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ホントの悩み
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しれっと言う彼に目を丸くして心の中で動揺するキキョウは頭に様々な思考が巡った。
いつから居ないのだろう、最近なのかそれともずっとなのか、今の時代共働きが当たり前だから帰ってきてないという場合も······。
「キキョウ」
ビクッと反応し何でもないと誤魔化す。訊いてみたいけど、もしかしたら傷付けてしまうかも知れないと思い話すのをやめる事にした。
複雑な思いを抱えて午後6時過ぎた頃、
「ただいま」
玄関から声がお父さんだ。会いに行こうと扉のノックを触れると、
「つ、努君!」
何だろうと振り向く努に、
「わ、私のことは内緒ね」
するとニッコリとして指でOKのサインをして迎えに行った。
部屋に1人になり、これからどうすればとヒラヒラと飛びながら考えようと机に目がいくとそこにはお守りが、女性の名前らしきそれはお母さんだろうか、ならやっぱり、益々どうしようかと頭を悩ます。
「おとうさんおかえり」
「努、ただいま」
ドアの隙間から聞こえる嬉しそうな親子の会話。
「あのね、きのうはなしたようせい、いまうちにきてるんだよ!」
ドンッ、
キキョウは仰向けに倒れ机に頭を打つ。さっきのOKサインは何なのと少しの怒りを顕にしていた。
「努~、お前またそんなこと言ってるのか~」
「ホントなの」
「わかったわかった、ご飯にしよう」
お父さんはハイハイと言う感じで、話を流しながら台所に立ち料理をしだした。
キキョウは2階の部屋から出て一階のリビングに向かうことにする。椅子に座っている努の後ろから左肩をつつくと、
「あ、キキョウ」
「しーっ、ちょ、ちょっとどう言うつもり努君」
「しらなーい」ととぼける努にガックリと肩を落とす。初めて『この子は~』とも思っているうちに料理が運ばれ父と息子の2人は食する。
今日はキャラクター顔の太巻き寿司に唐揚げとご飯、太巻き寿司は父が得意で昨日と同じだったため努は愚痴りながら食べていく。その夜食の会話で、
「明日お母さんに会いに病院行くか」
「うん、いく」
努の頭の後ろで浮いているキキョウは『お母さんが病院』というキーワードを耳にし、彼のお母さんは何か病気で入院していると観ずる――。
次の日、努たちは病院でお母さんと面会した。悩みの種を探す為でもキキョウは付いて行き努のお母さんを見て納得する。それはお腹が膨らんでいて妊娠と分かった事、だからきっと彼の悩みはお母さんが大変な自体にならないか心配してるに違いないと確信したのだ。
「おかあさん」
「努、ほら見て、もう産まれるかも」
お母さんのお腹をまじまじと見て不思議そうな目をすると同時に何処か心配そうな目も含めた何とも言えない心地なのだろう。
そんな彼に病院の廊下で、
「お母さん、妊娠してたのね」
「うん、いわなかったっけ」
言ってない言ってないと首を振り、
「無事産まれるといいね」
返事をすると彼はズボン後ろのポケットからお守りを出して、
「これ買ってみたの······おかあさん、だいじょうぶだよね」
「えっ、う、うん大丈夫」
咄嗟に無責任な返しをしてしまった。こうなってしまってはもう自分も祈るしかないと心中で無事を願うが更に、
「よかった、ようせいがそう言うならきっとだいじょうぶだね。何かふしぎな力あるんでしょ」
そんな力あるわけ無い。あったらもう使ってると溜息をこぼし、
「ごめん、妖精にはそんな力無いの」眉尻と頭を下げ正直に言う事にした。
「え、そうなの? なーんだ」がっかりした様な言葉でも顔はケロッとしている。ちゃんと謝り顔を上げ、
「だから、一緒に無事を祈ろうよ」
「うん!」
『お母さんと産まれてくる赤ちゃんが無事に退院出来ますように』、と。
午前11時過ぎ、それは突然始まった。
いつから居ないのだろう、最近なのかそれともずっとなのか、今の時代共働きが当たり前だから帰ってきてないという場合も······。
「キキョウ」
ビクッと反応し何でもないと誤魔化す。訊いてみたいけど、もしかしたら傷付けてしまうかも知れないと思い話すのをやめる事にした。
複雑な思いを抱えて午後6時過ぎた頃、
「ただいま」
玄関から声がお父さんだ。会いに行こうと扉のノックを触れると、
「つ、努君!」
何だろうと振り向く努に、
「わ、私のことは内緒ね」
するとニッコリとして指でOKのサインをして迎えに行った。
部屋に1人になり、これからどうすればとヒラヒラと飛びながら考えようと机に目がいくとそこにはお守りが、女性の名前らしきそれはお母さんだろうか、ならやっぱり、益々どうしようかと頭を悩ます。
「おとうさんおかえり」
「努、ただいま」
ドアの隙間から聞こえる嬉しそうな親子の会話。
「あのね、きのうはなしたようせい、いまうちにきてるんだよ!」
ドンッ、
キキョウは仰向けに倒れ机に頭を打つ。さっきのOKサインは何なのと少しの怒りを顕にしていた。
「努~、お前またそんなこと言ってるのか~」
「ホントなの」
「わかったわかった、ご飯にしよう」
お父さんはハイハイと言う感じで、話を流しながら台所に立ち料理をしだした。
キキョウは2階の部屋から出て一階のリビングに向かうことにする。椅子に座っている努の後ろから左肩をつつくと、
「あ、キキョウ」
「しーっ、ちょ、ちょっとどう言うつもり努君」
「しらなーい」ととぼける努にガックリと肩を落とす。初めて『この子は~』とも思っているうちに料理が運ばれ父と息子の2人は食する。
今日はキャラクター顔の太巻き寿司に唐揚げとご飯、太巻き寿司は父が得意で昨日と同じだったため努は愚痴りながら食べていく。その夜食の会話で、
「明日お母さんに会いに病院行くか」
「うん、いく」
努の頭の後ろで浮いているキキョウは『お母さんが病院』というキーワードを耳にし、彼のお母さんは何か病気で入院していると観ずる――。
次の日、努たちは病院でお母さんと面会した。悩みの種を探す為でもキキョウは付いて行き努のお母さんを見て納得する。それはお腹が膨らんでいて妊娠と分かった事、だからきっと彼の悩みはお母さんが大変な自体にならないか心配してるに違いないと確信したのだ。
「おかあさん」
「努、ほら見て、もう産まれるかも」
お母さんのお腹をまじまじと見て不思議そうな目をすると同時に何処か心配そうな目も含めた何とも言えない心地なのだろう。
そんな彼に病院の廊下で、
「お母さん、妊娠してたのね」
「うん、いわなかったっけ」
言ってない言ってないと首を振り、
「無事産まれるといいね」
返事をすると彼はズボン後ろのポケットからお守りを出して、
「これ買ってみたの······おかあさん、だいじょうぶだよね」
「えっ、う、うん大丈夫」
咄嗟に無責任な返しをしてしまった。こうなってしまってはもう自分も祈るしかないと心中で無事を願うが更に、
「よかった、ようせいがそう言うならきっとだいじょうぶだね。何かふしぎな力あるんでしょ」
そんな力あるわけ無い。あったらもう使ってると溜息をこぼし、
「ごめん、妖精にはそんな力無いの」眉尻と頭を下げ正直に言う事にした。
「え、そうなの? なーんだ」がっかりした様な言葉でも顔はケロッとしている。ちゃんと謝り顔を上げ、
「だから、一緒に無事を祈ろうよ」
「うん!」
『お母さんと産まれてくる赤ちゃんが無事に退院出来ますように』、と。
午前11時過ぎ、それは突然始まった。
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