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オーブの所在
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「何か知ってるのヴィゴーレ?」
「……それは」
その後、シスター・ヴィゴーレに笑顔が無くなり無言になる。
黙って進むヴィゴーレの後ろに付いていくあたいたちも雰囲気を察知し無言のままラングネスのお城に入った。
「ここがラングネス城か……あの人は?」
お城の壁には女神フラデーアと思われるステンドグラスが、それを眺める小さいシスター。
「シスター・ファスッ、居られたのですか」
「おぬしはシスター・ヴィゴーレ、元気そうじゃの」
「はいっ」
「ヴィゴーレ、この小さいお婆ちゃんは?」
「……この方は、このラングネス城に古くからシスターとして使えている最古のシスターでファス・エタンドル」
最古ってことだからシスター・カルタよりも長くラングネス城に居る人ってことか。
「シスター・ファスって、何才かな?」
「……あたしに分かるわけ無いだろう」
「私も分かりかねますよ、ネモネア・プリンセス」
「……108」
「はい?」
「シスター・ファスは御歳108才」
「ええっ……ひゃ、ひゃくはっさい……」
シスター・カルタが確か40才って言ってたからそのさらに68年上。
「おや、シスター・ヴィゴーレ顔色が優れないようじゃが体調でも悪いのかの?」
「……実は、ついさっき出会った彼等が……その……ブラック・オーブを探していると」
「ブラック・オーブを……そこの魔族の娘だね」
ヴィゴーレがあたいを見てシスター・ファスは感づいたようで、じっと見つめられる。
「あの、ブラック・オーブについてなにか知ってるのなら教えてください」
「なぜオーブを求める?」
「それは……」
「ネモネアッ、お前ここに来てもまだ黙する気か」
「……別に言いたくないなら構わないさ、どう答えようと無理だと言いたいだけだ」
「無理?」
どうして無理なのか、やはりこの世に存在しないのだろうか。
「無理か、やはり幻……最悪ガセかも」
「古い書物の軽い冗談とでも? それにしてはそれぞれの国にオーブの名前は出てきますが」
もし、もしもモントの言うとおりガセでこの世に存在しないのなら、あたいはどうすれば……。
「可能性の話しをしているだけよ、オーブ本体が見つかってないんだから」
「だめっ!」
「大声を出して、ここは教会だぞネモネア」
「ごめん……でも、なんとしてもブラック・オーブのような強力な何かが必要なんだ……アヴエロたちのためにも」
「アヴエロ……どうしてブラック・オーブを見つけることが勇者のためになる」
「だってアヴエロたちは」
「……オーブなら」
悪い雰囲気のなか、ソワソワしならがら口を開いたヴィゴーレ。
「オーブならあるわ、この教会に」
「えっ!」
なんと、お城であり教会でもあるラングネス城にブラック・オーブがあるというんだ。
「でも……」
「教えてヴィゴーレッ、お願いだよっ!」
「ちょっとネモネア!」
「お願いだよっ!」
「待ちなさいっ、きょう会ったばかりのあんた達にあたしが教えろですって? ふざけないでよっ、アレは危ない物かも知れないし、理由も話せない|ネモネアあんたに話せるわけ無いでしょっ!」
ヴィゴーレの言うとおりだ。危険な物だからここにあるのかも知れないし、それを手に入れようとする理由を話さないあたいが疑われるのは当たり前だ。
「……じゃあ、ヴィゴーレは……どうしてここにオーブがあるってわざわざ言ってくれたのよ」
「……あんたが必死だから……あたしもシスターとして世界を周ったことがあるわ、そこで出会った人たちには色んな人がいた、大切な人を失った人とか。あんたを見てるとね感じるのよ、まるで……想い人を探す乙女のような、ね」
「ヴィゴーレ……」
そんなこと言わないでよ。今アヴエロの気持ちを頑張って頭の隅に置いてるのにさ、これでも最近泣きすぎて自分が変って思ってたのに。
「話しを割って悪いんじゃが、見たいのならみせてやるわい、ブラック・オーブ」
「えっ、シスター・ファスッ、ホントにっ?」
「ああ……ええなヴィゴーレ」
「ファスがそうおっしゃるのなら……どうなるわけでもないですし」
「やった、ありがとうシスター・ファス、ヴィゴーレ」
オーブを許してくれたシスター・ファスとしぶしぶ納得のシスター・ヴィゴーレはあたいたち3人とこの城の階段を登り始める……。
「ちぇっ、ネモネアが喋るとこだったのに」
「う~んネモネア・プリンセスはミステリーな女性でもあるんですね。ますます惚れてしまいますよ」
「全くお前も能天気だなエメール」
モントとエメールがなんかブツブツ言ってたみたいだけどあたいはブラック・オーブの事で頭がいっぱいだった。
「ところでお主達、魔王と女神の事は知ってるかの?」
「……それは」
その後、シスター・ヴィゴーレに笑顔が無くなり無言になる。
黙って進むヴィゴーレの後ろに付いていくあたいたちも雰囲気を察知し無言のままラングネスのお城に入った。
「ここがラングネス城か……あの人は?」
お城の壁には女神フラデーアと思われるステンドグラスが、それを眺める小さいシスター。
「シスター・ファスッ、居られたのですか」
「おぬしはシスター・ヴィゴーレ、元気そうじゃの」
「はいっ」
「ヴィゴーレ、この小さいお婆ちゃんは?」
「……この方は、このラングネス城に古くからシスターとして使えている最古のシスターでファス・エタンドル」
最古ってことだからシスター・カルタよりも長くラングネス城に居る人ってことか。
「シスター・ファスって、何才かな?」
「……あたしに分かるわけ無いだろう」
「私も分かりかねますよ、ネモネア・プリンセス」
「……108」
「はい?」
「シスター・ファスは御歳108才」
「ええっ……ひゃ、ひゃくはっさい……」
シスター・カルタが確か40才って言ってたからそのさらに68年上。
「おや、シスター・ヴィゴーレ顔色が優れないようじゃが体調でも悪いのかの?」
「……実は、ついさっき出会った彼等が……その……ブラック・オーブを探していると」
「ブラック・オーブを……そこの魔族の娘だね」
ヴィゴーレがあたいを見てシスター・ファスは感づいたようで、じっと見つめられる。
「あの、ブラック・オーブについてなにか知ってるのなら教えてください」
「なぜオーブを求める?」
「それは……」
「ネモネアッ、お前ここに来てもまだ黙する気か」
「……別に言いたくないなら構わないさ、どう答えようと無理だと言いたいだけだ」
「無理?」
どうして無理なのか、やはりこの世に存在しないのだろうか。
「無理か、やはり幻……最悪ガセかも」
「古い書物の軽い冗談とでも? それにしてはそれぞれの国にオーブの名前は出てきますが」
もし、もしもモントの言うとおりガセでこの世に存在しないのなら、あたいはどうすれば……。
「可能性の話しをしているだけよ、オーブ本体が見つかってないんだから」
「だめっ!」
「大声を出して、ここは教会だぞネモネア」
「ごめん……でも、なんとしてもブラック・オーブのような強力な何かが必要なんだ……アヴエロたちのためにも」
「アヴエロ……どうしてブラック・オーブを見つけることが勇者のためになる」
「だってアヴエロたちは」
「……オーブなら」
悪い雰囲気のなか、ソワソワしならがら口を開いたヴィゴーレ。
「オーブならあるわ、この教会に」
「えっ!」
なんと、お城であり教会でもあるラングネス城にブラック・オーブがあるというんだ。
「でも……」
「教えてヴィゴーレッ、お願いだよっ!」
「ちょっとネモネア!」
「お願いだよっ!」
「待ちなさいっ、きょう会ったばかりのあんた達にあたしが教えろですって? ふざけないでよっ、アレは危ない物かも知れないし、理由も話せない|ネモネアあんたに話せるわけ無いでしょっ!」
ヴィゴーレの言うとおりだ。危険な物だからここにあるのかも知れないし、それを手に入れようとする理由を話さないあたいが疑われるのは当たり前だ。
「……じゃあ、ヴィゴーレは……どうしてここにオーブがあるってわざわざ言ってくれたのよ」
「……あんたが必死だから……あたしもシスターとして世界を周ったことがあるわ、そこで出会った人たちには色んな人がいた、大切な人を失った人とか。あんたを見てるとね感じるのよ、まるで……想い人を探す乙女のような、ね」
「ヴィゴーレ……」
そんなこと言わないでよ。今アヴエロの気持ちを頑張って頭の隅に置いてるのにさ、これでも最近泣きすぎて自分が変って思ってたのに。
「話しを割って悪いんじゃが、見たいのならみせてやるわい、ブラック・オーブ」
「えっ、シスター・ファスッ、ホントにっ?」
「ああ……ええなヴィゴーレ」
「ファスがそうおっしゃるのなら……どうなるわけでもないですし」
「やった、ありがとうシスター・ファス、ヴィゴーレ」
オーブを許してくれたシスター・ファスとしぶしぶ納得のシスター・ヴィゴーレはあたいたち3人とこの城の階段を登り始める……。
「ちぇっ、ネモネアが喋るとこだったのに」
「う~んネモネア・プリンセスはミステリーな女性でもあるんですね。ますます惚れてしまいますよ」
「全くお前も能天気だなエメール」
モントとエメールがなんかブツブツ言ってたみたいだけどあたいはブラック・オーブの事で頭がいっぱいだった。
「ところでお主達、魔王と女神の事は知ってるかの?」
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