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家族
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「許してください忍様、景子様」
「うるせぇっ!」
愛子の頭を掴みそこに内蔵されているであろうAiチップを抜こうと髪の毛を強引に引っ張ってきた。
必死に抵抗するのを見かねて景子も手伝い2人で抜こうとしてくる。
「コラッ、そこの2人何してるっ!」
「ちっ!」
騒ぎを保奈美から聞いてやってきた店長、まずいと思い急いで近寄り愛子の髪を掴む2人の手を離す。
「君たち、うちの愛子さんに何するんだ、警察を呼ぶぞ!」
「はぁっ、愛子? なんだよそれ、こいつはオレたちのロボットなんだよ邪魔すんなっ!」
「え、そうなのかい? 愛子さん」
2人の思わぬ言葉に三六さんから聞いていたことと違うぞと動揺し何も言えなくなる店長。
「そうですが、私は御二方に一度捨てられ三六さんが手を差し伸べてくださいました」
人とは違う存在、でも心のようなモノが愛子の中でふつふつとこみ上げるのを感じて、
「だから私は、三六さんのロボットでAiの子を持つAiの愛子です!」
「な、なんだとコラッ、てめぇ」
忍が愛子をAiとして買ったのは手伝いのためで、新しいのが出た事で金が勿体ないと不法投棄した。
彼らと暮らしていたときは逆らうことは決してなく大人しかったため、始めてここで逆らわれた事に少しの動揺による脂汗を隠しきれなかった。
それだけでなく景子も、人のありがたみを純粋に口に出す彼女に不意にも自身の中で感動の様な感覚に気づいてしまう。
「し、しのぶ······」
「そ、それでも、オレが買ったAiなんだから、だから」
なんとか威嚇で押し通そうとする忍、いくらコンビニの裏と言ってもこのままでは人集りになったらまずいと思っていたら、
「愛子は家の家族だよ」
息を切らしそれでも必死に走って現れたのは三六、店長が連絡を取っていた事ですぐ近くの職場を抜け出して来た。
「三六さん!」
「なんだババァ、コイツは元々オレのもんだ、どうしようがオレ達の勝手なんだよ」
「ハァ······ハァ······ふぅ~、愛子は家族だって言ったんだよ若いの」
「家族だぁ? へっ、まじかよ」
「ダサーッ」
挑発するように馬鹿にする若い2人、しかしそんなことはなんのそのと屁でもないような三六の呆れ顔。
「あんたらもこんなことしてないで、仕事でもしていたらどうなんだい」
「うるっせぇっ、だからコイツはもともと」
すると店長を向く三六、
「おい店長、たしか捨てたもんは誰の物でもなかったよな」
そう言われると顎に手を当て、
「言われて見ればたしかに、しかも愛子ちゃんはAiで自分の意志をしっかり持っているから、愛子ちゃんが居たいところを決められるはず」
「え、マジッ?」心の声を漏らす景子。忍も同じような顔をしていて明らかに動揺しているが、もうここまでやっては引き下がれない。
「か、関係ねぇっ」
「ふぅ~、たく、じゃあこういうのはどうだい?」
余裕のない忍に頭を掻きながら三六は、
「お前たちが不法投棄した事は内緒にしてやるから、その代わり愛子の事はもうほっとけ、この子はこの子なりに自分のやりたいことに生きてるんだ」
「ほんとうかよ······ほんとうに、内緒にするだな?」
「ああ、あたしも面倒くさいことはゴメンだからね」
三六の目をじっと見る忍は怖顔を混じらせるも世の中を見捨てたような、全て見透かされていて馴れ合う気もないと言うような冷たい目に、おばさんは嘘をつく気も騒ぐ気もないと感じまるで自分だけが怯えてるような感覚に陥る彼。
「······わかったよ、あばよ」
「しのぶ~、いいの?」
「黙ってるならもう用済みだろ、新しいのをとっとと買って」
「忍様」
髪型は崩れ、浴衣には埃、だが愛子はそれでも姿勢良く立ち振り向く忍に、
「不法投棄は、もう、おやめください」
こんな目にあって忍のことを気遣うような言葉。自分が何をされそうになったのか分かっているのかいないのか、バカバカしく思えてきた彼は黙ってその場から景子と去っていった。
「大丈夫か愛子」
投げ飛ばされたりしたが特に損傷もなく大丈夫と返す返事に三六や店長も安心する。
「よかったよ、すまんね店長」
「いやいや~」
ところがコンビニの中から声が、
「ちょっと~、店長~、愛子ちゃ~ん、この子泣き止まないよ~」
「「わすれてた~!」」
1人泣く赤ん坊を面倒見るも泣き止まず、困っていた保奈美であった······。
仕事終わりに疲れたとこぼしながらリビングに大の字に仰向けに倒れた三六。
「料理作りますのでちょっとまっててくださいね」
あんな目にあったのに何時もと変わらない様な愛子の後ろ姿に「すまないね、人間のせいで傷つけて」と謝った。
「そんな~、気にしてませんよ」
「あれが人間なんだよ、自分の勝手さに気づいてない愚かな人間のな」
今日は改めて人間の面倒くささを思い出し暗くなる三六。でも愛子は、
「大変でしたけど、嬉しかったんです。家族って言ってくれて」
「はぁっ、バ、バカ言うんじゃないよ」
「これからは三六さんのことをお母さんって呼んでいいですか?」
顔を赤らめる三六なのに、料理しながら嬉しそうにそう言う愛子。
「母ちゃんはお前だろっ」
「あの子の母は私です。ですから私のお母さんは三六さんで、キャッ」
「はぁ~、すきにしな、ご飯できたら起こして、ふぁ~······ぐぅ~」
「は~い、お母~さん」
小さな田舎に住むおばさんとAiが暮らす家。そこから耳を傾けると子守唄が聞こえてくる。
と~んた と~んた Aiは
捨~てら~れ拾わ~れ波乱万丈
と~んた と~んた そ~んなとき
み~なさんの愛をし~っていく~
「うるせぇっ!」
愛子の頭を掴みそこに内蔵されているであろうAiチップを抜こうと髪の毛を強引に引っ張ってきた。
必死に抵抗するのを見かねて景子も手伝い2人で抜こうとしてくる。
「コラッ、そこの2人何してるっ!」
「ちっ!」
騒ぎを保奈美から聞いてやってきた店長、まずいと思い急いで近寄り愛子の髪を掴む2人の手を離す。
「君たち、うちの愛子さんに何するんだ、警察を呼ぶぞ!」
「はぁっ、愛子? なんだよそれ、こいつはオレたちのロボットなんだよ邪魔すんなっ!」
「え、そうなのかい? 愛子さん」
2人の思わぬ言葉に三六さんから聞いていたことと違うぞと動揺し何も言えなくなる店長。
「そうですが、私は御二方に一度捨てられ三六さんが手を差し伸べてくださいました」
人とは違う存在、でも心のようなモノが愛子の中でふつふつとこみ上げるのを感じて、
「だから私は、三六さんのロボットでAiの子を持つAiの愛子です!」
「な、なんだとコラッ、てめぇ」
忍が愛子をAiとして買ったのは手伝いのためで、新しいのが出た事で金が勿体ないと不法投棄した。
彼らと暮らしていたときは逆らうことは決してなく大人しかったため、始めてここで逆らわれた事に少しの動揺による脂汗を隠しきれなかった。
それだけでなく景子も、人のありがたみを純粋に口に出す彼女に不意にも自身の中で感動の様な感覚に気づいてしまう。
「し、しのぶ······」
「そ、それでも、オレが買ったAiなんだから、だから」
なんとか威嚇で押し通そうとする忍、いくらコンビニの裏と言ってもこのままでは人集りになったらまずいと思っていたら、
「愛子は家の家族だよ」
息を切らしそれでも必死に走って現れたのは三六、店長が連絡を取っていた事ですぐ近くの職場を抜け出して来た。
「三六さん!」
「なんだババァ、コイツは元々オレのもんだ、どうしようがオレ達の勝手なんだよ」
「ハァ······ハァ······ふぅ~、愛子は家族だって言ったんだよ若いの」
「家族だぁ? へっ、まじかよ」
「ダサーッ」
挑発するように馬鹿にする若い2人、しかしそんなことはなんのそのと屁でもないような三六の呆れ顔。
「あんたらもこんなことしてないで、仕事でもしていたらどうなんだい」
「うるっせぇっ、だからコイツはもともと」
すると店長を向く三六、
「おい店長、たしか捨てたもんは誰の物でもなかったよな」
そう言われると顎に手を当て、
「言われて見ればたしかに、しかも愛子ちゃんはAiで自分の意志をしっかり持っているから、愛子ちゃんが居たいところを決められるはず」
「え、マジッ?」心の声を漏らす景子。忍も同じような顔をしていて明らかに動揺しているが、もうここまでやっては引き下がれない。
「か、関係ねぇっ」
「ふぅ~、たく、じゃあこういうのはどうだい?」
余裕のない忍に頭を掻きながら三六は、
「お前たちが不法投棄した事は内緒にしてやるから、その代わり愛子の事はもうほっとけ、この子はこの子なりに自分のやりたいことに生きてるんだ」
「ほんとうかよ······ほんとうに、内緒にするだな?」
「ああ、あたしも面倒くさいことはゴメンだからね」
三六の目をじっと見る忍は怖顔を混じらせるも世の中を見捨てたような、全て見透かされていて馴れ合う気もないと言うような冷たい目に、おばさんは嘘をつく気も騒ぐ気もないと感じまるで自分だけが怯えてるような感覚に陥る彼。
「······わかったよ、あばよ」
「しのぶ~、いいの?」
「黙ってるならもう用済みだろ、新しいのをとっとと買って」
「忍様」
髪型は崩れ、浴衣には埃、だが愛子はそれでも姿勢良く立ち振り向く忍に、
「不法投棄は、もう、おやめください」
こんな目にあって忍のことを気遣うような言葉。自分が何をされそうになったのか分かっているのかいないのか、バカバカしく思えてきた彼は黙ってその場から景子と去っていった。
「大丈夫か愛子」
投げ飛ばされたりしたが特に損傷もなく大丈夫と返す返事に三六や店長も安心する。
「よかったよ、すまんね店長」
「いやいや~」
ところがコンビニの中から声が、
「ちょっと~、店長~、愛子ちゃ~ん、この子泣き止まないよ~」
「「わすれてた~!」」
1人泣く赤ん坊を面倒見るも泣き止まず、困っていた保奈美であった······。
仕事終わりに疲れたとこぼしながらリビングに大の字に仰向けに倒れた三六。
「料理作りますのでちょっとまっててくださいね」
あんな目にあったのに何時もと変わらない様な愛子の後ろ姿に「すまないね、人間のせいで傷つけて」と謝った。
「そんな~、気にしてませんよ」
「あれが人間なんだよ、自分の勝手さに気づいてない愚かな人間のな」
今日は改めて人間の面倒くささを思い出し暗くなる三六。でも愛子は、
「大変でしたけど、嬉しかったんです。家族って言ってくれて」
「はぁっ、バ、バカ言うんじゃないよ」
「これからは三六さんのことをお母さんって呼んでいいですか?」
顔を赤らめる三六なのに、料理しながら嬉しそうにそう言う愛子。
「母ちゃんはお前だろっ」
「あの子の母は私です。ですから私のお母さんは三六さんで、キャッ」
「はぁ~、すきにしな、ご飯できたら起こして、ふぁ~······ぐぅ~」
「は~い、お母~さん」
小さな田舎に住むおばさんとAiが暮らす家。そこから耳を傾けると子守唄が聞こえてくる。
と~んた と~んた Aiは
捨~てら~れ拾わ~れ波乱万丈
と~んた と~んた そ~んなとき
み~なさんの愛をし~っていく~
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