマも疲れて動きが鈍い。それでもナナは離さずとニヤリと末信を見て、


「ここに、なんのためにきたの。暇つぶし、遊ぶため、違うでしょ、男をみせろっ、末信っ!」


「ナナ、くっぐぐっ」


 そうだ桜子ちゃんに、と立ち上がる。



「あたしを信じて全力で突っ込めっ!」



「くう、うあぁぁぁー!」



「末信君!」

「お兄ちゃん!」



 もしこの一撃で倒れなければ殺られると覚悟を決めた男は全身全霊を込めてクマの頭に木の剣で、



 ドンッ、と今日一番に響く。



 木々の鳥が驚いて飛んでいくと、クマはその場で消えた。



「「やったぁぁぁーっ!」」



 4人は声を高らかと上げ喜び、ようやくボスを倒したのだった······。



「偉かったわよ千夏ちゃん、最初は怖がってたのに」

「守れるのはあたししかいないって思ったの」

「よしよし」


 頭を優しく撫でながらウインクして2人は先に帰ると伝え、末信と桜子だけに。


「じゃあ、あたしたちも」


「あ、あの桜子ちゃん」

「なに?」


「ギャルになったときアホとか言って、ご、ごめんなさい!」


 深々と頭を下げた末信。


「・・・末信君」


「オレ・・・照れ屋でさ、人を褒めるのも苦手で・・・その、わざと悪く言っちまって距離を遠ざけるっていうか」


 下を向き眉尻が下がっている彼をじっと見つめる桜子は、


「ギャルの私って、そんなに似合ってなかった?」


「ぜっ、ぜんぜんそんなことないっ、び、美人ていうか、か、かわいかったっ」



「今日の末信君みてやるときはやるいい人だってわかったし・・・許してあげる」


「あ、ありがとう桜子ちゃんっ!」



「今度からはちゃんと言葉には気をつけてね」


「うんうん、気をつける~っ!」


 こうしてナナの異世界VRで好感度上げ上げ作戦で末信と桜子はもとどおりの友だちに戻ったのだった······。
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