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勇者のメッセージ
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あたいらにも竜神ブラック・ドラゴンが誰かとやり取りする声が聞こえてきた。
『……その声はデュオン、竜神か』
「ひさしいなブリッド」
『なんのようだ、貴様から話し掛けてくるとは……気持ち悪い』
「フンッ、今はこっちに珍しい客人が来てな」
『客人……ほう、それはもしや魔族の女か?』
「フッ、気配を感じなかったのはやはりそちらにいたからか……ネモネアよ」
「竜神様……いったい……」
『主がネモネアか……』
あたいに話しかけてきたのは竜神じゃない、どうやら虎の神様みたい。
「あたいがネモネア、です……」
『我は虎神ホワイト・タイガー、異世界カザンを管理する神』
今度はカザンっていう異世界があるみたい。あたいは生きるのに必死で魔性の森にずっと居座ってたのに、世界ってあたいが思うよりも遥かに広大なんだな。
『ネモネア、どうやら間違いないようだ』
「な、なにが……」
『勇者アヴエロからの言葉を代わりに伝えよう』
「アッ、アヴエロからっ?」
『勇者アヴエロとその仲間は……』
いまアヴエロと仲間たちは新しい力を得るための特訓をしている。それは魔王を倒すためでもあり魔界から抜けるため、って。
「特訓して、魔王を……」
アヴエロらしい、きっと魔界の人々を助けて周ってたんだろうな。自然と笑みがこぼれてくる。死んだとかじゃなくてホッと安心して力も抜けてくる。
「よかった……アヴエロ」
『勇者アヴエロに世界の事を話したとき、竜神のところにネモネアが来る可能性を我に話していた』
「えっ……」
『ネモネアが目を覚ましたら、じっとしてられないと思って、おそらく……いや必ず竜神様の元に辿り着くでしょうね。ですから――。ネモネアも竜神様の竜力を極めてほしい』
「竜、力……」
『ネモネア、君を信じている……言葉は伝えた、あとは自身で決めるがよい』
「あ、虎神様」
『ツオーゴも物騒になってきたな竜神よ』
「ああ、フラデーアもどうなるか……」
『で、さらば……』
伝言を言い終えた虎神ホワイト・タイガーは穏やかであり気高い声で消えた。アヴエロが信じてくれているなら、その竜力ってやつを会得しないわけにはいかない。あたいの中の心配ごと徐々に消え、また力が湧いてきた。
「竜神ブラック・ドラゴン、勇者アヴエロが倒そうとしている魔王とはなんだ」
「奴の名は魔王シャンイレール、魔王ルモールより若く、強い力を感じる」
あの魔王ルモールは確かに髭をはやしておじいさんみたいだったけど、あたいに魔力を注いで化けさせるほどの力があった。そのルモールより強い魔王シャンイレール。
「魔王シャンイレール、そいつが魔王ルモールを超えるのか……」
「勇者アヴエロと仲間たちが帰らないのにはそういう理由があったのですね」
「アヴエロだけに戦わせる訳にはいかない……そうだ竜神様、竜力って?」
「竜力とは、魔法の力の魔力のように、人の中にある竜の力のこと」
「じゃあ、あたいたちもアヴエロみたいに竜力を極めることは出来るんだ」
「そうだな……フフッ、さっそく始めるか?」
「ちょっと仲間と話します」
特訓ならすぐに始められる。頭を整理して、もしここでアヴエロにあっても足手まといで特訓の邪魔になるだけ。なら信じてくれているアヴエロの為にも何としても竜力を極めた方がいい。
「エメールとモントはどうなの?」
「ソレイル姉さんはのことだから、勇者の一員としてその竜力を一緒に会得するだろう。だから、あたしも特訓には参加させてもらう」
「……もう逃げようなんて思いません。プリンセスたちを護るために特訓させてもらいます」
あたしたちに迷いはない。よし、それじゃあと思ったら、口を開いたモント。
「……でも、ちょっと寄り道をさせてほしい」
「よりみちって、なんなのモント?」
「2日、3日の間だけでいい、前から考えていた事がある。ネモネアとエメールあたしに力を貸してくれ」
モントの考えで特訓は竜神様と話して3日後という事で、カーゼ先生とブリーズも連れて地上に戻った。最後にカーゼ先生とブリーズから『夢をありがとう』と笑顔でお別れをした。トアースで研究をしたいが魔王シャンイレールの事が治まるまでは自分の世界ツオーゴを見守りたいという。
そうしてモントの頼みも終わって再び竜神ブラック・ドラゴンの元に……。
「――ではお主たち3人で特訓を始めるぞ」
竜神様の黄色い眼がキラリと光った瞬間だった。なんとあたいたちは竜の姿に。しかも大きくさは人のときと変わらず。
「な、なんだこの姿は!」
「竜力を身につけるためにはまず竜になって竜力を目覚めさせなければならない」
「……手足は短いし……尻尾はあった、ふ~んこんな感じて動かすんだ」
尻尾って手足を動かす感覚と何ら変わらなかった。
「くう~っ!」
羽をパタパタとさせると僅かに浮くけど疲れる。火もうまく出せないしこれは大変そう。
「いきなりは無理であろう、竜騎士たちと特訓してコツを掴むのだ」
「竜騎士だって?」
そこに現れたのは3人の女性は竜神様の前に立つ、人の姿ではあるが肌の色が青くモントのように鎧を来て、武器に槍を持ってる。
「私たちは竜騎士団、私は長女のアルビス」
「同じく次女のサファエルです」
「同じく三女のミンシーで~す」
「この人たちと、どれくらい特訓するんですか?」
「そうだな竜力を目覚めさせるだけなら、一月だ」
「え、一月って……」
「特訓はツオーゴと時間経過が遅い場所。心配無用だ」
「わかった、ありがとう竜神様」
あたいらは3匹の竜となって異世界トアースにて竜力を身につけるべくの特訓をすることとなったんだ。絶対に極めてアヴエロに会ってみせる……。
『……その声はデュオン、竜神か』
「ひさしいなブリッド」
『なんのようだ、貴様から話し掛けてくるとは……気持ち悪い』
「フンッ、今はこっちに珍しい客人が来てな」
『客人……ほう、それはもしや魔族の女か?』
「フッ、気配を感じなかったのはやはりそちらにいたからか……ネモネアよ」
「竜神様……いったい……」
『主がネモネアか……』
あたいに話しかけてきたのは竜神じゃない、どうやら虎の神様みたい。
「あたいがネモネア、です……」
『我は虎神ホワイト・タイガー、異世界カザンを管理する神』
今度はカザンっていう異世界があるみたい。あたいは生きるのに必死で魔性の森にずっと居座ってたのに、世界ってあたいが思うよりも遥かに広大なんだな。
『ネモネア、どうやら間違いないようだ』
「な、なにが……」
『勇者アヴエロからの言葉を代わりに伝えよう』
「アッ、アヴエロからっ?」
『勇者アヴエロとその仲間は……』
いまアヴエロと仲間たちは新しい力を得るための特訓をしている。それは魔王を倒すためでもあり魔界から抜けるため、って。
「特訓して、魔王を……」
アヴエロらしい、きっと魔界の人々を助けて周ってたんだろうな。自然と笑みがこぼれてくる。死んだとかじゃなくてホッと安心して力も抜けてくる。
「よかった……アヴエロ」
『勇者アヴエロに世界の事を話したとき、竜神のところにネモネアが来る可能性を我に話していた』
「えっ……」
『ネモネアが目を覚ましたら、じっとしてられないと思って、おそらく……いや必ず竜神様の元に辿り着くでしょうね。ですから――。ネモネアも竜神様の竜力を極めてほしい』
「竜、力……」
『ネモネア、君を信じている……言葉は伝えた、あとは自身で決めるがよい』
「あ、虎神様」
『ツオーゴも物騒になってきたな竜神よ』
「ああ、フラデーアもどうなるか……」
『で、さらば……』
伝言を言い終えた虎神ホワイト・タイガーは穏やかであり気高い声で消えた。アヴエロが信じてくれているなら、その竜力ってやつを会得しないわけにはいかない。あたいの中の心配ごと徐々に消え、また力が湧いてきた。
「竜神ブラック・ドラゴン、勇者アヴエロが倒そうとしている魔王とはなんだ」
「奴の名は魔王シャンイレール、魔王ルモールより若く、強い力を感じる」
あの魔王ルモールは確かに髭をはやしておじいさんみたいだったけど、あたいに魔力を注いで化けさせるほどの力があった。そのルモールより強い魔王シャンイレール。
「魔王シャンイレール、そいつが魔王ルモールを超えるのか……」
「勇者アヴエロと仲間たちが帰らないのにはそういう理由があったのですね」
「アヴエロだけに戦わせる訳にはいかない……そうだ竜神様、竜力って?」
「竜力とは、魔法の力の魔力のように、人の中にある竜の力のこと」
「じゃあ、あたいたちもアヴエロみたいに竜力を極めることは出来るんだ」
「そうだな……フフッ、さっそく始めるか?」
「ちょっと仲間と話します」
特訓ならすぐに始められる。頭を整理して、もしここでアヴエロにあっても足手まといで特訓の邪魔になるだけ。なら信じてくれているアヴエロの為にも何としても竜力を極めた方がいい。
「エメールとモントはどうなの?」
「ソレイル姉さんはのことだから、勇者の一員としてその竜力を一緒に会得するだろう。だから、あたしも特訓には参加させてもらう」
「……もう逃げようなんて思いません。プリンセスたちを護るために特訓させてもらいます」
あたしたちに迷いはない。よし、それじゃあと思ったら、口を開いたモント。
「……でも、ちょっと寄り道をさせてほしい」
「よりみちって、なんなのモント?」
「2日、3日の間だけでいい、前から考えていた事がある。ネモネアとエメールあたしに力を貸してくれ」
モントの考えで特訓は竜神様と話して3日後という事で、カーゼ先生とブリーズも連れて地上に戻った。最後にカーゼ先生とブリーズから『夢をありがとう』と笑顔でお別れをした。トアースで研究をしたいが魔王シャンイレールの事が治まるまでは自分の世界ツオーゴを見守りたいという。
そうしてモントの頼みも終わって再び竜神ブラック・ドラゴンの元に……。
「――ではお主たち3人で特訓を始めるぞ」
竜神様の黄色い眼がキラリと光った瞬間だった。なんとあたいたちは竜の姿に。しかも大きくさは人のときと変わらず。
「な、なんだこの姿は!」
「竜力を身につけるためにはまず竜になって竜力を目覚めさせなければならない」
「……手足は短いし……尻尾はあった、ふ~んこんな感じて動かすんだ」
尻尾って手足を動かす感覚と何ら変わらなかった。
「くう~っ!」
羽をパタパタとさせると僅かに浮くけど疲れる。火もうまく出せないしこれは大変そう。
「いきなりは無理であろう、竜騎士たちと特訓してコツを掴むのだ」
「竜騎士だって?」
そこに現れたのは3人の女性は竜神様の前に立つ、人の姿ではあるが肌の色が青くモントのように鎧を来て、武器に槍を持ってる。
「私たちは竜騎士団、私は長女のアルビス」
「同じく次女のサファエルです」
「同じく三女のミンシーで~す」
「この人たちと、どれくらい特訓するんですか?」
「そうだな竜力を目覚めさせるだけなら、一月だ」
「え、一月って……」
「特訓はツオーゴと時間経過が遅い場所。心配無用だ」
「わかった、ありがとう竜神様」
あたいらは3匹の竜となって異世界トアースにて竜力を身につけるべくの特訓をすることとなったんだ。絶対に極めてアヴエロに会ってみせる……。
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