28 / 66
オーブの所在
しおりを挟む
「何か知ってるのヴィゴーレ?」
「……それは」
その後、シスター・ヴィゴーレに笑顔が無くなり無言になる。
黙って進むヴィゴーレの後ろに付いていくあたいたちも雰囲気を察知し無言のままラングネスのお城に入った。
「ここがラングネス城か……あの人は?」
お城の壁には女神フラデーアと思われるステンドグラスが、それを眺める小さいシスター。
「シスター・ファスッ、居られたのですか」
「おぬしはシスター・ヴィゴーレ、元気そうじゃの」
「はいっ」
「ヴィゴーレ、この小さいお婆ちゃんは?」
「……この方は、このラングネス城に古くからシスターとして使えている最古のシスターでファス・エタンドル」
最古ってことだからシスター・カルタよりも長くラングネス城に居る人ってことか。
「シスター・ファスって、何才かな?」
「……あたしに分かるわけ無いだろう」
「私も分かりかねますよ、ネモネア・プリンセス」
「……108」
「はい?」
「シスター・ファスは御歳108才」
「ええっ……ひゃ、ひゃくはっさい……」
シスター・カルタが確か40才って言ってたからそのさらに68年上。
「おや、シスター・ヴィゴーレ顔色が優れないようじゃが体調でも悪いのかの?」
「……実は、ついさっき出会った彼等が……その……ブラック・オーブを探していると」
「ブラック・オーブを……そこの魔族の娘だね」
ヴィゴーレがあたいを見てシスター・ファスは感づいたようで、じっと見つめられる。
「あの、ブラック・オーブについてなにか知ってるのなら教えてください」
「なぜオーブを求める?」
「それは……」
「ネモネアッ、お前ここに来てもまだ黙する気か」
「……別に言いたくないなら構わないさ、どう答えようと無理だと言いたいだけだ」
「無理?」
どうして無理なのか、やはりこの世に存在しないのだろうか。
「無理か、やはり幻……最悪ガセかも」
「古い書物の軽い冗談とでも? それにしてはそれぞれの国にオーブの名前は出てきますが」
もし、もしもモントの言うとおりガセでこの世に存在しないのなら、あたいはどうすれば……。
「可能性の話しをしているだけよ、オーブ本体が見つかってないんだから」
「だめっ!」
「大声を出して、ここは教会だぞネモネア」
「ごめん……でも、なんとしてもブラック・オーブのような強力な何かが必要なんだ……アヴエロたちのためにも」
「アヴエロ……どうしてブラック・オーブを見つけることが勇者のためになる」
「だってアヴエロたちは」
「……オーブなら」
悪い雰囲気のなか、ソワソワしならがら口を開いたヴィゴーレ。
「オーブならあるわ、この教会に」
「えっ!」
なんと、お城であり教会でもあるラングネス城にブラック・オーブがあるというんだ。
「でも……」
「教えてヴィゴーレッ、お願いだよっ!」
「ちょっとネモネア!」
「お願いだよっ!」
「待ちなさいっ、きょう会ったばかりのあんた達にあたしが教えろですって? ふざけないでよっ、アレは危ない物かも知れないし、理由も話せない|ネモネアあんたに話せるわけ無いでしょっ!」
ヴィゴーレの言うとおりだ。危険な物だからここにあるのかも知れないし、それを手に入れようとする理由を話さないあたいが疑われるのは当たり前だ。
「……じゃあ、ヴィゴーレは……どうしてここにオーブがあるってわざわざ言ってくれたのよ」
「……あんたが必死だから……あたしもシスターとして世界を周ったことがあるわ、そこで出会った人たちには色んな人がいた、大切な人を失った人とか。あんたを見てるとね感じるのよ、まるで……想い人を探す乙女のような、ね」
「ヴィゴーレ……」
そんなこと言わないでよ。今アヴエロの気持ちを頑張って頭の隅に置いてるのにさ、これでも最近泣きすぎて自分が変って思ってたのに。
「話しを割って悪いんじゃが、見たいのならみせてやるわい、ブラック・オーブ」
「えっ、シスター・ファスッ、ホントにっ?」
「ああ……ええなヴィゴーレ」
「ファスがそうおっしゃるのなら……どうなるわけでもないですし」
「やった、ありがとうシスター・ファス、ヴィゴーレ」
オーブを許してくれたシスター・ファスとしぶしぶ納得のシスター・ヴィゴーレはあたいたち3人とこの城の階段を登り始める……。
「ちぇっ、ネモネアが喋るとこだったのに」
「う~んネモネア・プリンセスはミステリーな女性でもあるんですね。ますます惚れてしまいますよ」
「全くお前も能天気だなエメール」
モントとエメールがなんかブツブツ言ってたみたいだけどあたいはブラック・オーブの事で頭がいっぱいだった。
「ところでお主達、魔王と女神の事は知ってるかの?」
「……それは」
その後、シスター・ヴィゴーレに笑顔が無くなり無言になる。
黙って進むヴィゴーレの後ろに付いていくあたいたちも雰囲気を察知し無言のままラングネスのお城に入った。
「ここがラングネス城か……あの人は?」
お城の壁には女神フラデーアと思われるステンドグラスが、それを眺める小さいシスター。
「シスター・ファスッ、居られたのですか」
「おぬしはシスター・ヴィゴーレ、元気そうじゃの」
「はいっ」
「ヴィゴーレ、この小さいお婆ちゃんは?」
「……この方は、このラングネス城に古くからシスターとして使えている最古のシスターでファス・エタンドル」
最古ってことだからシスター・カルタよりも長くラングネス城に居る人ってことか。
「シスター・ファスって、何才かな?」
「……あたしに分かるわけ無いだろう」
「私も分かりかねますよ、ネモネア・プリンセス」
「……108」
「はい?」
「シスター・ファスは御歳108才」
「ええっ……ひゃ、ひゃくはっさい……」
シスター・カルタが確か40才って言ってたからそのさらに68年上。
「おや、シスター・ヴィゴーレ顔色が優れないようじゃが体調でも悪いのかの?」
「……実は、ついさっき出会った彼等が……その……ブラック・オーブを探していると」
「ブラック・オーブを……そこの魔族の娘だね」
ヴィゴーレがあたいを見てシスター・ファスは感づいたようで、じっと見つめられる。
「あの、ブラック・オーブについてなにか知ってるのなら教えてください」
「なぜオーブを求める?」
「それは……」
「ネモネアッ、お前ここに来てもまだ黙する気か」
「……別に言いたくないなら構わないさ、どう答えようと無理だと言いたいだけだ」
「無理?」
どうして無理なのか、やはりこの世に存在しないのだろうか。
「無理か、やはり幻……最悪ガセかも」
「古い書物の軽い冗談とでも? それにしてはそれぞれの国にオーブの名前は出てきますが」
もし、もしもモントの言うとおりガセでこの世に存在しないのなら、あたいはどうすれば……。
「可能性の話しをしているだけよ、オーブ本体が見つかってないんだから」
「だめっ!」
「大声を出して、ここは教会だぞネモネア」
「ごめん……でも、なんとしてもブラック・オーブのような強力な何かが必要なんだ……アヴエロたちのためにも」
「アヴエロ……どうしてブラック・オーブを見つけることが勇者のためになる」
「だってアヴエロたちは」
「……オーブなら」
悪い雰囲気のなか、ソワソワしならがら口を開いたヴィゴーレ。
「オーブならあるわ、この教会に」
「えっ!」
なんと、お城であり教会でもあるラングネス城にブラック・オーブがあるというんだ。
「でも……」
「教えてヴィゴーレッ、お願いだよっ!」
「ちょっとネモネア!」
「お願いだよっ!」
「待ちなさいっ、きょう会ったばかりのあんた達にあたしが教えろですって? ふざけないでよっ、アレは危ない物かも知れないし、理由も話せない|ネモネアあんたに話せるわけ無いでしょっ!」
ヴィゴーレの言うとおりだ。危険な物だからここにあるのかも知れないし、それを手に入れようとする理由を話さないあたいが疑われるのは当たり前だ。
「……じゃあ、ヴィゴーレは……どうしてここにオーブがあるってわざわざ言ってくれたのよ」
「……あんたが必死だから……あたしもシスターとして世界を周ったことがあるわ、そこで出会った人たちには色んな人がいた、大切な人を失った人とか。あんたを見てるとね感じるのよ、まるで……想い人を探す乙女のような、ね」
「ヴィゴーレ……」
そんなこと言わないでよ。今アヴエロの気持ちを頑張って頭の隅に置いてるのにさ、これでも最近泣きすぎて自分が変って思ってたのに。
「話しを割って悪いんじゃが、見たいのならみせてやるわい、ブラック・オーブ」
「えっ、シスター・ファスッ、ホントにっ?」
「ああ……ええなヴィゴーレ」
「ファスがそうおっしゃるのなら……どうなるわけでもないですし」
「やった、ありがとうシスター・ファス、ヴィゴーレ」
オーブを許してくれたシスター・ファスとしぶしぶ納得のシスター・ヴィゴーレはあたいたち3人とこの城の階段を登り始める……。
「ちぇっ、ネモネアが喋るとこだったのに」
「う~んネモネア・プリンセスはミステリーな女性でもあるんですね。ますます惚れてしまいますよ」
「全くお前も能天気だなエメール」
モントとエメールがなんかブツブツ言ってたみたいだけどあたいはブラック・オーブの事で頭がいっぱいだった。
「ところでお主達、魔王と女神の事は知ってるかの?」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
錬金術師カレンはもう妥協しません
山梨ネコ
ファンタジー
「おまえとの婚約は破棄させてもらう」
前は病弱だったものの今は現在エリート街道を驀進中の婚約者に捨てられた、Fランク錬金術師のカレン。
病弱な頃、支えてあげたのは誰だと思っているのか。
自棄酒に溺れたカレンは、弾みでとんでもない条件を付けてとある依頼を受けてしまう。
それは『血筋の祝福』という、受け継いだ膨大な魔力によって苦しむ呪いにかかった甥っ子を救ってほしいという貴族からの依頼だった。
依頼内容はともかくとして問題は、報酬は思いのままというその依頼に、達成報酬としてカレンが依頼人との結婚を望んでしまったことだった。
王都で今一番結婚したい男、ユリウス・エーレルト。
前世も今世も妥協して付き合ったはずの男に振られたカレンは、もう妥協はするまいと、美しく強く家柄がいいという、三国一の男を所望してしまったのだった。
ともかくは依頼達成のため、錬金術師としてカレンはポーションを作り出す。
仕事を通じて様々な人々と関わりながら、カレンの心境に変化が訪れていく。
錬金術師カレンの新しい人生が幕を開ける。
※小説家になろうにも投稿中。
異世界転生は、0歳からがいいよね
八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。
神様からのギフト(チート能力)で無双します。
初めてなので誤字があったらすいません。
自由気ままに投稿していきます。
転生して異世界の第7王子に生まれ変わったが、魔力が0で無能者と言われ、僻地に追放されたので自由に生きる。
黒ハット
ファンタジー
ヤクザだった大宅宗一35歳は死んで記憶を持ったまま異世界の第7王子に転生する。魔力が0で魔法を使えないので、無能者と言われて王族の籍を抜かれ僻地の領主に追放される。魔法を使える事が分かって2回目の人生は前世の知識と魔法を使って領地を発展させながら自由に生きるつもりだったが、波乱万丈の人生を送る事になる
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
危険な森で目指せ快適異世界生活!
ハラーマル
ファンタジー
初めての彼氏との誕生日デート中、彼氏に裏切られた私は、貞操を守るため、展望台から飛び降りて・・・
気がつくと、薄暗い洞窟の中で、よくわかんない種族に転生していました!
2人の子どもを助けて、一緒に森で生活することに・・・
だけどその森が、実は誰も生きて帰らないという危険な森で・・・
出会った子ども達と、謎種族のスキルや魔法、持ち前の明るさと行動力で、危険な森で快適な生活を目指します!
♢ ♢ ♢
所謂、異世界転生ものです。
初めての投稿なので、色々不備もあると思いますが。軽い気持ちで読んでくださると幸いです。
誤字や、読みにくいところは見つけ次第修正しています。
内容を大きく変更した場合には、お知らせ致しますので、確認していただけると嬉しいです。
「小説家になろう」様「カクヨム」様でも連載させていただいています。
※7月10日、「カクヨム」様の投稿について、アカウントを作成し直しました。
転生したら妖精や精霊を統べる「妖精霊神王」だったが、暇なので幼女になって旅に出ます‼︎
月華
ファンタジー
21歳、普通の会社員として過ごしていた「狐風 空音」(こふう そらね)は、暴走したトラックにひかれそうになっていた子供を庇い死亡した。 次に目を覚ますとものすごい美形の男性がこちらを見、微笑んでいた。「初めまして、空音。 私はギレンフイート。全ての神々の王だ。 君の魂はとても綺麗なんだ。もし…君が良いなら、私の娘として生まれ変わってくれないだろうか?」えっ⁉︎この人の娘⁉︎ なんか楽しそう。優しそうだし…よしっ!「神様が良いなら私を娘として生まれ変わらせてください。」「‼︎! ほんとっ!やった‼︎ ありがとう。これから宜しくね。私の愛娘、ソルフイー。」ソルフィーって何だろう? あれ? なんか眠たくなってきた…? 「安心してお眠り。次に目を覚ますと、もう私の娘だからね。」「は、い…」
数年後…無事に父様(神様)の娘として転生した私。今の名前は「ソルフイー」。家族や他の神々に溺愛されたりして、平和に暮らしてたんだけど…今悩みがあります!それは…暇!暇なの‼︎ 暇すぎて辛い…………………という訳で下界に降りて幼女になって冒険しに行きます‼︎!
これはチートな幼女になったソルフイーが下界で色々とやらかしながらも、周りに溺愛されたりして楽しく歩んでいく物語。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お久しぶりです。月華です。初めての長編となります!誤字があったり色々と間違えたりするかもしれませんがよろしくお願いします。 1週間ずつ更新していけたらなと思っています!
幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~
月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。
「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。
そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。
『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。
その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。
スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。
※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。)
※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。
【完結】転生した悪役令嬢の断罪
神宮寺 あおい
恋愛
公爵令嬢エレナ・ウェルズは思い出した。
前世で楽しんでいたゲームの中の悪役令嬢に転生していることを。
このままいけば断罪後に修道院行きか国外追放かはたまた死刑か。
なぜ、婚約者がいる身でありながら浮気をした皇太子はお咎めなしなのか。
なぜ、多くの貴族子弟に言い寄り人の婚約者を奪った男爵令嬢は無罪なのか。
冤罪で罪に問われるなんて納得いかない。
悪いことをした人がその報いを受けないなんて許さない。
ならば私が断罪して差し上げましょう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる