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北の花
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「――ラングネスの村に到着……ここも村がボロボロか」
「他の村もこうだったんだ。当然といえば当然だが……」
あたいたちはラングネス城を更に北へと向うことにしたんだ。それも実は、
「――よしっ、とにかく北へ行こう」
「「う~ん」」
「どうしたんだよ、モント、エメール、ビビってるの? はやく行こう」
「……ネモネア、ちゃんと地図みた?」
「え……え~っと、だから地図の真ん中から上の北方面に~」
「はぁ~、エメール」
「はいモント・プリンセス。これを見てくださいネモネア・プリンセス」
「うん……え、海?」
地図をよく見れば北の真ん中は海、左右の大地はクワガタの角のように別れてる。それでも何とか『青い薔薇』のような水晶花を探さなくてはいけない。なのでここからすぐのラングネスの村に立ち寄ることに。
「――これでは村人もラングネスに避難して、誰もいないだろうな」
モントの言うとおり、歩いて見渡しても人っ子一人いない。それでもあるのは魔物や魔獣が襲った痕跡くらい。きっとこの村でも村人たちの交流があったに違いないと見ていたら焦げた絵。
「これは……赤ちゃんを抱くお母さんの絵」
「生まれたての赤子の絵ですか、親の中には赤ちゃんがあまりにも愛おしくて絵を描いてもらうこともあるんですよ」
知らない子の絵でも、お母さんに抱かれて安心して眠っている姿をに見ていて愛情を感じる。
「ネモネア、『青い薔薇』を出して」
「あ、そうだ、何か光るかも」
シスター・ファスが、同じこの水晶は共鳴するから持って言って方が良いとアドバイスをうけて持ってきていた。
「ほんのちょこっと光ってるくらいだ」
「よし、村を出て更に奥へと進めばもっと光るかもしれない。行くぞネモネア、エメール……」
――村の奥は砂浜だった。
「はぁっ、両腕は切断した、今だっ」
「モント・プリンセス、私の後に!」
「わかったっ!」
魔獣クラブの両腕をあたいが切断、雷を纏ったエメールの魔法剣で傷跡を付けモントが2本の剣でそこに突き刺しとどめを刺した。
「海辺にもやっぱり魔獣は現れるのか」
「そうか、全ての女神による光の壁以外の場所では気を抜かないほうがいいぞネモネア」
見渡すと雲が重なって濁ったような感じの海、やっぱり海は晴れがいい。
「……これが魔王の力なのか」
「もう帰りましょう、あなた」
何やら夫婦の話し声が聞こえた。
「あの~、もしかして村の方ですか?」
「ん、君は……魔族の女性」
「はい、ネモネアっていいます」
声を返してくれた男の人はガタイが良い強そうな人だ。
「ネモネアさんそうなのよ、私たちはラングネスの村で漁師をしていたの」
やっぱりそうだ、海が恋しいのかもしれない。
「ついこの間までこの海は、日があたり透き通るような青い海で舟で魚を捕まえるのが日常だった。魔王ルモールが滅びた時には豊漁だったのに……気づけば魔獣とともに城に光の壁の出現してから、海は荒れ果て濁っちまった……」
「あなた…」
「でもここは危険です、ラングネス城に戻ってください」
「そうだな、すまない……しかし君だって危険じゃないのか、なぜこんな場所に」
あたいはこの夫婦に水晶花を探す旅をしていることを伝えた。
「――まぁ大変ね、こんな若くて魔族のかわいい女の子なのに」
「か、かわいいって、べ、べつにっ」
「まあ顔が赤くなってかわいいわ」
「おおーい、ネモネア~」
あたいを見かねてモントとエメールが走ってきた。
「なにやってるんだ……ん、ネモネア顔赤いぞ」
「い、いや……なんでも、ないんだ」
「頬の赤いネモネア・プリンセスも可愛いですね」
「ちや、ちやかすな」
「何いってるかわからないけどネモネア」
どうも褒められると、可愛いって言われると嬉しいんだけど上がってしまう。
「あ、そ、そうだ、歩いてもどのみち危険だしあたいたちがラングネスの城まで送ってくよ」
「おいネモネア、あたしたちは」
「いいだろ騎士様」
「ま~、騎士としては……」
「いいのかい君たち、わざわざ付いてきて」
「うん、心配ですから」
こんなに優しい人たちを無視して魔獣も彷徨う道を行かせるのは心配で水晶花を探していられない……。
「キャアァァッ!」
「ふう、これで大丈夫」
「き、君、けっこう容赦ないんだな」
「え、ああ~……魔獣は手を抜くとこっちが殺されるから」
魔獣ブタの弱点である耳裏に両爪で刺し、引きちぎった事で怖がらせてしまったみたい。奥さんの方は戦を知らない人みたいだし刺激が強すぎたよう。
「さすがっ、ネモネア・プリンセスッ!」
「ほんとうにすごいな……」
「むう、私たちの想像以上に大変な状況になっているんだね、ネモネア君」
「……はい、あたいでも魔獣の弱点を知らなかったら手こずりますから」
「私たちは魔獣をあまくみていたようだ」
「あなた……ごめんなさいねネモネアさん、声を上げて」
「いえ、驚かせちゃってごめんなさい」
とはいえ、じっとしていたらまた魔獣が現れて怖い思いをさせてしまうから急がないと。
「……こんなに恐ろしい世界になって……心配だわ……アヴエロ」
「他の村もこうだったんだ。当然といえば当然だが……」
あたいたちはラングネス城を更に北へと向うことにしたんだ。それも実は、
「――よしっ、とにかく北へ行こう」
「「う~ん」」
「どうしたんだよ、モント、エメール、ビビってるの? はやく行こう」
「……ネモネア、ちゃんと地図みた?」
「え……え~っと、だから地図の真ん中から上の北方面に~」
「はぁ~、エメール」
「はいモント・プリンセス。これを見てくださいネモネア・プリンセス」
「うん……え、海?」
地図をよく見れば北の真ん中は海、左右の大地はクワガタの角のように別れてる。それでも何とか『青い薔薇』のような水晶花を探さなくてはいけない。なのでここからすぐのラングネスの村に立ち寄ることに。
「――これでは村人もラングネスに避難して、誰もいないだろうな」
モントの言うとおり、歩いて見渡しても人っ子一人いない。それでもあるのは魔物や魔獣が襲った痕跡くらい。きっとこの村でも村人たちの交流があったに違いないと見ていたら焦げた絵。
「これは……赤ちゃんを抱くお母さんの絵」
「生まれたての赤子の絵ですか、親の中には赤ちゃんがあまりにも愛おしくて絵を描いてもらうこともあるんですよ」
知らない子の絵でも、お母さんに抱かれて安心して眠っている姿をに見ていて愛情を感じる。
「ネモネア、『青い薔薇』を出して」
「あ、そうだ、何か光るかも」
シスター・ファスが、同じこの水晶は共鳴するから持って言って方が良いとアドバイスをうけて持ってきていた。
「ほんのちょこっと光ってるくらいだ」
「よし、村を出て更に奥へと進めばもっと光るかもしれない。行くぞネモネア、エメール……」
――村の奥は砂浜だった。
「はぁっ、両腕は切断した、今だっ」
「モント・プリンセス、私の後に!」
「わかったっ!」
魔獣クラブの両腕をあたいが切断、雷を纏ったエメールの魔法剣で傷跡を付けモントが2本の剣でそこに突き刺しとどめを刺した。
「海辺にもやっぱり魔獣は現れるのか」
「そうか、全ての女神による光の壁以外の場所では気を抜かないほうがいいぞネモネア」
見渡すと雲が重なって濁ったような感じの海、やっぱり海は晴れがいい。
「……これが魔王の力なのか」
「もう帰りましょう、あなた」
何やら夫婦の話し声が聞こえた。
「あの~、もしかして村の方ですか?」
「ん、君は……魔族の女性」
「はい、ネモネアっていいます」
声を返してくれた男の人はガタイが良い強そうな人だ。
「ネモネアさんそうなのよ、私たちはラングネスの村で漁師をしていたの」
やっぱりそうだ、海が恋しいのかもしれない。
「ついこの間までこの海は、日があたり透き通るような青い海で舟で魚を捕まえるのが日常だった。魔王ルモールが滅びた時には豊漁だったのに……気づけば魔獣とともに城に光の壁の出現してから、海は荒れ果て濁っちまった……」
「あなた…」
「でもここは危険です、ラングネス城に戻ってください」
「そうだな、すまない……しかし君だって危険じゃないのか、なぜこんな場所に」
あたいはこの夫婦に水晶花を探す旅をしていることを伝えた。
「――まぁ大変ね、こんな若くて魔族のかわいい女の子なのに」
「か、かわいいって、べ、べつにっ」
「まあ顔が赤くなってかわいいわ」
「おおーい、ネモネア~」
あたいを見かねてモントとエメールが走ってきた。
「なにやってるんだ……ん、ネモネア顔赤いぞ」
「い、いや……なんでも、ないんだ」
「頬の赤いネモネア・プリンセスも可愛いですね」
「ちや、ちやかすな」
「何いってるかわからないけどネモネア」
どうも褒められると、可愛いって言われると嬉しいんだけど上がってしまう。
「あ、そ、そうだ、歩いてもどのみち危険だしあたいたちがラングネスの城まで送ってくよ」
「おいネモネア、あたしたちは」
「いいだろ騎士様」
「ま~、騎士としては……」
「いいのかい君たち、わざわざ付いてきて」
「うん、心配ですから」
こんなに優しい人たちを無視して魔獣も彷徨う道を行かせるのは心配で水晶花を探していられない……。
「キャアァァッ!」
「ふう、これで大丈夫」
「き、君、けっこう容赦ないんだな」
「え、ああ~……魔獣は手を抜くとこっちが殺されるから」
魔獣ブタの弱点である耳裏に両爪で刺し、引きちぎった事で怖がらせてしまったみたい。奥さんの方は戦を知らない人みたいだし刺激が強すぎたよう。
「さすがっ、ネモネア・プリンセスッ!」
「ほんとうにすごいな……」
「むう、私たちの想像以上に大変な状況になっているんだね、ネモネア君」
「……はい、あたいでも魔獣の弱点を知らなかったら手こずりますから」
「私たちは魔獣をあまくみていたようだ」
「あなた……ごめんなさいねネモネアさん、声を上げて」
「いえ、驚かせちゃってごめんなさい」
とはいえ、じっとしていたらまた魔獣が現れて怖い思いをさせてしまうから急がないと。
「……こんなに恐ろしい世界になって……心配だわ……アヴエロ」
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