~マザー·ガーディアン~

ヒムネ

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      大喧嘩

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「お集まりの頂きありがとうございます」
 そう言って座りカメラのフラッシュが多い中で資料を見ながら説明する。
「今回の台風及び、気候獣ですが······」

 日本に台風が向かって来ている事を改めて説明したあと、次に何故会見を開いたのか、それは被害の恐ろしさと気候獣が二匹を止められなかった時の備えを多くの人に知って貰うためと説明したの。

「わが社も、全力を注ぎますが、気候獣二匹を止められると断言出来ません。ですので、台風の進路にお住まいの方々は、出来る限り迅速に避難して頂くようにお願いします」

 霞さんの会見を観て、

「やっぱり······止めなきゃ」

「死んでもかよ」

「沢山の被害が出るって言ってるでしょっ!」

「質問に答えてないじゃないか」

「フンッ」「フンッ!」
 とうとう喧嘩が終わる事がなく、この日二人は別々に眠った······。

 次の日も、
「はい、ご飯」
「ありがとう」
 昨日の出来事で険悪な雰囲気。
「······昨日は、ごめん」
「徹······わかってくれればいいのよ」

「でもやめてほしい」

「ごめん、やめる事は出来ないわ」

「どうして!」
「だから昨日言ったでしょっ――」
 結局喧嘩は収まらず······。

 トレーニング室では、
「大丈夫ですか、未来さん」
「全然大丈夫よ、全く徹は~」
「昨日、派手に喧嘩しましたからね」
「チャイルド、同調訓練するわ!」
「はい」
 わかってくれない気持ちをぶつけるように同調する······。

「ハァ、ハァ······」
「お疲れ様です」
「あ~、スッキリする」
 このあとはイメージトレーニングを昼食の時間まで続けたの······。

 昼食、愛が居ないか周りを見渡していたら彼女の方から、
「未来」
「愛~、探したわ」
 すると小声で、
「一体何があったのよ」
「え、何がって?」二人で座り、
「あれだけ仲良かった二人が喧嘩してるって噂なのよ~」
「うわ早っ」
「······何があったのよ、昨日の怒ってる事と何か関係あるんじゃないの?」
「実はさ······」
 タピオカをすすりながら説明する。

「······でさ、あたししか居ないのに、徹は『君は妊娠してるんだから』とか『無茶しか脳がない』とか酷い事ばかり言うのよー」
「わかるけど~、道長君も大変だったしさ~」
「愛は徹の味方なの?」
「そんなんじゃないわよ~」
 タピオカを飲み干し、
「あたしだって分かってるけど退くわけにはいかないの」
「どうして? 珍しいじゃん、何か」
「だって――」
 愛との昼食も終わり、別れて訓練をこなし帰りの時間······。

 相変わらず互いに口を利かずにマンションに着き、私が降りた時、
「オレ······」
 細目で徹を見て、
「なに?」

「今日は守るの所で夜食するから」

「え······どうぞお好きに」
 そう言うと黙ってスカイカーで行ってしまった······。

 徹は居ないので食事を一人で用意する。野菜炒めにご飯とお味噌汁を作って、
「いただきます」
 一人マンションで食べるなんてホント久しぶり。1LDKでもいつもより広く感じるのは気のせいか、寂しくなると、
「あー、広くてせいせいする」
 自分を誤魔化す······。
 お風呂もあがった時スマホに連絡が、大地君からだ、
「もしもし」
「隅野さんだな」
「うん、どうしたの?」
「······実は今徹と居酒屋に居るんだけど」

「居酒屋?」

 徹はお酒飲む人じゃないんだけど、と考えていた。
「徹がその~、ビール飲んでよ~」

「ビールまで······」

「そうなんだよ」
 信じられないけど、それだけ思い詰めてるのかなと思う。
「ごめんね~、大地君」

「それはいいんだけど――隅野さん仕事で何かあったんだろ」

「――うん、そうなの」
「オレも、こんな徹初めてみたよ」
「ごめんなさい」
「責めてるんじゃないんだ。とにかくそういう事だから、今日はオレん家で眠らせとくよ」
「そう、ありがとう大地君」
「んじゃ、そういう事で」
「うん、じゃあ······はぁ~っ」
 ため息を吐き、悩みながら眠った······。
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