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満ち足りる心
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「「――ファイアロードッ!」」
互いの炎が相手に向かって真ん中で衝突する。
「師匠……」
「ウォーターロード!」
「ウォーターロード」
今度は両手より勢いよく放出された水同士がぶつかり、水滴が洞窟内をキラキラと弾け飛ぶ。
「また逃げ出さないのか」
「それは……」
「「エメールッ!」」
「ネモネア・プリンセス、モント・プリンセス!」
「なんだ、あの老人は」
「エメールの大事な人なの?」
「……あの方は私の、師匠です」
師匠なんていたんだ、でもエメールの顔はいつもの様な元気がない。眉尻が下がっていて思い詰めているような。
「サンダーレディ・バグッ」
エメールと話してると偽師匠はあたいとモントに虫の形をした雷魔法を放ってきた。
「しまったっ」
「サンダー・ウィップ」
エメールが魔法の雷ムチで虫3匹を叩き落とす。
「すまない、エメール」
「いえ、モント・プリンセス」
「お前はワシには勝てない」
「師匠」
「そしてまた逃げ出す……必ず」
守ってくれたエメールがまた下を向いて思い詰めてる。いったい何が、逃げるってそんなはずはない。
「エメール、何か言い返して」
「ネモネア・プリンセス」
「言い返さないと聞いてるこっちがムカつくから」
「また逃げ出すとはなんだエメール」
「……言葉のとおり、私は逃げたんです。師匠から」
「シー・ケイブ」
「まずいっ、プリンセスッ、この洞窟から逃げてっ!」
「え、なに?」
「早くっ!」
わけが分からないけどエメールを信じてあたいとモントは走ろうとした。だが足に水、さらに脚、腹部、胸と上がっていって洞窟内が水に埋まってしまう。
「うっ……」
息を止める。モントは急いで出口をと手を差し伸べてくれるも、突然と身体に痺れが。
「ブクブクッ、があぁ」
雷の魔法だ。
自由はきかないし、息も苦しくて身体も痛い。まずい、まずいで頭の中はいっぱい。モントも苦しそうだし、このままじゃ死んじゃう。
くうきの、空気の魔法を。
するとポッと出た空気の魔法バブル。それをあたいは咄嗟にモントに、それと同時にあたいは意識を失ってしまう……。
「がはっ、ハァ、ハァ、ハァ……あれ、なんで?」
「ハァ、ハァ、無事だったか、はぁ~」
「モント、どうやって」
目の前には水が、どうやら洞窟の奥の方までは魔法が届かないようだ。でもどうやってここまで運んできたのかとモントを見ると脚がなく尾びれ。
「えっ、モントって、人魚?」
「ちがうっ……とっさに泳げる魔法を唱えたら、こうなった」
真面目なモントが人魚の姿、ギャップが面白くてクスッとしてしまう。
「プハッ、ハァ、ハァ、プリンセスたち無事でよかっです」
「モントのおかげで助かった……なあエメール、どうして逃げたの?」
「……満足してしまったんです。修行は厳しく、でと代わりにその効果はあって順調に魔法を習得していきました。ですが何年経っても終わらぬ厳しい修行に、ふと思ってしまったんです『もうオレは強い、十分だっ』……と」
「それで、師匠から逃げ出したのか」
「はいそうです、モント・プリンセス……ですが」
話していると途中に水はなくなっていく。
「よし水が引いた……って、なんなのこれ!」
「沈んでるぞネモネアッ、こ、これは!」
「ぐっ、これはボトムレス・スワンプッ、底なし沼の魔法です!」
今度は足が地面に沈んでいってしまう。どんどん地面に飲み込まれていくあたいら、今度は水じゃないから頭まで埋まった本当に終わりだ。
「プリンセスッ、御手をっ……ウイングッ!」
慌てるあたいらをエメールは手を持って浮く。そのまま洞窟の中を出ると崩れた魔王の城の近くだと分かった。
「助かったけど……」
「どうする、エメールの師匠を倒さないと水晶花は手に入らないぞ」
どうにかするには、やっぱりエメールに勝ってもらうしかない。エメールは黙ってあたいとモントを地上降ろす。
「ここで待っていてください」
「エメール、あたいたちも手伝おうか」
「いえ、大丈夫です。水晶花は必ず手に入れてみせますから」
そう言って再び闇の穴の中へと吸い込まれるように入っていった。
「――逃げないのか、なら殺す」
「オレ1人の話しではないんですよ、今は。だから、逃げるわけにはいきません」
「アース・ソーン」
「……今は、旅を重ね自分自身の未熟差を分かることができたんですよ、師匠!」
「――うわっと、壁に刺されるとこだった」
あたいはモントを外で待ってもらいエメールを追ってきた。でも気をつけないと敵に気づかれてしまう。
「けりをつけます……ファイア・ウィップ……トルネード」
剣に纏う炎が鞭となり偽師匠に向かっていく。
「アイス・ウォール」
相手は自身の目の前に氷の壁を出すも、エメールの炎の鞭が偽師匠を囲み渦とかす。
「いまだウイングッ」
羽を広げ高く飛び上がったエメールが炎の渦の中へ。
「エメール……死ぬな」
「ファイア・ニード……」
「杖は使わせない……とどめだぁーっ!」
杖をファイア・ウィップで弾かれた偽師匠、唱えていた魔法が消えるも炎の渦に囲まれて逃げ場がない。どうするかを迷う一瞬の間に、エメールが偽師匠を斬る。
「……本物の師匠には、謝らないといけませんね」
「エク……」
「ん……」
「エクスプロージョン」
洞窟内は爆発した……。
「地震っ、まさか洞窟内で、ネモネアッ、エメールッ!」
互いの炎が相手に向かって真ん中で衝突する。
「師匠……」
「ウォーターロード!」
「ウォーターロード」
今度は両手より勢いよく放出された水同士がぶつかり、水滴が洞窟内をキラキラと弾け飛ぶ。
「また逃げ出さないのか」
「それは……」
「「エメールッ!」」
「ネモネア・プリンセス、モント・プリンセス!」
「なんだ、あの老人は」
「エメールの大事な人なの?」
「……あの方は私の、師匠です」
師匠なんていたんだ、でもエメールの顔はいつもの様な元気がない。眉尻が下がっていて思い詰めているような。
「サンダーレディ・バグッ」
エメールと話してると偽師匠はあたいとモントに虫の形をした雷魔法を放ってきた。
「しまったっ」
「サンダー・ウィップ」
エメールが魔法の雷ムチで虫3匹を叩き落とす。
「すまない、エメール」
「いえ、モント・プリンセス」
「お前はワシには勝てない」
「師匠」
「そしてまた逃げ出す……必ず」
守ってくれたエメールがまた下を向いて思い詰めてる。いったい何が、逃げるってそんなはずはない。
「エメール、何か言い返して」
「ネモネア・プリンセス」
「言い返さないと聞いてるこっちがムカつくから」
「また逃げ出すとはなんだエメール」
「……言葉のとおり、私は逃げたんです。師匠から」
「シー・ケイブ」
「まずいっ、プリンセスッ、この洞窟から逃げてっ!」
「え、なに?」
「早くっ!」
わけが分からないけどエメールを信じてあたいとモントは走ろうとした。だが足に水、さらに脚、腹部、胸と上がっていって洞窟内が水に埋まってしまう。
「うっ……」
息を止める。モントは急いで出口をと手を差し伸べてくれるも、突然と身体に痺れが。
「ブクブクッ、があぁ」
雷の魔法だ。
自由はきかないし、息も苦しくて身体も痛い。まずい、まずいで頭の中はいっぱい。モントも苦しそうだし、このままじゃ死んじゃう。
くうきの、空気の魔法を。
するとポッと出た空気の魔法バブル。それをあたいは咄嗟にモントに、それと同時にあたいは意識を失ってしまう……。
「がはっ、ハァ、ハァ、ハァ……あれ、なんで?」
「ハァ、ハァ、無事だったか、はぁ~」
「モント、どうやって」
目の前には水が、どうやら洞窟の奥の方までは魔法が届かないようだ。でもどうやってここまで運んできたのかとモントを見ると脚がなく尾びれ。
「えっ、モントって、人魚?」
「ちがうっ……とっさに泳げる魔法を唱えたら、こうなった」
真面目なモントが人魚の姿、ギャップが面白くてクスッとしてしまう。
「プハッ、ハァ、ハァ、プリンセスたち無事でよかっです」
「モントのおかげで助かった……なあエメール、どうして逃げたの?」
「……満足してしまったんです。修行は厳しく、でと代わりにその効果はあって順調に魔法を習得していきました。ですが何年経っても終わらぬ厳しい修行に、ふと思ってしまったんです『もうオレは強い、十分だっ』……と」
「それで、師匠から逃げ出したのか」
「はいそうです、モント・プリンセス……ですが」
話していると途中に水はなくなっていく。
「よし水が引いた……って、なんなのこれ!」
「沈んでるぞネモネアッ、こ、これは!」
「ぐっ、これはボトムレス・スワンプッ、底なし沼の魔法です!」
今度は足が地面に沈んでいってしまう。どんどん地面に飲み込まれていくあたいら、今度は水じゃないから頭まで埋まった本当に終わりだ。
「プリンセスッ、御手をっ……ウイングッ!」
慌てるあたいらをエメールは手を持って浮く。そのまま洞窟の中を出ると崩れた魔王の城の近くだと分かった。
「助かったけど……」
「どうする、エメールの師匠を倒さないと水晶花は手に入らないぞ」
どうにかするには、やっぱりエメールに勝ってもらうしかない。エメールは黙ってあたいとモントを地上降ろす。
「ここで待っていてください」
「エメール、あたいたちも手伝おうか」
「いえ、大丈夫です。水晶花は必ず手に入れてみせますから」
そう言って再び闇の穴の中へと吸い込まれるように入っていった。
「――逃げないのか、なら殺す」
「オレ1人の話しではないんですよ、今は。だから、逃げるわけにはいきません」
「アース・ソーン」
「……今は、旅を重ね自分自身の未熟差を分かることができたんですよ、師匠!」
「――うわっと、壁に刺されるとこだった」
あたいはモントを外で待ってもらいエメールを追ってきた。でも気をつけないと敵に気づかれてしまう。
「けりをつけます……ファイア・ウィップ……トルネード」
剣に纏う炎が鞭となり偽師匠に向かっていく。
「アイス・ウォール」
相手は自身の目の前に氷の壁を出すも、エメールの炎の鞭が偽師匠を囲み渦とかす。
「いまだウイングッ」
羽を広げ高く飛び上がったエメールが炎の渦の中へ。
「エメール……死ぬな」
「ファイア・ニード……」
「杖は使わせない……とどめだぁーっ!」
杖をファイア・ウィップで弾かれた偽師匠、唱えていた魔法が消えるも炎の渦に囲まれて逃げ場がない。どうするかを迷う一瞬の間に、エメールが偽師匠を斬る。
「……本物の師匠には、謝らないといけませんね」
「エク……」
「ん……」
「エクスプロージョン」
洞窟内は爆発した……。
「地震っ、まさか洞窟内で、ネモネアッ、エメールッ!」
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